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206話 脅しでした!?

 魔王軍の特使がやってきた翌朝。


 南方に偵察に向かっていたアスハが村に帰ってきた。


「アスハ。夜に引き上げてこいと言ったのに」


 報告に戻ってくる天狗に夜には引き上げるよう伝えたが、なかなかアスハは偵察から帰ってこなかった。


「申し訳ございません。でも、私がいかなければ」


 天狗でハイドを使えるのは、今のところアスハだけ。

 それもあって、魔王軍を偵察できるのは自分だけと考えたのだろう。


 メルクが訊ねる。


「魔王軍は?」

「やはり、こちらにはやってきません。逃げたゴブリンも数百の手勢と合流すると、南へ逃げていきました。逃げた先には確かに万を超す魔王軍がいましたが、北ではなく西の人間の街の前に陣を張っているだけです」


 その報告は、すでに天狗を通じてアスハからもたらされていた。


 しかも、その人間の街も魔王軍は落とせてないようだ。


 オークたちを通じてフェンデルの戦力は分かっているはず。攻めるなら少なくとも一万の軍はなければ話にならないと考えると思うが。


 イリアは呟く。


「このまま引き下がるとは思いませんが」

「ああ。油断はできない……ゴブリンはともかく、あの黒い鎧のような者もいる」


 ハイドを使い、一瞬で飛び去っていった。

 デーモンのような強力な魔物と考えていい。


「ある程度の軍勢を隠して、こちらに近付けてくるかもしれない」


 俺が言うと、エクレシアが言った。


「地面を進む者なら、私たちエントで察知できる。任せてほしい」

「ああ、頼む」


 そんな中、メッテが呟く。


「でも、あの黒い鎧のやつ、話は通じそうだったが」


 ベルドスが「どうかな」と口を開く。


「敵情視察にきた、ということも十分考えられる」

「ゴブリンたちが騒々しい一方で、終始静かでしたからね……」


 モニカもそう呟いた。


 ベルドスの言うように村の中を調べる目的は当然あっただろう。

 それに、黒い鎧が俺たちを油断させるために、ああいうふうに言った可能性もある。


 エクレシアが言う。


「水路の位置などは把握されてないと思うが、ここで守るのはあまりよくないかもな」

「そもそも畑もありますからね……オークの時のように、街道で迎え撃つのがいいのでしょうか」


 イリアの声に俺は頷く。


「そのつもりで準備を進めよう……あるいは、あの鎧の者の言葉で、魔王が考え直してくれればいいんだが」


 そう話していると、セレスが言う。


「メッメー。その鎧のやつ、なんというか妙な奴だったっす。ロネアちゃんを見ているときと同じような……」


 ロネアは、俺たちが召喚できるデーモンロードだ。

 となれば、やはりあの鎧はデーモンなのだろうか。


「ともかく、しばらくはフェンデルに留まる必要がありそうだな。海もどうなるか分からない。カッパたちにも警戒するよう伝えよう」


 俺の声に、頷いてくれた。


 その日から俺たちは戦いに備えるのだった。

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