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6月12日 決着

 相変わらず速いボールだ。コイツのボールをとっていたら左手が痛くなる。健太郎が投げたボールは、俺のグローブへと吸い込まれていた。グローブからボールを握り、健太郎へ投げ返した。もう少しと迫った"聖淮戦"。なんとか試合に出たい。その一心で今日も練習をしていた。


 ー6月5日ー


 キーパーの宝来は、驚きとともに苛立ちを覚えているみたいだった。指差した右手を引っこめて助走をさらにつけた。勢いよく前進し始めた。ボールを蹴ろうとした瞬間、宝来は右に飛び込んだ。

 あっ!!!!!キーパーの宝来は、真っ直ぐ飛び込んだがまだ、ボールはきてなかった。どういうこと?視線をキッカーにうつした。キッカーの沢田はまだ蹴っていなかった。そして、宝来がワンテンポずらした。誰もが想定したタイミングと異なって蹴り出した。

 意表をつかれたことに気づいた頃には、沢田はボールを蹴り出していた。1、2本目とはボールのスピードは緩かったが、性格なキックだった。ボールは、キレイにゴールへと吸い込まれていってしまった。

 結果、3対ゴールを決めた沢田は、前へと歩き出す。ゴールを決めた余裕なのか、まっすぐ歩いていく。キーパーの宝来は、飛び込んだところから立たなかった。打ちひしがれたように、俯いていた。アイツ、何するんだ?

 沢田が気になって動けない。これからの展開を考えると、胸の鼓動が抑まらない。ゴール前に来た沢田は、宝来を見下ろした。宝来は、立ち上がれない様子だった。すると、沢田の右手は宝来のもとへ。宝来は、右手をチラッと見た。そして、その手を握り返した。

 その瞬間、原田と野木が走り出した。そして、二人の頭を叩きながら喜んでいた。そこに、辰巳、中沢、唐沢、富山などサッカー部員がさらに迎えに行った。なんともいい光景だろうか?決してこんなので一致団結するわけはない。それでも、少しでも仲直りのきっかけになるのであればよかったのかもしれない。


 永谷「よかったな?」


 俺の方を見ながら、答えた。


 俺 「そうだな。まぁ、これからどうなるかはわかんねぇけどな」


 俺はサッカー部じゃなく、野球部の健太郎たちの方を見て、気持ち新たに切り替えた。


 永谷「アイツらのことだからな、またモメるかもな」


 たしかにそれはあるかもしれない。それでも、コイツらたちだったら、何とかするだろう。なんとなくそんな気がしていた。

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