7月15日 練習試合(東宝高校戦)2
昨日の群馬北高校と東宝高校との試合から一夜空けた俺たちは、再び練習をしていた。昨日は、2試合で、8打数3安打。最終調整としては、悪くなかった。いいピッチャーからもヒットを打てたし、大会初戦に個人的にはいい流れで入っていける気がしていた。
ー7月14日ー
山田のヒットに続いて打席に入ったのは、代打早川だった。1試合目も投げた葛西は、ここで交代みたいだ。俺は、ネクストバッターサークルに入りながら、早川のバッティングを見守る。さぁ、ここはどうする?セオリーで言えばバント。しかし、わがわざ代打に出したんだ。バントするより打たすことも考えられる。俺は、早川同様、監督のサインに目を向ける。監督のサインは、、、、、、、、、、。
手、腰、帽子、ベルト、腕、帽子と順番に触っていく。俺たちのチームのサインは決まっていた。ベルトがサインのキーになっている。簡単に言えば、ベルトの後に触ったところが監督が出したいサインというところだ。サインを出し終え、監督は打席に立つバッターに視線を向けた。サインを受け取った、早川もヘルメットを触る。腕は、何のサインもない。つまり"打て"ということだ。こういう何もないサインも入っていた。
東宝高校のピッチャーは、セットポジションから第一球目を投げた。ストライクゾーンから少し離れたようだ。再び、監督はサインを出し始める。帽子、手、腰、帽子、腕。これは、サインのキーであるベルトが触られていない。つまり、打てということだ。どうやら、監督はバントする気がないみたいだ。すると、次の瞬間、大きな金属音が聞こえた。打球は、レフトとセンターを破る二塁打になりそうだ。一塁ランナーは、三塁ストップ。ワンナウト2.3塁のチャンスで俺に打席が回ってきた。
監督のサインは、腰、手、帽子、腕、ベルト。ベルトの後には、サインがない。つまり"打て"だ。監督のサインを理解した俺は、ヘルメットを触り理解したサインを監督に送った。このピッチャーなら、打てる。俺は、真ん中からアウトコースの変化球に狙いを定めた。俺はバットを構え、監督の指示通りにスイングし打つことを実行した。打球は、ライト前に落ち、三塁ランナー、二塁ランナーが一気に帰ってくる。ライトはボールを捕球するので精一杯。ホームに返球することはできなかった。監督のサイン通り、きっちり打って見せたのだった。




