太陽と月の贈り物 〜漢字版〜
あるところに、外で遊ぶのもゲームで遊ぶのも大好きな男の子、コウくんがいました。
ずっと遊んでいたいコウくんは、いつもお母さんに“夜ふかしはダメ”と言われるから、ある時お星さまにお願いをすることにしました。
「いつまでも遊んでいたいから、夜がずっと来ないようにしてください」と。
するとその夜、コウくんの夢の中で太陽さんと月さんが出てきました。
太陽さんが言いました。
「私の力でお前だけはずっと昼間にしてあげよう。」
月さんが言いました
「私の力できちんとした夜を過ごさせてあげよう。」
コウくんは迷わずに、太陽さんの力をお願いしました。
次の日からコウくんの生活は変わりました。
コウくんの見える世界はずっと昼間みたいな明るさだから、夕方になって友だちが帰ってしまっても、コウくんはいつまでも遊ぶことができました。
夜遅くまでゲームをしても「太陽さんの力でずっと昼間にしてもらったから、大丈夫だもん!」と言えば、注意してくる人は誰もいなくなりました。
そうやってコウくんは好きようにずっと遊んでいましたが、体の具合がだんだん悪くなるし、遊ぶのがだんだんつまらなく感じるようになってしまいました。
コウくんにはいくつか思い当たりがありました。いつも昼間みたいに明るいから、コウくんはなかなか思い通りに寝ることが出来ないし、友だちや家族と一緒に起きているのが難しくなってしまったのです。
そんなある時、またコウくんの夢の中で太陽さんと月さんが出てきました。
太陽さんが言いました。
「私の力でお前だけはこのままずっと、昼間にしてあげよう。」
月さんが言いました。
「私の力できちんとした夜を過ごさせてあげよう。」
今回コウくんは月さんの力をお願いしました。
次の日からコウくんには、きちんとした夜が訪れてくるようになりました。夜の時間になれば自然と眠りたくなってきて、朝になればきちんと目が覚める様になりました。
夜ふかしをしなくても早起きをすれば、遊べる時間が増えることにコウくんは気がつきました。友だちや家族の皆と一緒に過ごせる時間が増えるようにもなりました。
コウくんはお星さま達にお礼を言うことにしました。
「月さん、いつもきちんとした夜をありがとう。太陽さん、いつもきちんとした昼間をありがとう。
2人のおかげで、僕は毎日元気で楽しい日々を過ごせています。いつも素敵な贈り物をありがとう。」
この日からコウくんは、昼も夜も大事にして過ごすようになりました。