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79話 出発しました!

 エルフをどう助けるかを協議するため、俺は天幕に皆を集めた。


「牛の頭の巨人、ミノタウロスか……ふむ、聞いたこともない」


 エントのエクレシアはそう言って腕を組んだ。


 物知りのエクレシアでも、知らない種族らしい。


 まあ俺たち人間だって、見たことがある者はいないだろうけど。


「巨大な斧を使う、怪力の巨人……しかし、どうしてまたそんな種族が復活したのでしょうか?」


 イリアがそんな疑問を口にした。


 というより、本当にミノタウロスが存在するかも怪しい。突然エルフを襲ったのもどうしてなのだろうか。


 一方でエルフのモニカが嘘を吐いているとも思えない。

 深刻そうな様子だったし。俺たちが見つけたとき、確かに背中に大きな傷があった。何者かと争ったのは確かだ。


「それも不明だし、敵の規模も分からない……そこでまず、俺がモニカの一族の様子を見てこようと思うんだ」


 モニカは戦うための弓が欲しいという。他のエルフたちも同様に武器を欲しているだろう。だけど状況によっては衣食住のほうが先に必要かもしれない。俺なら城壁や簡単な服、井戸だってすぐに作れる。


「では、私も」


 イリア……だけでなく、皆も自分も行くと言って立ち上がった。


「皆、気持ちは嬉しいが……あまり大勢で押し掛ければ、エルフたちを警戒させるかもしれない」


 もともと外との関りを嫌っていた者たちだ。

 そもそも援助を申し出ても、信用してもらえるかどうか。


 イリアは頷くが、真剣な顔で続ける。


「ですがヨシュア様。お一人では危険すぎます」

「それはそうだが……分かった。誰か、護衛として付いてきてもらおうか」


 問題は誰を連れていくかだ。

 この感じだと、皆自分がと争いになる気が……


 だがイリアは皆と頷き合い、俺に言った。


「私とメルクさん、あとアスハさんがお供いたします」


 呼ばれなかったメッテやエクレシアは全く不満そうな顔をしていない。我関せずと外で日向ぼっこしているセレスは分かるが、この二人が素直に聞いたのはちょっと意外だ。


 少し驚いたのが顔にでてしまったのか、察したようにメッテが言った。


「こういうときのことは皆で話し合っていたんだ。留守は私とエクレシアが担当する。やはり武技で一番は姫だし、足の速さはメルクだ。天狗のアスハは空を飛べるからな」


 エクレシアもうんと頷く。


「何かあれば、私たちも他の仲間と向かえるようにしておく。だからまずは様子を見てくるといい」

「あ、ありがとう二人とも」


 普通に深刻な事態だもんな……皆、こういうときは協調してくれるからありがたい。


「よし……それじゃあ早速行ってくるよ。何かあったら、アスハに連絡を頼むから」


 俺たちはモニカの案内の下、エルフたちと合流することにした。

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