26話 進展
私はカイとサリィ、ミナミに自分があのアパートで見た光景を
ありのまま写真を添えて話した。
思い出すだけで気分が悪くなる、今まで仕事柄、真っ二つに切られた死体や
頭を撃ちぬかれた死体に、あのデカブツ女に顔をつぶされた死体も見てきたでも、
今回の死体だけは話が別だ、あんな気持ちの悪い殺し方ができるの人間じゃない
明らかに頭のねじが一つ、いや三つくらい外れた相当のイカれやろうってだけだ。
敵対している人間ではなく普通の家庭、しかも子供までも殺しているのがそれを裏付けている。
私が話し終えても誰も口を開かない、当たり前だ。
これからこのイカれやろうと私たちは対峙しなければならないのだから。
カイがふうッと煙草の煙を吐き出し、沈黙を破る
「それで、見かけた奴がどんな奴なのか全くわからないのか?」
この写真を見ても、やはりカイの中ではやることは変わらないらしい
「はい...強いて言うなら、身長がアパートの手すりぐらいとしか」
「結局、事件が起きたてホヤホヤの現場にありつけたってだけじゃない!そんなの次の日に
なればニュースでやってる内容じゃない!」
ミナミにごもっともなことを言われてしまった。
言い訳するなら、決してテレビでは流せないグロ写真を撮れたことしか収穫がない
「すみません...」
私は肩をきゅっと狭めてそう言った。
いや待てよ、この二人は結局、今日まで何の情報もないのじゃないか
そうは気づいたものの口に出すと厄介なので言うのはやめた。
「別にいい、それに手すりくらいの身長っていうのがわかっただけでも収穫だ」
カイがフォローに入ってくれた
「私が知り合いから集めた情報も共有しておこう」
どうやらカイの情報収集とやらはほんとだったらしい
「恐らく犯人は女、能力はやはり相手の体内の血を沸騰させるような能力で間違いないだろう」
「どうしてそんなのわかったんですか?今まで犯人像はニュースとかでも出てなかったですよね」
その知り合いとやらがどうやって性別や能力の断定をしたのか不思議だ、今までそこら辺の事は、
わからずじまいだったのに
「この事件が起きる少し前に、この町の野良犬が似たような死に方をしている死体が
いくつかあったそうだ」
カイは煙草、吸いながら話を続けた
「その時、ちょうど目撃者がいたらしく長髪でブロンドの髪をした若い女だったそうだ
リナが見た人影も手すりよりも少し高いくらいの身長なら恐らく同一人物で間違いないだろう。
ほぼ同じような能力が他人と被る、しかも同じ町にいてほぼ同時期に似たような事件を起こすとは考えにくいからな」
なるほど、さすがカイだ。
私はカイの名推理に感嘆しながら煙草に火をつける
つまり今度やることは、この町にいる長髪、ブロンド髪の女を片っ端から犯人ですか?と、
聞いて回ると、今持っている情報だとこれ以上絞れないからな!
感嘆で火をつけた煙草を今度はため息と同時に煙を吐き出した。
ミナミを同じ考えのようで
「それじゃ、町中のブランド髪の女を片っ端から調べていくの?」
呆れながら言い放つ
またもや重たい空気が張り詰め始めたところで写真をまじまじと眺めていたサリィが
うーんと喋りだす
「今回も子供が一番ぐちゃぐちゃだね」
さっきまでずっと黙っていたがまじめにくれて考えていたとは
てっきり明日の予定でも考えているのかと思った。
カイが前回のどこからか持ってきた写真を机の上に並べる
確かにそうだ、どれも子供が一番ぐちゃぐちゃだ
その次に母親、次に父親の順番で遺体の損壊が激しい
そしてもう一つ気づいたことがある、全部子供が女の子なのだ
「それでこれが何なの?犯人の絞り込みにならないでしょ?」
ミナミがぶっきらぼうにサリィに言う、これは飽きているのか、はたまた相手がサリィだから
そういったのかはわからない。
ただそれは間違っている
「そんなことはありませんよ、大体の犯人像そして次狙われるかもしれない家庭の絞り込みができたってことですよ!お手柄ですよサリィ」
私はそう言いサリィにサムズアップをして見せた
「そうでしょ!サリィのお手柄でしょ!」
サリィは得意げに胸を張り、ミナミにドヤって見せた
悔しかったのかそんなサリィにミナミが飛び掛かり取っ組み合いが始まった。
あぁ、何ともほほえましい景色だろう。美少女二人の取っ組み合い、これは捗る
そんな空気を崩すようにカイがすっと立ち上がり
「これから夜全員で犯人捜しに出るぞ」
そう言い放つ
サリィと取っ組み合った姿勢からミナミが驚いたように言う
「明日から!?」
「いいや、一週間後からだ、今日犯行に及んでからすぐには事件は起こさないだろう。
次に犯行に及ぶときは決まって前回の犯行から一週間後から三週間の合間だからな」
この短時間で見回りの計画までしっかり立てたとは流石だ
よく考えれば結構な高頻度で犯行が行われている。
全員で血眼になって探せば案外早く決着がつくかもしれない
「えぇ~明日からじゃないの」
サリィが残念そうに言う
情報収集などそういった頭の使いそうなことは嫌がるが
やはり犯人と直接の対峙など戦闘に発展しそうになるとずいぶんとやる気みたいだ。
「サリィ、明日から行っても犯人は見つかりませんよ」
私はサリィをなだめて煙草の火を消した
今回の作戦会議はこれにてお開きだ
この事件の何かが進展する気がする
そんな思いをはせて私は部屋を後にした




