25話 遭遇
「ふわぁ、眠い」
不意に大きなあくびが出てしまう。
いまだに何の手掛かりも得られず、カイは、情報収集だと言ってここ最近、朝起きると
どこかに行ってしまうし、ミナミとサリィは全く協力してくれない、外に出たと思いきや
普通にどこかの公園で遊んで帰ってくるだけだ。
仕事は終えなければ金が入ってこないことに気づいていないのだろうか?
それに、今更ほかの仕事に鞍替えすることなどできない、この依頼を引き受けてから
一か月は経った今「やっぱむずかしいからやめます。」なんて通じるわけがない
そんなことをすれば私たちに新しい依頼はもう来なくなるだろう。
かくして、私はここ数日、タイミングよく事件が起こってくれるくれることを
願って深夜の街を練り歩いている。
もうこれしか私には手段がない。結局カイは何をしているのかわからないし、、、
私はちょうど通りかかったベンチに腰を掛け、煙草に火をつけた。
「もう、今日は帰るかぁ」
たいした収穫もないし何か起こる気配もない、警察車両のサイレンも銃声も
何一つ聞こえない
バタバタ!ドン!
「なんだ!」
私が歩いていた大通り沿い、それも近くのアパートから何か倒れるような大きな音が
聞こえてきた。
「このアパートだと思ったんだけど、、、」
音が聞こえたであろうアパートの中に入り階段を上がる。
適当に何階層か上がった後、アパートの廊下を見ると少し離れた場所に人影が見えた
このアパートの住民だろうか?さしずめ音が気になって自分の部屋からちょうど出てきたところだろう
私は階段近くから声をかけた
「あのー、すみません!なんか物音聞こえませんでした?」
すると突然その人影は、私とは反対方向に走り出した
「あ!待って!」
私も反射的に走り出していた、だがもうすでにその人影は反対側の階段に到達しており
一階に向けて降り始めてしまっていた。
このアパートの廊下は電気があるとはいえ、結構暗い
あの人影が廊下の手すりの塀より少し高いことくらいしかわからなかった。
「はぁはぁ、喫煙者を突然走らせるなよ」
以前の仕事でケガを負って以来、ここ数日ろくに運動なんてしてない私の息は絶え絶えだ
アドレナリンも出てないようなこんな状況だと特にだ
「何だよもう」
私は多少の悪態をつきながらあの人影がいたであろう、部屋のまで戻った
あの様子だと泥棒かなんかか?全く面倒なことに首を突っ込んだ
今はそれどころではないのに、、、
インターホンを押すが応答はない
私はドアノブに手をかけ捻る、案の定、泥棒に入られていただけあってカギは掛かっていない
「お邪魔しますよっと」
中にだれもいなければそれでいい、家主が拘束されてれば助けるし、最悪仏になっていれば警察だ
だが私の考えは甘かった、泥棒なんて生易しいものではないことに気付く
家の中には父親であっただろうもの、母親であっだろうもの、そして娘であっただろうもの
私は、その光景とニオイに負けて、思わず吐いてしまった
「うっ、おえぇーー
最悪だ、あれだけ都合よく事が起きないかと思っていたのに、これはさすがにホヤホヤすぎる
カイに見せられた写真通りの遺体だ、体中が煮立ったような
それに耐えきれなかった部位は破裂し肉片や血があたりに飛び散っている
まさに地獄なような光景だった。
できるだけ現場の写真を撮り、現場をあとにした、最悪の後味を残して、
「どうしたのーリナ?」
サリィとミナミがソファから振り返り私に問いかける、きっと表情が物語っていたのだろう。
「まだ起きていたんですね」
私はそのまま、本を片手に煙草をたしなむカイと二人に今日の出来事をすべて話した




