6月24日 目指せベスト4
俺たちは、部室に飾られた"目指せベスト4"という横断幕が気になっていた。
俺 「なんだよ、これ?」
健太郎「さぁ?」
あまり気にしていないみたいだ。単語帳を見ている余裕がある健太郎は、充実しているみたいだ。羨ましすぎる。俺は、ユニフォームを整えながら、着替えていく。
俺 「ベスト4ってなぁ」
健太郎「どうせ、橘とか橋本だろう」
たしかに。こういうことをしそうなのは、橘と橋本ぐらいしか思い当たらない。
俺 「あぁ、たしかに。アイツら、早くあがってたしな」
普段は、遅いアイツらだったが、今日だけなぜか早かった。
健太郎「ベスト4ってむずいだろ」
俺 「抽選次第では、1回戦負けもありえるな」
俺たちは、大体2、3回戦で負けることが多い高校。10年に1回くらい、ベスト16くらいまでいくことがあるくらいだ。
健太郎「全然ありえるだろうな」
俺 「あいつらがいいところ、ひくとは思えないけどな」
川中のくじ運の悪さを嘆いていた。特に、春の海美線は、最も対戦してはいけない相手に一番最初に戦ってしまったのだ。プロ注目の春風に俺たちは、手も足も出なかったのだ。
健太郎「川中、くじ運なさそうだしな」
俺 「たしかにな。それより、今日単語テストだだろ?」
そうだ。早く帰らないと。健太郎の一言で俺は現実に戻された。
健太郎「あぁ、早く着替えていかねぇと」
俺 「もう、何人か帰ったのか?」
まだ、グラウンドにいて戻ってきていない人も何人かいた。一方で、橘や橋本たちのように先に行っているやつもいる。
健太郎「八幡とか川中とかは、もう行ってるぞ」
俺 「まじかぁ。急がねぇと」
俺は、ズボンをバックの中にいれた。先に準備が終わった健太郎は腰をあげた。
健太郎「俺、じゃあ、先行くわ」
俺 「うぃーす」
左手を挙げて動かした。
健太郎「おつかれい」
俺 「おう」
健太郎は、単語帳を持ちながら、部室を出ていった。確かに、今日の単語テストは、まじめに点数をとりにいきたいと俺も思っていた。テスト範囲の単語は、すでに知っていたし塾で何度もしていたから、わからないということはない。でも、もう何回か単語帳を見とかないと不安は消えない。急がないと。健太郎から遅れること5分。部室を後にした。




