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240話 召喚されました!?

「うぉおおおお!!」


 メッテとベルドスが並走し、キラーワームの大群に突っ込む。二人の振るう金棒と斧によって、キラーワームは薙ぎ払われていった。


 キラーワームにも跳躍力はあるから飛び掛かって攻撃してくる。しかしアスハの風魔法に吹き飛ばされるだけ。


 地中から迫る者はエクレシアの操る木の根が動きを止める。そこをモニカが弓で、俺とメルクが魔法で攻撃した。


 一方のイリアは……目で捉えることはできない。


 だが遠くで次々とキラーワームと精霊が倒されていくのを見るに、俺たちの周囲をひっきりなしに移動して戦っているのが分かる。


 俺たちはそうして、行く手を阻むキラーワームと精霊を倒しながら進んだ。


 順調に進めている。キラーワームの大半も倒れた。


 しかし徐々に強くなる南からの魔力の反応に俺は焦りを感じる。


 近づいているから反応が強くなっているだけでなく、ある一か所に魔力が結集しつつあることに気が付く。


 それに気が付いたのか、ヨモツもこう呟く。


「……これは。大精霊の召喚を行っているのか?」

「大精霊? そもそも精霊とはアンデッドの一種なのか?」


 俺が問うと、ヨモツは首を横に振る。


「厳密には違う。キュウビのは召霊術といって目に見えぬ生命の残滓を使用している。魔力を使う点は死霊術と変わりないが、キュウビのものは形をいかようにも形成できる」


 では、この人型のアンデッドもキュウビが形成したものということか。


「大精霊は……」

「うむ。巨大な精霊を作り出しているのだ。通常の精霊よりも多くの残滓を注ぎ込んでな……奴の作り出す精霊を甘く見ないほうがいい。召霊術に限っては魔王様以上の腕を持っている。できれば、召喚の前に止めるべきだ」

「急いだほうがいいということか」


 ……飛行艇で行くべきか? いや、俺の魔法工房にあるのは小型で戦闘用にはできていない。堕とされる可能性もある。


 そんな中、後方から地響きが迫ってきた。


「メッメー! 吹き飛ばされたくなかったら道を開けるっす!」

「セレス!」


 メッテは後方に振り返り声を上げた。


 そこには白光する紫鉄の戦闘馬車の編隊があった。キラーワームと精霊を突進によって跳ね飛ばし、こちらに走ってくる。


 戦闘馬車は俺たちの横を通り抜け、まっすぐ南へと向かっていった。


 そんな中、一台の戦闘馬車が近くに停まった。中からセレスの声が響く。


「ヨシュア様、うちらが先鋒を切るっす!」


 開いた小窓からは、ドワーフのユミルが顔を覗かせる。


「ヨシュア! ワシらが道を作るのじゃ! 少し遅れて、ワシらの後ろに続くのじゃ!」

「ああ!」


 俺の声にユミルを乗せた戦闘馬車は再び進み始めた。


 戦闘馬車に吹き飛ばされる敵だが……やがて、戦闘馬車は通った道に丸い物体を落とし始めた。ドワーフの作った爆弾だ。すぐに爆発が各所で起こる。


 突進だけで仕留めきれなかった敵を、爆弾は一網打尽にした。


「おお! 敵がめっきり減った! 私たちも続くぞ!」


 メッテの声に俺たちはおうと応え、、戦闘馬車が開けてくれた道を進んでいく。


 戦闘馬車が通った道に敵はほとんど残っていない。俺たちはほぼ足を止めることなく、南へ向えた。


 そうしてもう少しで魔力の反応、というところまでようやく到達する。


 メルクが声を上げる。


「見つけた……」


 メルクの視線の先には、手を合わせ魔力を纏わせるキュウビがいた。


「メッメー! 一気にやるっす!」

「待ってください、セレスさん! あれは私が!」


 イリアがそう言うと、セレスたちは戦闘馬車を止める。


 すでにこの付近には精霊もキラーワームもいない。


 あとはキュウビに近付くだけだ。


 しかしキュウビはぎりぎりまで俺たちを惹きつけたかったのだろう。


 突如合わせた手を上げた。


 モニカがすかさず矢を放つ。


 だがそれは見えない壁に弾かれた。


「くっ──イリアさん!?」


 モニカはすでにイリアがキュウビのもとに駆け寄っているのに気が付く。


 だがそのイリアも、見えない何かの攻撃を刀で受け止め下がった。当然、無傷だ。


「あれは……」


 見えない何かは、次第に光を帯び始めた。


「イリア! 一度下がるんだ! クラフト──ウォール」


 俺はイリアと皆が引き下がったのを確認して、岩壁を展開した。


 するとすぐにぼうぼうと何かが燃えるような音が響き渡る。周囲が赤く染まり、汗ばむような熱気が襲う。


「セレス! 悪いが馬車を借りるぞ!」

「メメ?」


 俺はセレスたちが乗ってきた戦闘馬車を魔法工房へと回収すると、それを紫鉄の鉄板に変えて岩壁の後方に立てる。


 刹那、壁の向こうからどかんと大きな爆発音が響くのだった。

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