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最強魔王の異世界放浪記  作者: 塩砂糖
第2章《眠りの吸血鬼編》
21/68

第17話『大好きだよ』

本当は毎日投稿したいんですけどね。

いかんせん執筆が遅いもので。

 大浴場は宿の一階、受付横の通路の奥にあった。

 脱衣所への入り口は男湯、女湯、そして混浴の三つ。

 他の宿泊客が周りにいる中、混浴風呂へ行くのは中々気恥ずかしいものがあったが、立ち止まっていてもなにも変わらないのでさっさと入ることにする。

 扉を開き中へ入ると、そこには当然脱衣所があった。

 唯一予想外だった点を挙げるとすれば、脱衣所が男女共用だった事だろうか。

 いやまあここは混浴なわけで、脱衣所が男女共用であろうと何の問題もないのだが、俺達には少し難易度が高かった。


「……脱衣所、一緒なんだね」

「そう……みたいだな」


 此処で一緒に服を脱ぎ、一緒に風呂へ向かうのか!? 流石に恥ずかし過ぎる。

 風呂の中だからこそ裸の羞恥心というのは薄れるのであって、ギリギリ風呂ではない脱衣所でお互い裸になるのは俺の精神力のキャパをオーバーしている。


「取り敢えず俺が脱いで先に入るから、ユキはそれまで脱衣所の入り口で待っててくれ」

「そ、そうだね。どれぐらいしたら行っても良いかな?」

「そう、だな……十分ぐらいしたら入ってきてくれ」

「う、うん。分かった」


 一旦ユキと別れ、脱衣所で服を脱ぐ。

 ……本当何でこうなったんだろうか。

 鏡の前に立ち自分の身体を改めて見直してみる。

 見られて恥ずかしくは……ないよな……?

 というより結構良い体をしている。この世界に来る前の俺と大体同じぐらいだろうか。

 ゲームのアバターが自分の身体になって約二週間。

 体格や背丈は実際の身長などに合わせて作ったおかげで違和感はなく、顔も元の自分に引っ張られているのか違和感はない。

 未だ慣れないところを挙げるなら、髪の長さだろうか。

 ロングヘアまでは行かないが……なんて言うんだろうか? 髪型にはあまり詳しくないので分からないが、長さで言えばおそらくミディアムとか言うんじゃなかろうか。

 いつかユキに聞いてみよう。

 と、そんな事を考えていたらそれなりの時間が経過していた。

 もたもたしてユキが入って来てしまったらわざわざ別れた意味が無い。

 少し焦りを覚えつつ、俺は風呂へ向かった。



◇◇◇◇◇



 リウスと別れ、脱衣所の扉の前で時間が経つのを待つ。

 これは……予想以上に緊張するね。

 同じ部屋で生活してもう二週間が過ぎた。

 だけど、リウスは一回も……その、手を出してきたりしなかったし……。

 もしかして、魅力が無いのかと思って混浴に誘っちゃったけど、もしこれで何も反応されなかったらどうしよう……。

 この世界に来てから、容姿も元の自分と殆ど同じになってるし……。

 それともこういう動物の耳とかがダメなのかな?

 これがダメだったら……。どうしたら良いんだろう……?

