7月5日 コース
日差しが強い中、俺たちはベンチに戻り、給水をしていた。やっぱりベンチは涼しい。後ろで扇風機が回っているせいか、少しずつ熱気も冷めていく。
橘 「あかん、暑い。暑すぎる」
橋本「暑いな。もうちょい、暑さおさまらんかな?」
八幡「無理だろうな」
今日の天気は、暑くなる一方だった。ここから、涼しくなるという予報は一切なかった。俺は、ドリンクを飲みながらグラウンドを見つめていた。
俺 「ふぅー」
思わず、言葉が溢れた。
八幡「侑大、飲みすぎんなよ」
八幡の言う通りだ。しかし、こんなところで水分補給のペースを制御できるか。いや、できない。俺は。
俺 「ああ。でも、暑くて」
橘 「飲み過ぎ、飲み過ぎ」
俺 「いや、飲まんかったら後で死ぬて」
橘や八幡たちは、まだまだ余裕があるみたいだった。なぜ、そんなに余裕があるんだ?
八幡「たしかに、次休みバッティング終わってからやろな」
橘 「バッティング長いしな」
そうだ。このバッティング練習は、とても長いから俺は好きじゃなかった。なんで、こんな長いのかいつも疑問だった。
俺 「そうやね。川中変なところ打ってくるからな」
八幡「わかるな、それ」
橘 「変なゾーンに飛ばすよな?」
いつしか話は川中のバッティングの話に変わっていた。
俺 「しかも、距離あるから」
八幡「飛ばすんやったら、もっとセンターラインに飛ばしてほしいよな」
橘 「レフトのファールゾーンに飛ばされてもな」
俺 「そうやな」
自分のバッティングはさしおいといて、人のことはいろいろ文句言うのが俺たちだった。
八幡「今日、マシンバッティング?」
橘 「今日は、ピッチャー投げるやろ」
俺 「そうなんや」
ピッチャーのボールを打つのなら、これまで以上に時間がかかりそうな予感がした。
八幡「俺、投げるで」
橘 「そうなん?」
やや驚きがあったようだった。
八幡「ああ。思いっきりいく」
俺 「橘は、投げる?」
橘 「迷うな」
いつもと違い、キレ味が鋭くなかった。
俺 「なんで?」
橘 「だって試合で投げたいからな」
それは、そうだろうな。
俺 「怪我だけするなよ」
八幡「ほんと、頼むぜ」
橘 「ああ、任して」
休憩時間は、そろそろ終わろうとしていた。俺たちは、飲み物を直して、グラウンドへ出ていくのだった。




