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190話 子狐でした!?

「な、なんだこいつらは!?」


 メッテは自分にひっつく子狐たちに戸惑う。


 俺の足元にも子狐たちが引っ付いてくる。


 狐たちは何かに怯えているのか、体をぶるぶると震わせていた。


「可愛い……じゃなかった! どうして、こんな場所に狐がいるのでしょう」


 イリアは狐をぎゅっと抱き抱えながら言った。


 数十匹の子狐。たまたま紛れ込んだ数ではない。


 ただの狐……とも思えないな。時折、狐たちからは人間のような言葉が聞こえる。


 まだ拙いが、怖かったとか、親を呼ぶ声だ。


 もしかして、この狐たちも亜人?


 キュウビやヨモツ、そしてここにいるミリナのように狐人だったりするのかもしれない。


 しかし、とても狐たちから何かを聞き出せるような状況ではない。皆、まだ小さく泣きわめいている者も多い。


 まずは落ち着かせるべきか。


 そんな中、狐にもみくちゃにされるメルクが淡々と呟く。


「ミリナ、落ち着かせる」

「え、あ、うん!」


 ミリナはすうっと深く呼吸すると、鼻歌を響かせた。


 すると、それを聞いた狐人は瞬く間に静かになる。


 やがて疲れていたのか、ぐっすり寝始める者も現れた。


 それを見たミリナは意外な顔をする。


「嘘……皆、静かになった」

「妹や弟に聞かせていた歌」


 メルクはすでにミリナが歌っているのを聞いていたようだ。


「うん……よく、お母さんが歌っていた歌」


 ミリナは自分に甘える子狐たちを見て、驚くような顔をする。


 だがやがて、まだ涙目の子狐を優しく撫で始めた。


 もしや狐人というだけでなく、ヨモツと関係のある一族なのだろうか。


「ともかく……私は皆のご飯を作ろう」


 メッテの言葉に俺は頷く。


「ああ。すぐに調理の準備をする。アスハは、周辺の警戒を頼めるか? もしかしたら、近くに狐の仲間がいるかもしれない」

「かしこまりました」


 そう言って、アスハは空へと上がった。


「他の皆は、とりあえず狐たちを落ち着かせよう。それから……もし仲間が見つからなかったら、ノワ族の家は少し手狭だから、一度、皆を村で預かるとしよう」


 俺の声に皆、うんと頷いた。


 その後、俺たちは狐に水や食事を取らせる。


 皆やはり腹を空かせていて、出すものはなんでも食べるほどだった。


 一方、アスハは他の天狗も呼んで捜索してくれたが、狐たちは見つからなかった。


 なので、この岩山に塔を建てノワ族に監視を頼み、俺たちは狐を連れて一度フェンデルへと帰還するのだった。

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