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最強魔王の異世界放浪記  作者: 塩砂糖
第1章《異世界転移編》
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第7話『保有スキル』

新キャラ登場です。

「それでは、依頼を受けて頂けるという事で宜しいのですね?」

「うん。手続きとかお願いね」

「畏まりました。こちらで済ませておきます」


 俺が受付に着くと、既にユキがミュエさんに依頼を受ける事を伝え終わっていた。


「あ、リウス。もうミュエさんには伝えておいたよ」

「ああ、ありがとう。それで、依頼についてはもう聞いたのか?」

「ううん。リウスが来てからの方が良いかと思って」


 なるほど。


「それではリウス様も来た事ですし、説明の方を始めさせて頂きます」


 今回の仕事は通常の依頼とは違い、多人数の冒険者が同じ依頼を受ける為、予め打ち合わせを冒険者同士でするそうだ。

 現段階で決まっているのは、打ち合わせは午後十二時過ぎから開始。

 打ち合わせ終了後、そのまま森へと向かう。という事だ。

 因みに今回参加する冒険者は俺たちを含め、現在決まっているだけでAランクが5人、Bランクが11人、Cランクが14人、Dランクが25人の計55名が参加するらしい。

 Eランク以下の冒険者がいないのは、ギルド側で参加出来ないよう規制しているからだそうだ。

 なんでもEランク以下の冒険者では足手纏いにしかならないのだとか。


「――以上が依頼の概要です。尚、昼食は予め取っておいて下さい」

「分かりました。ユキ、一回部屋に戻るか?」

「うん。そうしよっか」

「それと最後に。打ち合わせはギルド内の会議室で行います。時間になりましたら案内しますので、それまでにロビーへお集まり下さい」

「はい。分かりました」


 ミュエさんと別れ部屋に戻る。


「さて、時間まで何をするか」

「装備を変える……のはまだ早いよね」

「そうだなぁ……」


 そういえば保有スキルを確認しようとしてたの忘れてたな。

 レベル379の衝撃が強すぎて頭からすっぽ抜けていた。


「スキルの確認でもするか」

「あ、私も見ていい?」

「ん。別に構わないぞ」


 メニューを開きスキル一覧を開くと、今まで見た事の無いスキルが幾つか追加されていた。

 レベルが上がったことで新たに覚えたのだろう。

 ユキはというと……俺のスキル画面を見て絶句していた。


「……リウス……こんなスキル何処で覚えたの……?」

「ああ、そういうのは大体魔王になってからだな。俺の保有スキルの大半は魔王のやつだよ」

「ホント……チートだね」

「俺もそう思う」


 さて、ここで俺の保有スキルの一部をご紹介しよう。

 元々俺が持っていてスキルは四十八個。

 それに加え、レベルが179も上がったからか、新たに獲得したスキルが十七個。

 一気にレベルが上がった為、確認出来たわけではないが、十レベル毎に一つ増えていくらしい。

 どうやらゲーム時代とはシステムが変わっている様だった。


 それでは紹介していこう。

 まず、森から出る時に使った【空間把握】と【気配察知】。

 効果は前に説明した通りだ。大体この二つは併用して使う事が多くなる気がする。それぐらい相性が良い。

 (まと)めて第六感(シックスセンス)とかいう名前のスキルにならないだろうか。


 次に、これもゲームではよく使っていたスキル【敵情報解析】。

 読んで字の如く相手の情報を解析するスキルだ。

 ゲームでは敵の名前、レベルが表示されるものだった。

 初見の敵と戦う際は重宝していたスキルだ。

 ユキに試しに使ってみると、名前、レベルに加え、ステータスとよく分からない数字に職業、種族、性別。そして何故かスリーサイズが表示され、ユキの体型が見た目以上に『良い意味』で凄かったのだが、ここでその事について話すのは止めておく。


 そして個人的にえげつないと思ったのが、179もレベルが上がった事により覚えたスキルの一つ【弱者蹂躙(じゃくしゃじゅうりん)】。

 こちらのスキル、なんと自分より下のレベルの敵からの攻撃を『完全に無効化する』というものである。

 魔法であっても物理攻撃であってもだ。

 勿論デメリットもある。

 状態異常を防ぐことが出来ないこと、そして自分より上のレベルの敵から受ける攻撃が二倍になるというもの。

 ゲームであれば確実に修正が入るぶっ壊れスキルだ。

 使う前は【敵情報解析】を使う事になるだろう。

 尤も、379Lvを超える敵とか想像もしたくないが……。

 他にも中々特殊なスキルがあるのだが、此処では割愛する。


(この世界の一般的なレベルも調べなければいけないな)


