17話 幕引き
目の前の光景がぼやけて見える
強いて言うなら横っ腹から内臓にかけて形容しがたい痛みがただひたすらに痛いという事しかわからない
「オエェッ」
ドロっとした血が口から大量に出てきた、でも不思議なことに不安は何も感じない、普段なら病気かもとか
なんかやばいかもだとかそんなことを考えるだろう。
今思うことはそりゃ血も出てくるだろうという納得感ただそれだけだった
「丈夫だね」
このデカブツがぼそっと言った
そうだったこいつにハンマーで殴られたんだった。
「あぁ、クソいてぇぇ」
ゆっくりと膝をつく、だか力が入らない、力を込めるよりも先に鋭い痛みが先に来る
「クッ!」
「もう立ち上がるの?いやぁ、すごいね」
このデカブツもおっとりと余裕そうでむかつくがよく見ると血だらけだ
さっきまでの私の攻撃が利いていたのかもしれない
「それじゃぁね」
そういいながら、ゆっくりとハンマーを持ち上げていく
どうにか次の一手を考えないと”死ぬ”
でもどうやって?銃は?あそこだ、手が届かない
ならほかに何かあるか?
「んッ」
こいつが力んだ、来る!
考えろ!どうする
私は頭がよくない。それはわかっているだからこんなことになっている
こんな死に方普通の人間なら絶対しない。
あぁ、そういえば漫画家は自分よりは頭のいいキャラを作れないとか聞いたことがある気がする
私はその考え方には一つ穴があると思う。自分が悩み考え抜いた秘策をそのキャラには一瞬で思いついたことにすれば良いのだから。
そして私にはそれができる!
即座に能力を発動する
こんな状況なのに物凄く落ち着けている
さっきまでの発動によるダメージなどまるでなかったかのように
透明で澄んだ、誰もが縛られている時間を一人抜け出しているかのような
今この瞬間は私だけの
「時間だ!」
必死に立ち上がりハンマーが振り下ろされるであろう地点を避けるように飛び退く
そのまま下に落ちていた空き瓶を拾い上げ奴の顔面にめがけて思い切り振りぬいた
「うおりゃぁぁぁ!」
パリィンという音と共に
ドゴォォというハンマーが振り下ろされたである音が後ろから響く
振り向くと存在感のある巨体がまだ立っていた
「まだ元気かよ!」
私は割れた瓶を投げ捨て身構える
すると
バタン!
と勢い良くデカブツが倒れた
「アウゥゥ~」
と目を回しているようだった
「獣かよ」
そう言った私も限界だったらしく
クラっと来たと思うとそのまま意識を失った
目が覚めるといつものベットの上だった
体を起こそうと思い力を入れようとすると
体の全身から痛みを感じ起き上がるのをやめた
ふと隣を見るとカイが静かに読書をしているのが目に入った。
私が起きたことに気づいてないのだろうか?
「カイ」
呼びかける
ぴくッ!と
体を動かし少し驚いたような顔をする
「起きていたのか」
「今、目が覚めました」
「そうか」
そういい本を閉じ部屋を出ていこうとするカイに仕事のことを尋ねた
すると結局目的の物はあのデカブツが先に暴れていたせいで他のマフィアどもが持って逃げていたこと
小柄な妙な女がいたこと、デカブツはのびていたためそのまま放置したことなどを聞いた
一人になった部屋で私はあの時の自分の能力の事を考えていた
明らかにいつもの時とは違っていた
時が遅くなっているときに私が前より速く動けるようになっていたのか
時間をより遅くできたのかわからないが、どうやらまだ私の能力は完全に発現しきってないらしい
そんなことを考えていると疲れを感じまた私は目を瞑った




