表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/80

6月17日 時間

 宝来は、楽しそうに笑っていた。あのPK戦以来、ちゃんと来るようになってきていた。


 宝来「野球部って、"聖淮戦"何時から?」

 俺 「えーっと、確か13時とかやったと思う」


 同時間帯に競技が重ならないようにしてるみたいだった。


 宝来「昼からかぁー」

 俺 「サッカーは?」

 宝来「俺らは、11時から」


 11時台かぁ。


 俺 「11時からやったら、俺ら見れるわ」

 宝来「俺らは終わってからやな」


 宝来がこれだけやる気になってるのを見るのは初めてだ。


 俺 「てか、お前試合行くの?」

 宝来「試合は行くよ」

 俺 「行くんやな。ハハハ」


 宝来は、どこか気まずそうにしていた。


 宝来「練習は嫌いやし、アイツらも好きじゃないけど、試合は好きやからな」


 これが、宝来独自の理論だ。


 俺 「なんや、それ」

 宝来「負けられないからな」


 負けられない。宝来らしい。


 俺 「なんか気になる奴でもおる?」

 宝来「ああ。淮南のエース」


 淮南高校にそんな奴がいるのか。


 俺 「なんていう奴?」

 宝来「藤森春助」


 たしか、サッカー部の辰巳から聞いたことがある名前だった。


 俺 「そいつ、聞いたことある」

 宝来「へぇー、そうなんだ」

 俺 「どこ中?」

 宝来「海美」


 海美は、中高一貫校だった。


 俺 「海美から、わざわざ淮南きた?」

 宝来「ああ。アホやろ?」


 海美高校は、ここら辺でも偏差値が高い高校になる。そこに行かずにわざわざ淮南にくるなんてな。


 俺 「そのまま高校いけるのにな」

 宝来「ああ」

 俺 「何がすごい?」


 宝来は、腕組みをしながら答えた。


 宝来「沢田以外で、唯一凄いと思った奴や」

 俺 「へぇー。お前も凄いと思うことあるんだな」

 

 俺の中での宝来は、やんちゃで自信家だが結果は出してくる。そんなイメージだ。


 宝来「まぁ、そこまでやけどな」

 俺 「どっちや」


 宝来は、あまのじゃくな部分も多い。


 宝来「それより、お前はどうなの?」

 俺 「なにが?」

 宝来「試合出れそう?」


 それだ。俺は、人の心配できる立場じゃなかった。二日前の練習試合の残像が残っていた。


 俺 「いや、わからんな」

 宝来「まぁ、頑張れよ」


 俺の肩に手を置いて、ゆっくり立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