 魔獣討伐の一件で、俺たちの実力がこの世界でも高いことは確認出来た。

 それでも『上には上がある』という言葉がある。

 油断は禁物だろう。


 依頼まで時間はある。

 冒険者のレベルを確認しに行くのも良いかもしれない。


「なぁユキ、これから俺のスキルで冒険者のレベルを確認しに行こうかと思うんだけど、一緒に来るか?」

「うん。もちろん!」



 ◇◇◇◇◇



 ロビーで冒険者のレベルを確認していた俺は、言葉を失っていた。


 理由は――冒険者のレベルの低さだった。


 冒険者の大半は大体レベル15〜30程度。

 今いる冒険者の中で一番高い者でも、レベルは63だった。

 正直予想より遥かに弱かった。

 試しに受付にいるギルド職員を見ると、殆どレベル1だった。


「嘘ぉ……」

「どうしたの? もしかして凄く高い人いた?」

「いや……なんかもう警戒する必要あるのかって感じだな……」


 自分よりレベルが低い。それはつまり【弱者蹂躙】を使えば絶対にダメージを受けないということだ。

 尤も、100Lvぐらいまでならステータス差や他のスキルでダメージは殆ど通らないのだが。


「そんなに低かった?」

「ああ、一番高くて63だな」

「えっ⁉︎」


 突然だが、アポカリプスで初心者とは基本的に何処から何処までのレベル帯を言うかを説明しよう。

 基本的には1〜100Lvまでが初心者とされる。

 それは何故か。

 アポカリプスには種族レベルと職業レベルの二種類がある。

 基本的にプレイヤーのレベルはこの二つを合計した数――レベル1があるのは最下級職には職業レベルが存在しないからだ――のことを言う。

 勿論、転職や経験値の必要量の違いもある為、ここまでぴったりにはならないが、レベル100は大体種族レベル50、職業レベル50を意味する。

 では何故初心者なのか。

 それは、上級職と最上級職にはレベルでは覆せない程の強さの差があるからだ。

 最上級職になるには上級職を60Lvまで上げる必要がある上、最上級職になる頃には種族レベルはカンスト手前まで来ていることが殆どなので、必然的に100Lv以下のプレイヤーは上級職までしか取っていないことになる。

 それがアポカリプスに置いて100Lv以下が初心者と言われる理由だ。


 この世界に種族レベルと職業レベルがあるかは分からないが、それでも平均レベル20は低過ぎる。


「ここの冒険者達のレベルが特別低いとかは……?」

「可能性はない訳じゃないが……多分これがこの世界の平均なんだろうな」


 人前で魔物と会った場合は本気は出さないでおこう。


「じゃあ、今後人前では本気出さない方が良いかもね……」

「そうだな……」


 打ち合わせにはAランクの冒険者も来るらしいし、その時レベルを確認してどの程度の力でいくか決めよう。


「じゃあ部屋戻るか」

「そうだね」



◇◇◇◇◇



 現時刻、十一時五十五分。

 俺たちはあれから部屋に戻り、時間までただただ話をしたり、その流れで女性用の服をユキにあげたりして時間を潰していた。


「さて、そろそろ行くか」

「あ、装備変えていったほうが良いかな?」

「そう……だな。一応魔物討伐に行くんだし、武具は付けたほうがいいか」


 俺は服を革鎧へ変え、腰に剣を下げる。

 ユキは腹部が布になっている動き易い軽鎧だ。

 布が密着して身体のラインが出ている。

 無自覚……なんですかね……?


 ゲーム時代はそこそこの性能だったが、現実となったこの世界で、お腹の部分が布になっているのは危険な気がするが……まあユキもレベル201だしな。きっと大丈夫だろう。


「よし、じゃあ行くか」


 一階に降りるとまだ冒険者はそんなに集まってはいないようだった。

 というか、時計が無いのにどうやって時間を確認するんだ……?

