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最強魔王の異世界放浪記  作者: 塩砂糖
第2章《眠りの吸血鬼編》
24/68

第20話『最初の印象が悪いほど、ちょっとした事で評価は変わるもの』

なんか今回は駆け足ですね。いずれ修正します。

 訓練場での試合の翌日。

 昨日依頼を受けることが出来なかった為、今日も俺達はギルドへ向かう事にしていた。

 ユキが作ってくれた朝食を取り、ギルドへ向かおうと宿を出る、その時。


「リウス様、ユキ様」


 受付の女性に呼び止められた。宿代も払っているし部屋で騒いだりもしていない。特に呼び止められる覚えは無いのだが……。

 少し疑問を覚えつつ受付へ向かう。


「どうかしましたか?」

「お二人にお客様です」

「私たちにお客さん?」

「はい。只今ラウンジにてお待ちです」


 お客が来る予定なんて無いのだが……。取り敢えず行ってみるか。


「分かりました。ありがとうございます」


 ロビーの横にあるラウンジへ行くとそこに居たのは――――昨日俺と試合をした、大輔君だった。



 ◇◇◇◇◇



「昨日は本当にすいませんでした!」


 俺達は今、謝られていた。土下座で。

 場所は宿のラウンジ。目の前には黒いスーツを来た昨日の少年。

 そして、状況を呑み込めていない俺とユキ。


「えっと……どういう事?」

「昨日はお二人がSランク冒険者だとも知らず、暴言を浴びせた上、自信過剰にもリウスさんと決闘をし、お二人のお時間を取らせてしまい、本当にすいませんでした!」

「……えっと……え?」


 何? 本当に同一人物か?

 今土下座で謝罪をしている目の前の少年には、昨日の傲慢な態度は何処にもなかった。


「……あー、今日は俺達に謝罪する為に来たのか?」

「はい。ご迷惑お掛けしてすいませんでした」

「どうしてここに泊まってるって知ってるんだ? それに俺の名前も」

「昨日の試合の後、ギルド職員のミーアさんがお名前を教えてくれたんです。その後、謝罪に行きたいと伝えるとこの宿を教えてくれまして……」

「なるほど……」


 話は理解出来たが、あの試合の後直ぐに謝る気になるものか? そういえば――。


「今日は一人で来たのか?」

「はい。一人ですが、それが?」

「パーティメンバーは来てないのか?」

「パーティメンバー、ですか?」


 あれ? あの三人の女性はパーティメンバーじゃ無かったのか?


「三人の女性が居たじゃないか。あの人たちはパーティメンバーじゃないのか?」

「えっと、俺はパーティを組んでいませんが……?」

「は?」

「え?」


 パーティを組んでいない? なら、あの人達は誰だ?


「じゃあ、昨日試合を見ていた三人の女性は誰なんだ?」

「試合を見ていた……? ユキさん以外、そんな人は居なかったと思いますが……」


 思わずユキと顔を見合わせる。

 大輔君の顔色と口調は嘘を付いているのでは無く、本当に訳が分からないと言った感じだ。

 俺達にしか見えていなかった? いや違う。俺は昨日彼がその三人の女性と言葉を交わしているのを見ている。

 だが大輔君にはその記憶が無く、三人の女性すら知らない……。

 一体どういう事だ……?

