表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/80

6月8日 3本目裏

 6月5日から、俺たちが群れることはほとんどなかった。というのも宝来が来てないからだ。アイツのことだから、また現れるとは思うけど。どこか心配になっている自分がいた。


 ー6月5日ー


 PK戦は、中盤へとさしかかっていた。攻守交代する際の宝来は、どこか余裕があるように見えた。


 健太郎「すげぇな、二人とも」

 俺  「そうだな」


 橘や橋本と見ていた健太郎が近くにやってきた。


 健太郎「後で、バッティングしようぜ」

 俺  「ティー?」

 健太郎「いや、フリーで」

 俺  「ええよ」


 キッカーの唐沢は、三度目のボールをセットした。


 健太郎「俺、先行くわ」

 俺  「このタイミングでいくの?」

 健太郎「お前みたいに余裕ねぇからな。ハハハ」


 健太郎は、そう言って俺たちから離れた言ってしまった。本音を言ってしまえば、俺にも余裕はねぇ。でも、この戦いを見ずして練習に集中できなかった。俺が、別のことを考えている瞬間、唐沢は、ボールを蹴っていた。歓声とともに、視線を向けた。またしても、唐沢が蹴ったボールは、ゴールネットを揺らせなかった。


 橘 「まじかぁ、惜しいなぁ」

 永谷「もうちょいやったな」

 橘 「これで、次、宝来決めたら試合が決まりそうやな」


 橘は、このPK戦をとても楽しんでいた。


 永谷「ほんまそれ。沢田どう?」

 沢田「もう、宝来の勝利じゃないかな?」


 後ろにいた、沢田は、永谷の肩に手をおいた。


 永谷「どうして?」

 沢田「おそらく、唐沢は精神的に追い込まれてると思うし」

 永谷「そうなの?」


 沢田は、二人の心情を推察していた。攻守交代をして、キッカーの宝来は、悠々とボールをセットした。今回は、中沢が笛を鳴らしてもすぐに蹴らなかった。俺たちの視線を集まるかのように、時間をかけた。


 沢田「たぶん、止めようと思えば、唐沢のシュートは止められると思うから」


 どういうことだろう?


 永谷「えっ、どういうこと?」

 沢田「どういうことだろうね。ハハハ」


 沢田は、不適な笑みを浮かべながら、上着を脱いでいた。背番号は「9」だった。


 永谷「あぁー」

 沢田「これで、決まりかな?」

 永谷「どこいくの?おい」


 沢田は、スパイクの紐を結んで、グラウンドの奥へと進んでいくのだった。


 宝来が蹴ったボールは、ど真ん中だ。ここでど真ん中を蹴れるメンタルがすげぇ。定位置にいれば捕れていたが、既に唐沢は右に飛び込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