 そんな事を考えていると、ギルド内にいても聞こえるほどの大きさで鐘の音が鳴り響いた。

 メニューで時間を確認すると丁度十二時になっていた。

 なるほど。これが時間の目安になってるのか。

 まあ時計の役割をする魔道具があってもおかしくないような気もするが。


 鐘の音が鳴り終わると、ギルドの二階や酒場、外から冒険者が集まり始めた。

 席に座り呼び出しを待つ者、立ったまま待つ者、受付に行く者など様々だ。

 因みに俺たちは席に座っているグループだ。


 暫くすると、受付からミュエさんの声が聞こえて来た。


「『炎神の化身』の討伐依頼を受注されている冒険者の方は、受付までお集まり下さい」


 その声で周りの冒険者が受付へ向かいだす。

 俺達もその中に紛れ、受付へ向かった。


 冒険者が受付へ集まり、順番に魔道具へギルドカードを翳していく。

 最後の1人がギルドカードを翳し終わると、ミュエさんが口を開く。


「それでは会議室へご案内致します」


 ミュエさんが宿の部屋へ続く左の階段とは逆にある、右の階段へ向かう。

 それに続き、集まった冒険者達も階段へ向かう。


 案内されたのは、長テーブルと椅子が置いてある、会議室という言葉がぴったりな部屋だった。


「それでは打ち合わせを始めさせて頂きます」


 集まった冒険者は57人。

 朝聞いた時より2人増えている。


「それでは本日、皆様の指揮を取って頂く方をご紹介します。ニーグ・アドレンスさんです」


 そういってミュエさんが紹介したのは、白の鎧と大きな盾と剣を持った男の騎士だった。


「ご紹介に預かったニーグ・アドレンスだ。ランクはAだ。宜しく頼む」

「それではアドレンス様、ここはお任せしても?」

「ああ、ありがとう」


 あれ? あの人ってさっきロビーで見た一番レベルの高い人じゃないか?

 そんな事を思っていると、ニーグという男性が口を開く。


「まず分かっていると思うが、今回の討伐目標は『炎神の化身』だ。当然難易度は高い。こんな事は言いたくないが、死者も出るだろう」


(リウスが倒しちゃったけどね)

(余計なこと言うなよ?)

(分かってるって)


「なので今回は盾となる者が前で攻撃を食い止め、後方から攻撃をする作戦で行こうと思う。今回はAランク冒険者が俺達を含め5人参加すると聞いている。先にある程度方針を決める為打ち合わせをしたい。Aランクの者は前に来てくれ」


 勝手に進めてくれれば良かったのに。


(行かなくちゃいけないかな?)

(行ったほうが良いだろうな)


 前に出るとニーグという男以外に二人知らない顔がいた。

 一人は女性で、ニーグと仲間らしくなにやら会話をしていた。

 もう一人は我関せずといった感じだ。顔が布で隠れている為性別も分からない。


「ん。お前達で最後か」

「あら? 見ない顔ね」

「ああ、最近冒険者になったんだ」

「……最近冒険者になってAランクなのか?」


 あ、失言だったか……?


「一応ギルドカードを見せてくれるか?」

「はい。……これで良いか?」

「世の中にはまだまだ実力のある人が隠れてるってことね」

「……そういうものか」


 まあ一応Sを除けば最高ランクだしな。冒険者になりたての者がそんなランクにいるのは不自然なことなんだろう。


「ごめんなさいね。悪い人じゃないのよ。私はセニア・ヒルリース。宜しくね」

「リウスです。宜しく、ヒルリースさん」

「ユキです。宜しくね」


 セニア・ヒルリースという女性は動き易そうな軽装備をしていた。背中に弓を背負っているところを見ると、弓士か弓導士なのだろう。

 スキルでレベルを確認すると58Lvだった。


「ほら。ニーグ」

「ああ、さっきは疑って悪かったな。ニーグ・アドレンスだ。宜しく頼む」

「いや、気にしてない。宜しくな」


 とまあ、こんな出来事はあったものの打ち合わせは無事終了。

 打ち合わせの結果、前衛で盾となって攻撃を受け止める者、隙を見て近接攻撃をする者、後衛から魔法や弓で攻撃する者に分かれた。


 因みに俺とユキは近接攻撃をするグループだ。

 自ら敵へ接近しなければいけない為、Aランクである俺達が選ばれたという訳だ。

 尤も、目的の魔物はそもそもいないのだが。


「ではこれで作戦会議を終了とする。直ぐに出発するが、各自準備は良いか?」


 今ここにいる者で武装していない者はいない。


「よし。それではこれより出発する。絶対に討伐するぞ!」

『おお!!!』


 ニーグの声の後に続き、雄叫びを上げる冒険者達。

 雄叫びと共に決意を新たにしている者がいる中で、目的の敵がいない事を知る俺とユキだけは、微妙な気分になっていた。

第何章とかで括った方が良いんでしょうか。

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