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7月3日 塾

 塾のドアが開いた。俺は、問題を解き終えたところで、ちょうどいいタイミングだった。3人ほどの生徒たちは一斉に部屋に入ってきて、空いているところに座ろうとしていたのだ。あんまり見たことがない顔だった。おそらく、3年ではないと思う。もうすぐ期末テストがあるため、みんなテスト勉強しているようにも感じた。俺がいる塾は、完全個別授業だ。

 期末テストは、7月8日から。よくもわるくも、この期末テストに全てをかけるわけにはいかなかった。頑張りたいけど、それ以上に野球で結果を出したいという想いが強い。よし、じゃあ、ここ次解こうか。先生の話に頷き、再び、問題を解き始めた。俺は、新しいページの問題を見て、これなら解けると思った。塾の先生は、俺の性格に合わせて声をかけてくれる。室内が少し賑やかになり始めたのをわかったが、先生が周りの生徒に静かにするように声をかけた。生徒たちは静かになり、自分の席に座ったみたいだ。

 今日は、部活は休みだったが、受験生であることには変わらない。ここからは、本当にハードだ。期末テストが終わるとすぐに野球の大会が始まる。期末テストでいい点数をとり、いい流れで野球がしたいというのが本音だった。しかし、みんながそういう想いがあるかはわからない。試合に出られれないけど、いい大学に行きたい生徒にとっては、今回の期末テストは大事な意味をなしているのだ。試合に出られなかった時間もあっただけに、そういう選手たちの気持ちもわかる。

 俺たちで言えば、山田や早川たちがそれに該当するんだろうなとなんとなく思っていた。山田や早川は、野球の結果はあまり出ていなかったが、勉強の成績は、チームでも上位3番くらいに入ってくる実力者たちだった。野球部は、川中が一番賢い。そこに続くのが、山田、早川、八幡たちが入ってくるだろう。俺もその中には、入っていける。昔から、親に勉強だけはするように言われていた。

 勉強もいい点数を取れとは言われない。答えのプロセス、どうすれば覚えれるか、どうやったら問題の本質を理解できるか、そう言ったことを徹底的に伝えられた。しかし、それも小学生まで。中学生になれば、完全に親が何か言ってくることはなかった。親は、優しく俺の様子を見守ってくれたのだ。今となれば、勉強について、何も言われない。志望校についても、ほとんど触れてこない。自由にさしてくれる嬉しさもあったが、それに応えないというプレッシャーの両方があったのだ。

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