 軽い寒気を覚えつつも、俺は取り敢えずその疑問を棚上げする。


「リウスさん……?」

「あ、ああ、いや、まさか謝罪に来るとは思わなかったからさ。少し驚いてただけだ」

「許して……頂けるでしょうか?」


 まあ俺はそこまで気にして無かったが……。

 チラッとユキを見ると、ユキは微笑みながら口を開く。


「良いんじゃないかな? こうして謝ってくれたし」


 ユキがそう言うなら俺に異存はない。


「俺も構わない。わざわざ来てくれてありがとな」

「いえ! こちらこそありがとうございます!」


 再び頭を下げる彼を見て、俺の心の中の彼に対する評価は初対面からは考えられない程高くなっていた。

 最初の印象が悪いほど、ちょっとした事で評価は変わるものだと改めて思った。

 さて、これで話は終わりかな。

 そう思い、座っていた椅子から立ち上がろうとすると、大輔君が徐ろに口を開く。


「そういえば、お二人はお聞きしましたか?」

「お聞きって、何をだ?」

「まだ、聞いてないんですね。実は――」


 大輔君の話を簡単に纏めると、既に探索済みだったダンジョンから隠し通路が見つかり、新しいダンジョンが発見されたというものだった。

 探索済みのダンジョンから新しいダンジョンへの道が見つかるというのは稀にだがある事だ。

 だが、彼の話はそこで終わりでは無かった。


「それを見つけたのがEランク冒険者のパーティだったんですが、そのパーティ、見つかったダンジョンに行ったきり帰って来なくて」

「帰って来なかった?」


 基本的に新しいダンジョンが発見された場合、その発見者にダンジョン探索の優先権が与えられる。

 未探索のダンジョンには希少なアイテムなどがある場合が多いからだ。


「全滅、ってこと?」

「多分そうですね。それで、その冒険者パーティ捜索の為の隊がギルドから選出されて、今朝出発した所なんです。状況によってはお二人に依頼が来るかも知れません」

「その隊の構成メンバーは?」

「詳しいメンバーまでは分からないですけど、A〜Cランクの冒険者で構成されているらしいです」


 成る程。もしその捜索隊が帰って来なければ、Sランク冒険者の俺達に回ってくる事もあるという事か。


「大体分かった。伝えてくれてありがとな。元々今日はギルドに向かう予定だったから、そこで詳しい話を聞いてみる」

「分かりました。今日はこんな朝から押し掛けてすいませんでした」

「もう良いよ。リベンジに来たなら返り討ちにしてた所だけどな。それじゃ俺達は行くよ」

「はい。――あっ、ちょっと待って下さい!」

「まだ何か?」

「いえ、そういえばまだ名乗ってなかったな、と」

「ああ、確かに」


 俺もユキも名前知ってるから忘れていたよ。


「Aランク冒険者の大輔と言います。今後ともよろしくお願いします!」


 ああ、そのまま大輔って名乗ってるのね。


「Sランク冒険者のリウスだ。宜しくな」

「同じくSランク冒険者のユキです。よろしくね」


 こうして俺達は仲直り、もとい和解したのだった。



 ◇◇◇◇◇



 今日も今日とて冒険者ギルドは騒がしく、むさ苦しい熱気に包まれていた。

 大輔君から聞いた話をより詳しく知る為、受付に向かう。

 ミーアさんは直ぐに見つけることが出来た。


「久し振り、ミーアさん」

「あ、リウスにユキちゃん。久しぶりー!」


 相変わらず元気ですねミーアさん。


「今日はどんなご用でギルドに?」

「ちょっと聞きたい事があってさ――」


 俺は大輔君から聞いた話を全て話し、それについて詳しく聞きたいという旨も伝える。

 それを聞き終えたミーアさんは少し困ったような顔をしながら口を開く。


「もう聞いてるんだね。本当は正式に依頼が出てから話そうかと思ってたんだけど……。まあ、仕方ないね。ここで話すのもあれだから、ちょっとついて来て」


 受付を他の職員に任せ、ギルドの奥へ向かうミーアさん。

 俺とユキもその後へ続く。

 通されたのは応接室のような個室だった。

 お互いに向かい合うようにしてソファーに座る。先に口を開いたのはミーアさんだった。


「今回隠し通路が見つかったのは『小鬼の巣窟』ってダンジョンの最深部。発見者はEランク冒険者パーティ。報告によると、ダンジョン最深部の壁が崩れかけていて、そこから通路が発見者されたみたいだね」

