7月6日 目標
いよいよ期末テストが近づいてきた。大会が迫っているのに、野球、野球と言えないのがつらい。他の野球部員は、勉強する組と勉強しない組の二つに別れている印象だった。勉強する組で言えば、川中、八幡、健太郎、山田、早川。勉強しない組と言えば、橘、橋本、佐伯、永谷たちがいるんじゃないか。別に、彼らも勉強を諦めているわけじゃないけど、今しなくてもという感じだった。勉強する俺たちとは、少し異なっていた。
期末テストは、7月8日からの3日間。1日目は、英語、数学、社会。2日目は、国語、理科、技術家庭科。3日目は、保健体育、音楽。テスト初日から、とてもハードなスケジュールだった。塾の先生と話した結果、主要5教科で430点を目標にしていた。これは、俺にとってかなり厳しい目標だった。430÷5=86。つまり、どの教科も86点以上とって、初めてこの目標を成し遂げられることになる。さすがに難しいな。しかも、今回言われていたのは、「最小限の勉強量でどうすればいい点数をとれるか?」ということ。
先生が言うには、勉強すれば一定の点数はとれると。しかし、いつも勉強できるとは限らないと。だったら、今回はその勉強できない時だと考えて、その中で点数をとれるようにしなさいと説明を受けた。この説明を聞いた時、"なるほど"と思わされた。けど、そんなことを考える間もなく毎日がやってくる。だから、結局は勉強して終わりという状況が続いていたのだ。とりあえず、今回はテストに出そうな範囲を勉強するというやり方に決めていた。それが良かったのか悪かったのかは、テストが終わってからわかっていた。あとは、決められた時間、勉強するしかない。
今日も、学校が終わったら、塾に行く予定だ。勉強自体は嫌いではない。もともと、勉強に対して苦手意識もなかった。しかし、テストのための勉強や宿題はとても苦痛だった。わからないなら、勉強してもいいと思うが、わかっているのに勉強する意味はわからない。わかっているなら、それ以上勉強する必要はないと思うし、宿題なんてもってのほかだった。
もともと、俺はそういう性格なのかもしれない。目の前で、一生懸命、勉強をしていた健太郎がとても眩しく見えた。健太郎は、時折、笑顔を見せながら、問題を解いている様だった。健太郎だけじゃないけど、俺もコイツらに負けないぞと言わんばかりに、シャーペンを動かし始めた。




