表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

218/253

218話 乗り込みました!

 宴会場からフェンデル村に一旦帰還した俺は、皆と作戦会議を開くことにした。


「危険すぎる……あの鎧はハイドを使えるんだぞ」


 俺の話を聞いたメッテはそう答えた。


 メルクも珍しく真剣な表情で頷く。


「一体とは限らない」

「確かにヨシュア様の魔法は凄まじいですが……」


 アスハもいいづらそうに言った。


 魔王からの停戦交渉の申し入れ。

 中間地点ではなく、直接魔王軍の陣幕に来てくれと言う。


 今までも、戦線が膠着した際、何度か停戦について人間と魔王軍が話し合うことはあった。


 その場合、やはり不利な方が有利な方に赴くのが通常だった。今はどちらが有利とはとても言えないと思うが……ビッシュらオークを退けたぐらいでは、確かに有利とはいえない。南にはフェンデルの人口の何十倍もの魔王軍の軍勢がいる。


 とはいえ、魔王軍も使者には危害は加えたと聞いたことはない。


 もちろん、それは人間が相手だからだ。だが、俺たちは主に亜人が集っている。どう出てくるか……


 それに、あのゴブリンのグリニアは恨みを募らせているはずだ。ビッシュたちオークの仲間もいるだろう。俺たちの停戦条件に再び怒り、周囲に俺たちを斬らせるよう命じるかもしれない。


 確かに危険、だ。


 しかしイリアだけはこう答える。


「私も……内心は反対です。ですが、行かれるのなら必ず私をお傍に」

「イリア……」


 皆、自分もと名乗り出てくれる。


 しかし俺はこう答えた。


「もともと……イリアにだけは一緒に来てもらおうと思っていた」


 皆、ずるいとは言わない。


 イリアの戦闘の腕は誰もが同盟一と認めている。

 それに同行者があまりに多ければ、戦いの際、皆気を遣う相手が多くなる。俺とイリアだけのほうが、却って安全というわけだ。


 無言で皆、こくりと頷く。


 そんな皆に俺は言う。


「……とは言ったが、いざとなればデーモンのロネアを召喚する。それに、皆にも頼みたいことがある」

「頼みたいこと?」


 メッテが俺に訊ねた。


「あれを……作っただろう? そして狐人たちはハイドの達人。ノワ族たちもいる」

「なるほど。意表はつけるな」

「最悪、それを使って、敵を脅迫する……今日明日で、準備を整えよう。皆、協力してくれるな?」


 俺の声に皆頷いて応えてくれる。


 ユミルはこう言った。


「もちろんじゃ! それと、爆弾の新型ができたのじゃ! 前よりも大きな爆発を起こせる!」

「メルクとアスハも新しい魔法を編み出した。安心する」


 フェンデルの皆の力が合わされば、もう怖い物は何もない。

 

 ここで俺たちの力を示し、もう二度と魔王軍がフェンデルを襲ってこないようにする。


 魔王とキュウビの陰謀も気がかりだが、まずはそれが一番重要だ。


 もちろん、あわよくば魔王の陰謀を探れるといい。


 いずれにせよ、あの黒い鎧が何か秘密を握っているのは間違いない。


 黒い鎧の動向には、あの交渉の時も気を付けないとな……


 俺は、来る交渉の日に向けて準備を進めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術大学をクビになった支援魔術師←こちらの作品もよろしくお願いいたします!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