「『小鬼の巣窟』ってあのゴブリン退治の依頼が出てた?」

「うん。Eランク冒険者パーティはその依頼を受けたみたい」

「リウス。なんでそんなこと知ってるの?」

「ん? ああ、俺が昨日受けようとしてた依頼がそれだったからな」


 昨日依頼掲示板に貼られていた、三つのゴブリン討伐依頼。その中のひとつに『小鬼の巣窟』というダンジョンが指定場所だったものがあったのだ。

 では、もし俺が昨日あの依頼を受けていれば隠し通路を見つけたのは俺だったのかも知れない訳か……。

 まあ、今更言っても仕方がない。


「話を戻そう。それでそのEランク冒険者達は?」

「依頼を受けてから2時間ぐらいで一度ギルドに隠し通路発見の報告に帰ってきて、もう一度ダンジョンへ向かうも帰って来なかった、って感じだね」

「今捜索隊がその冒険者達を探してるって聞いたけど」

「うん。朝の八時に出発して、十一時までに誰も戻らなければ、Aランクまでの冒険者じゃ対応不可と判断して、リウス達に緊急依頼を出すつもりだったんだ」

「今の時刻は九時五十六分。後一時間か……」


 メニュー画面で時刻を確認しながら呟く。

 取り敢えず今は待つしかないか。


「もし今向かってる捜索隊が帰って来なかったとしたら、俺達に求められるのは何なんだ? ダンジョンの探索か? 冒険者が帰って来なかった原因の究明、解決か? それとも生存者の救出か?」

