11話 新たな
あの一件から数日後スカラー地区にあるバーでクライアントと落ち合う事となっていた
「あぁーいてぇめっちゃ痛い」
バーの隅っこのほうにあるボックス席で悶えていた
あの時黒服どもからもらった鉛玉が見事腹をぶち抜いてくれた、幸い致命傷ではないとはいえ激痛には変わりない
「起きろっ!」
隣に座るマフィアンコートみたいなのを着た大柄な女をたたき起こす
「ふぇ?」
きょとんとして目を覚ました女の名前はアイシード、一応今までで一番長くコンビを組んでいる
「来た?」
おっとりとした口調で聞いてくる
「見りゃわかんだろ、迎えの席にだれか座ってるように見えるか?」
質問しなくてもわかること言われると腹の痛さに遡上して余計に苛立つ
あ゛ぁ゛ーとうなりながら痛みをかき消すように酒を一気に流し込み話を続けた
「あのなぁ、話をつけるまでが仕事なんだ、わかるか?仕事中に寝るな」
そういうとアイシードは分かったってばとゆっくり答えながら煙草に火をつける
「吸う?」
一度は咥えた煙草をこちらに向けて勧めてくる
「いらねぇ、んなもんなくても酒で十分だ」
あっそといった顔をしてアイシードが煙草を咥える
「ところでさ~」
おっとりと明るい声で話し始める
「なんていうの?依頼の子は確保できてないし」
煙を吐き出す
「んなことは簡単だ、情報が全く持って違った」
酒を流し込み話を進める
「つまりあっちにも非があるってこった、失敗したって文句言えねぇだろ」
そうこう話しているうちに店のドアが開いた。
真っ赤なスーツを着た女が一人、後ろに恐らく付き添いか護衛だろう黒いスーツを着た男が二人入ってきた
女が店内を見渡しこちらを見たと思うと足早に近づき正面の席に座った
「初めまして」
淡泊に挨拶をしてきた
30真ん中かそれより下かそういった具合の女だ、だか多分同年代の男からはモテるだろう、そんなきれいな顔をしているいかにもマダムって感じだ
挨拶に合わして二人の男の内一人は私達の椅子の端に立つ、恐らく逃がさないためだろう
「確認だけれどもあなたが依頼を受けてくれた仕事屋でいいのよね?それで隣の子が頼んだ子、、、かしら?特徴が全然違うようだけれども」
女がアイシードに向けて質疑を放つ、依頼の子は確かガキのはずだ、こいつッッ
「待て、依頼受けたのは私だ、こいつはただの仕事仲間だ!」
女が不思議がる
「確か落ち合うときの目印じゃ黒のコートにボルサリーノを被った大柄な女、じゃなかったかしら?」
「何が気になる?”目印”だとちゃんとメールには書いたはずだが?」
女が顎に手を当てて少し間を置いた後話し出す
「まぁいいわどちらでも、ごめんなさいねお嬢さん」
私のヘイトが溜まっていく
「黙れ!こう見えてもお前が間違えた女よりは年上だ」
そう他人にお嬢さんに見えてしまう見た目でもアイシードより年上だ
「どちらでもいいといったでしょ?安心したわこんなみすぼらしい服着た子があの子だなんて」
余計なこと言うババァだ
「あの子?」
ただ最後の物言いが気なったが
「本題に入りましょう、依頼の子は?」
話を速攻で変えられる、まぁ、別にどうでもいいが、だってここにいないし、、、
口を紡ぐ さてどういったものか
はぁ、と女がため息を出し男に簡単な合図を手で送る、すると男が手に持っているジュラルミンケースから金を一束取り出し机に置く
「まだ信用できない?金なら用意しているわ」
これだから裏の人間を使うのは、といった小言を女はつぶやいた
これはまずい、もう依頼を達成しているものだと思っている。
これ以上黙っていても仕方がないので
「まず結論から言うがガキならいないぞ」
そう口に出した時男が金を回収する
そういうしかないがこちらに非があるようにはしない
「あんたらの情報まずデタラメすぎる、どうやって依頼を達成しろと?あそこには同業者がほかにもいた、しかもごまんとだそれに―――
「だから?」
低い声で女が答える
隣の男に横目を流すと懐に片手が入っている
反対側に目をやるとアイシードが壁に立て掛けてある棒をひっそりと握っている、いや、あいつらの角度じゃテーブルや私やアイシード自身が死角になって見えてないが足元、つまり棒の先端には馬鹿でかいハンマーヘッドがついている、すなわちこいつの獲物はハンマーだ
女が呆れ顔をする
「これだからこういう連中を使うとこうなる、初めからもっと大手に頼むべきだったわ」
いったん呼吸を整えまた口を開く
「できるだけ大きく動きたくないのよ、わかる?だからあなた達見たいな誰にも知られてないようないかにも足がつかなそうなのを選んだのに」
イラつきが頂点に達しそうだが口をつむぐ、ここで騒ぎを起こすのは賢い行いじゃない
女が席を立った
「高い勉強代になったと考えましょう。むろん渡す報酬なんて一銭もないわ
その傷は自分で治しなさいな」
そう言い放ち男どもを連れて店を出て行った
包帯は服で隠れていたはずだ、仕草でバレたか?
「ねぇ?いいの?ずいぶん言われっぱなしだったけど」
アイシードが顔をのぞき込ませながら言った
「バカ、ここで言い返せば穏便にはすまかったろこれでいいんだ、それに仕事がろくにこなせないなんて
言いふらされてみろ、本当に仕事がなくなっちまう」
「でも私はいいけど、メイちゃんケガどうするの?」
外でちゃん付けで呼ぶなと言ってるのに、こいつは本当に、、、呆れた
「寝てりゃ治る」
そう怒気をはらませて答えた
「ならいいけどメイちゃん武器は?マガジン一本壊して一本はどこかに無くしてそのうえ弾は?もう二箱くらいしかないんじゃなったっけ?」
しまった完全に忘れてた、そう私の背中とズボンの間に刺さっている45口径の立派な自動拳銃は今やマガジンは一本しかないうえ、弾もあと少ししかない
ハードラックのクソ女店員に聞いてみても{こんな骨董品、在庫はないです、取り寄せになりますがいいですか?料金割増しですが}なんてほざいていやがった
あぁ~余計なことを言いやがってテーブルの上の札だけでもパクって逃げりゃよかった
「帰るぞッッ!!」
席を立ちマスターの前のカウンターテーブルにバンッ!となけなしの金を叩きつけ店を後にした




