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127話 手分けしました!

「むう……メッテ、頑張れるでしょ?」


 イリアは珍しく頬を膨らませ、メッテをじいっと見た。


「わ、私はもちろん心配してません。だが、ヨシュアの言う通り、戦力的にはイリア様とヨシュアが分かれた方がいいのかなとは」


 メッテは俺の隣でそう答えた。


「イリアは、俺たちの中で一番強い。イリアだからこそ、もう一方の指揮官を任せられるんだ」


 俺の言葉に、イリアは目をきらきらとさせる。


「よ、ヨシュア様……もったいないお言葉です。信用してるからこそ、ですよね。私、頑張ります!」

「すごい掌返しだ……」

「なんか言いましたか、メッテ?」


 イリアは笑っているが笑っていない顔を、メッテに向ける。


「ヨシュア……私、怖い」


 メッテはいつもは聞かせない弱々しい声で言うと、俺の手を握った。


 それを見たイリアは慌てふためいた。


「め、めめ、メッテ!! やっぱり駄目です! 私がヨシュア様と行きます!!」

「仕事に行くだけ。さっさと行ってさっさと終わらせる」


 メルクは二人に淡々とそう述べた。


 メッテがにやにやと答える。


「まさか、メルクも拗ねているのか? 今日はヨシュアと一緒じゃないから」

「今日のメッテ調子に乗ってる……おしおきする」

「やめ、やめろ!」


 メルクはふさふさの尻尾でメッテの体をくすぐり始めた。

  

「はあ……他の亜人も連れていくのに、何をそんなに」


 ユミルディアに来た翌日、俺たちはダンジョン攻略の準備をしていた。


 ユミルディアのほうの攻略は俺、ウィズ、メッテ、ベルドスが中心になる。イリアやメルクたち他の主だった顔ぶれは、石切り場のダンジョンを鎮圧してもらう。


 今回は、他の亜人たちも一緒だ。

 特にゴーレムにはダンジョンが崩落しないよう支えてもらい、ドワーフにはダンジョンの壁を破壊して、トラップを回収してもらう。


 だから、メッテと俺が一緒になったところで、何か起きるわけでもない。


「とにかく皆、頼むぞ。ダンジョンは罠が多い。慎重に進んでくれ」

「……はい」


 イリアだけちょっとまだ不満そうな顔だったが、皆頷いてくれた。


 俺からすると、イリアにずっと一緒にいたいと思ってもらえるのはうれしいんだが……


 しかし、こいつなら大丈夫、と言い切れるのはイリアしかいない。イリアに敵う敵はそうそういない。安心して任せられるのは、イリアしかいないんだ。


 こうしてダンジョン攻略が始まった。


 俺はユミルディアの最下層のダンジョン入り口へ向かった。


「よし。それじゃあ、俺とウィズ、メッテ、ベルドスで前を進んでいく。ユミルたちドワーフとゴーレムはその後から、壁を頼む」


 皆、コクリと頷く。


「すでに、扉の向こうに多くの魔力の反応がある。スケルトンで間違いないだろう。メッテとベルドスは前衛を頼めるか?」


 二人とも任せろと頷く。


「それじゃあ……行くぞ」


 ダンジョン入り口の扉を開く。


 すると、待っていたかのように、スケルトンたちがこちらへ向かってくる。


「もう来たか! おりゃ!」


 メッテは背の丈ほどもあるメイスをぶんっと振るった。


 その隣では、ベルドスが斧を高めに振るった。


 がしゃがしゃと崩れるスケルトン。一瞬で、十体ほどのスケルトンが粉砕されてしまった。


 だがダンジョンのスケルトンは召喚された個体のためすぐ消滅する。


 その後ろから、まるで波のようにスケルトンが押し寄せてくる。


「俺がマジックシールドを展開しながら進む! 二人とも、遠慮なく進んでくれ!」

「おう! ベルドス、勝負だ!」

「言われなくても!!」

「ま、待て、二人とも! 走れとは!」


 メッテとベルドスはそのままダンジョンの奥へと走りだすのだった。

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