「欲を言えば全部、って言いたいけど、ギルドとしても情報が足りないんだよね。だから最優先は生存者の救出と冒険者達を全滅させた敵の情報かな」

「兎に角、情報を持ち帰るのが最優先って事か」


 と、ここで今までずっと聞き役に徹していたユキが疑問を口にする。


「もし私たちがダンジョンから帰って来なかったら、その時はどうなるの?」

「もし、二人が帰って来なかったら、か……。正直あまり想像出来ないけど、そうなったら国から全Sランク冒険者に召集が掛かるだろうね」


 成る程。何時(いつ)だかアレインさんがブリーシア大陸にSランク冒険者が集められた、なんて話をしてたな。そんな感じなのかも知れない。


「まあ、二人とも帰って来ないってのは無いよ。危ないと思ったら逃げるし、ユキだけでも逃すから」

「……リウス。それは――」

「分かってる。ちょっと一回言ってみたかっただけだ」

「……そっか」


 だけどもし、もし仮に、俺よりも強い敵がいたら、俺は多分ユキだけでも逃すんだろうな。例えそれをユキが望んでいなかったとしても、お構いなしに。俺自身の為に。


「取り敢えず、捜索隊が帰って来るか時間になるまですることは無いか」

「どこかで時間潰す?」

「そう、だな。じゃあ、一時間ぐらい外で時間潰すか」

「じゃあ二人ともまた後でね」

「ああ、またな」

「またね。ミーアさん」


 応接室を後にし、ギルドから出る。

 ……ふと思ったんだが、ミーアさんのまるでギルド長かのような発言の数々。ミーアさんって一体、何者なんだろうか……。



 ◇◇◇◇◇



 あれから約一時間。現時刻十時五十分。

 俺とユキは再び冒険者ギルドへ来ていた。

 ミーアさんはいつも通り受付にいた。

 俺達の姿を確認したミーアさんは、先程と同じように別の職員に受付を任せ、「ついて来て」と一言。

 通されたのも同じ応接室だった。


「それで、捜索隊はどうだった?」

「……結局、誰も戻って来なかったよ……」

「そうか……」


 そう答えると、ミーアさんは一枚の紙を取り出した。


「今回の緊急依頼の依頼書です」


 ミーアさんの声は今まで聞いたどれよりも真剣な声色だった。

 差し出された紙にはこう書かれていた。



【小鬼の巣窟にて発見された隠し通路、及びその先の新たなダンジョンの探索依頼】

 ・任務内容:E級ダンジョン『小鬼の巣窟』最深部にて発見された隠し通路。

 その先にあると思われる、新たなダンジョンへ向かったEランク冒険者パーティと、A〜Cランク冒険者で構成された捜索隊の生存者救出。

 生存者無しの場合、冒険者パーティ全滅の原因究明。対象が魔物ないしモンスターであった場合は、それの討伐を命ずる。

 対象が手に負えないと判断した場合、情報を持ち帰ることを最優先とし、即座に撤退せよ。

 ・任務報酬:任務達成後、達成難度、依頼結果に応じて支払うものとする。


「成る程。了解した」

「……あっさり、引き受けるんだね」

「拒否権は基本的に無いって聞いてるからな」

「……そう。基本的に拒否権は無いよ。基本的には、ね」

「どういう事だ?」

「この任務は、例外に含まれるって事だよ」

「……どういう事だ?」


 先程と全く同じ質問を返す。


「今回は、あらゆる情報が無いんだ。敵の情報も、ダンジョンの構造も、(トラップ)だってあるかも分からない」

「……つまり?」

「普通、Sランク冒険者の依頼でも最低でも敵の情報ぐらいはあるんだよ。ここまで何も分からない任務はもう仕事ですら無い。二人に死んでくれと言ってる様なものだよ......」


 そう言って顔を伏せるミーアさん。

 成る程。(ようや)く見えてきた。

 今回の任務は言い方を変えれば『数十名の冒険者を皆殺しにした化け物とたった二人で戦い、勝利して帰って来い。但し、相手の正確な強さも周りの状況も何もかも分からない』こんな感じだ。

 確かにこれは遠回しに死ねと言っていると取れなくも無いし、普通こんな仕事強制でも受けようと思わない。


「今の所ダンジョンの外に影響は出てない。他のSランク冒険者が到着するまで待つって手も――」

「そんな時間あるのか?」

「……分かってるんだ、私にも。そんな時間無いって事。これは私の個人的な思いだから……。でも、それでも! 出会って日は浅いけど、私は友人として、二人に死んで欲しく――」

「俺(私)達は死なないよ」


 タイミングを合わせたわけでも無いのに、俺達の声は見事にハモっていた。

 フラグでも何でもなく、死ぬつもりなんて無い。


「……なんで、そう言えるの?」

「私は……リウスがいるからかな」


 なんと。随分嬉しい事を言ってくれる。ってそうじゃない。


「俺は……そうだな。そもそも死ぬつもりなんか無いけど、実のところ危なくなっても逃げる手段はあるんだ。ユキだけじゃなく、俺も一緒にな」


 実は《空間転移》という物理法則を全て無視したスキルを持っているのだ。

 転移先を予め決めておく必要がある上、実際に行った事のある場所にしか行けず、一度に転移出来るのが三人までという制限はあるが、それでもこんなに便利なものは無い。

 今までは『目立つから』と使うのを避けていたが、今回は誰にも見られていないのだから、使っても問題は無いだろう。


「とにかく大丈夫だ。ミーアさんがそんなに責任を感じる必要は無い」

「……そっか。そうだね。お父さんも二人なら余程の事があっても大丈夫って言ってたしね」

「アレインさんがそんな事を? そういえば、アレインさんから俺達の事はどう聞いてるんだ?」

「ユキちゃんはSランク冒険者の中でも上位って聞いてるけど……。リウスは……」


 ……何故言い淀む?


「俺は?」

「……えっと……単騎で国ぐらいなら落とせるだろうって」

「なっ……」


 アレインさん、俺の事そんな風に思ってたんですか。俺は自立歩行型戦略核兵器ですか。

 しかも国“ぐらい”って。本気出せば大陸も落とせるとかそういう事ですか。


「……国を落とせるかどうかは置いておいて、それぐらいの実力はあるって事だ。大丈夫だよ」

「分かったよリウス。ごめんね、あんな事言って」

「いいや、寧ろ心配してくれてありがとな。――じゃあ行くか、ユキ」

「うん。そうだね」

「依頼書の裏にダンジョンまでの地図があるからそれを見て向かって。後、依頼受領の確認の為にギルドカードを翳して行くのを忘れずにね」

「了解」

「行ってくるね。ミーアさん」

「うん。二人とも頑張って!」

最近暑くなってきたので久々にガリガリ君を食べてみたんですが、やっぱり美味しいですね。金銭的にも。

因みにソーダ味が好きです。というよりプレミアムじゃ無ければ基本何でも好きです。

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