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5月26日 1ヶ所バッティング

 久しぶりのバットとボールが当たる感覚。バットに当たったボールを外野まで飛んでいく。俺は、バッティング練習をしていた。フリーバッティングは、5人1組で行われていた。俺たちの組は、佐伯、橋本、八幡、田畑がいた。

 相変わらずだが、橋本の打球は、ホントによく飛んでいく。180cmほどの恵まれた体格から、打球が外野を守る選手の奥まで飛んでいた。俺も負けじと飛ばそうとするが、なかなか飛ばない。

 6月には、修学館高校、山手西高校、そして、聖淮戦があり、7月には、県予選も始まる。そのためには、いち早く結果を出して、レギュラーに戻る必要があった。聖徳高校の外野は、レフトの安田だけが決定しており、センターとライトは空いている状態だ。

 これまでは、センターに俺が入り、ライトに小川が入ることが多かった。しかし、センターとライトはセカンドともにポジション争いの激戦区だ。早川、山田、そして俺と一緒に練習禁止だった永谷がいる。今までは、運良く試合に出れていたけど、これからも出れるとは限らない。

 フリーバッティングが終了した。ここからは、1ヶ所バッティングが始まった。ピッチャーは、優聖が入った。優聖は、中学校までシニアリーグで野球をしており、ピッチャーも経験している。最初に打席に入ったのは、佐伯。優聖は、綺麗なフォームからコーナーにストレートを投げ込む。佐伯は、2球ともファールになる。そして、迎えた3球目。インコース高めのストレートにバットが空をきった。

 俺たちは、優聖のピッチングに圧倒されていた。佐伯は、バットを下に打ちつけながら戻ってきた。ヘルメットをとり、優聖の方を見ていた。よっぽど悔しかったのだろう。そんな佐伯に続いて打席に入ったのは、橋本だった。

 橋本は、いつものようにバットを高く構えていた。優聖のストレートは、確かに速い。しかし、ストレート一本で橋本を抑えることは不可能だと思っていた。俺のよみがあたった。"カァーン"

 やや高めにきたストレートを捉えた橋本の打球は、白線上に飛んでいた。レフトは、一生懸命追っていくが、あまりの飛距離に追いつかない。ボールが落ちた場所は、白線よりも少し左に切れていた。一塁方向に走り出した橋本は、打席に戻ってきた。

 しかし、その後、橋本が走り出すことはなかった。それもそのはず。優聖が投げたボールは、ストレートの軌道から落ちるフォークボールだったからだ。

 

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