 ふと開いていたメニュー画面を見ると既に十分は経過していた。

 あんまり待たせちゃ悪いよね。

 緊張と少しの不安を胸に、私も脱衣所へ向かった。



◇◇◇◇◇



「おお、結構広いな」


 大浴場は予想より少し大きく、当然ながら人の姿は無かった。


「あ、そうだ。忘れるとこだった」


 俺は発動していた《視覚保護》のスキルを切る。

 折角湯気が仕事をしてくれているのに、俺のスキルで湯気の存在意義を無くしてしまうところだった。

 大浴場には十人以上が入っても尚、余裕がありそうな程大きな湯船が一つと、洗い場が十箇所程あった。

 湯船に浸かる際、身体を洗ってから入る者、掛け湯だけする者、何もせずに浸かる者など様々だが、俺は身体を洗ってから入る者に分類される。

 湯船に浸かってから洗うのは少し面倒に感じてしまうからだ。

 まあ、洗わずに入るのに抵抗があるというのも理由の一つなのだが。

 それはさておき、早速身体を洗ってしまうことにしよう。出来ればユキが入ってくる前に済ませてしまいたいが、恐らく無理だろう。

 身体を洗い始めて数分後、頭、顔を洗い終わり泡を洗い流していた時、案の定ユキは俺が全身洗い終わる前に大浴場に入って来た。


「わぁ、大きいね〜」


 そう呟きながらユキも洗い場へと向かってきた。

 つい気になってしまいユキの方をチラッと見ると、そこには身体をバスタオル一枚で隠したユキがいた。

 丁度俺と背中合わせになる位置にユキは座る。

 隣に来たら俺自ら動こうかとも思っていたのだが、その必要は無さそうだ。

 なるべく何も考えないように身体を洗っていたのだが、そんな抵抗も虚しく、俺の意識は後ろにいるユキに集中していた。

 その所為か、俺は無意識に《気配察知》のスキルを発動させていた。

 スキルの効果により、ユキの一挙手一投足の全てが把握できるようになる。

 ユキは今髪を洗っているようだった。より正確には髪と耳なのだがそんなことは――ん? 耳、か。

 そういえば俺って角と翼があるのに一度も洗ったことが無い気が……。

 普段はスキルで消しているので汚れることは無いが、スキル解除した状態で土煙を被ることもあった。少なからず汚れているだろう。

 折角大きな風呂に来ているのだからついでに洗ってしまおう。

《気配察知》を解除すると同時に《外見偽装》も解除する。

 腰に一対の真っ黒な翼が、頭には前に向かって生える二本の巻き角が現れる。

 分かってはいたけど翼って結構デカイな……。

 取り敢えず身体だけ洗って翼は後回しだな。

 ささっと身体を洗い、もう使わないタオルは腰に巻いておく。翼、より先に手間がかからなそうな角を洗っておく。手で角を擦って汚れを落とす。と言っても目に見えて汚れていた訳では無いが。

 角を洗い終わり泡を流していた時、後ろでユキが立ち上がる音がした。

 先に入っていても良いと声を掛けようとした時、先にユキに声を掛けられる。


「……リウス、手伝おうか?」


 反射的に声のした方へ振り返ると、そこには身体にバスタオルを巻いたユキがいた。

 タオルで身体を隠してはいるが、体が濡れている為、タオルが身体に張り付き、身体のラインがくっきりと出ている。

 慌てて目を逸らし、声が上ずらないよう気を付けながらユキに問いかける。


「……手伝うって、何をだ?」

「翼洗うの大変でしょ? だからお手伝い必要かなって」


 ああ、なるほど。

 確かにこんな大きな翼一人で洗っていたら何分掛かるか……。


「じゃあ、お願いしようかな」

「うん。任せて」


 翼を洗い始めて約十分。

 俺が右を洗い、ユキが左を洗う。が、未だに洗い終わらない。大きなブラシでも欲しくなる。

 魔族ってみんな毎日こんなデカい翼洗ってるんだろうか。手間なんてもんじゃないぞこれ。


「リウス。この翼乾かしたら触らせてくれない?」

「ん? ああ、良いぞ」


 だがどうやらユキは気に入ったようで、嬉々として翼を洗ってくれている。

 正直ユキが手伝ってくれていなければ投げ出しているところだった。


「あのさ、リウス。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」


 翼を洗いながらユキが話しかけてくる。


「聞きたいことって?」

「リウスはさ……動物の耳とかがある女性って……好き?」

「それってユキみたいな?」

「う、うん」


 所謂、獣耳娘(けもみみっこ)ってやつだろうか。ぶっちゃけ大好きである。

 というより獣耳女子を嫌いな男とか存在するんだろうか。いやまあ中にはいるだろうけどさ。


「まあ、好きだぞ俺は」

「ほ、ホントに!?」

「う、うん。ホントに」


 いきなり大きい声出すから結構ビビりましたよ俺。

 というより俺の背中に押し付けている二つの柔らかい物を早く退けて下さい。不意打ちで結構ヤバイです。

 そっか。嫌じゃないんだ。とユキが独り言を呟く。

 そうしている間にも翼を洗っていたユキは、翼をもう洗い終えたようで、翼についている泡をお湯で洗い流している。


「こっちは終わったけど、もう片方も手伝おうか?」

「あ、ああ。頼む」


 翼の位置的に手では満足に洗うことが出来ない。

 自分の翼なのにな……。

 本当、早いうちにブラシを買いに行かなければ。

 そこから更に十数分。ユキの手を借りながらも何とか翼を洗い終えた。


「……じゃあ、風呂入るか」

「……そうだね」


 とは言うが、どちらも入ろうとしない。

 ここまで来て湯船に浸からずに出るのは本末転倒だ。俺達はここに翼を洗いに来たわけじゃない。


「……タオルってお湯につけちゃダメなんだよね……?」

「まあそうだけど、今は二人しかいないから良いんじゃないか?」

「え? あ、そう、だね。うん」


 タオルを巻いたまま俺とユキは湯に浸かる。

 湯船はそこまで深くなく、座っても問題無く息が出来るように作られていた。


「はぁ〜。あったかいなぁ」

「そうだね〜」


 久々に入った風呂はとても気持ち良く、先程までの緊張など何処かへ行ってしまった。

 ——ユキのことを見るまでは。

 ふと横に座るユキに目を向けると、ユキは目を閉じ気持ち良さそうに入浴を楽しんでいた。

 健康的な肌色の肌。髪を纏めたことで露出した首筋。貼り付いたタオルによって浮き出る身体のライン。服越しよりも大きく見える胸の膨らみ。細過ぎないスラッとした手足。

 見慣れている筈のユキの姿が大浴場の静けさや雰囲気、肌を流れ落ちる水滴、お湯の熱により少し紅くなった肌などで、普段よりも遥かに魅力的に見えてしまって、俺は慌てて目を逸らした。これ以上見ていると、我慢出来なくなってしまうような気がして。

 心臓の鼓動が早くなり、体がとても熱くなる。


(これは……ヤバイ……)


 こんな状態でこれ以上湯に浸かっていたら逆上せてしまう。

 このままでは、色々な意味でマズい。


「リウス? どうしたの?」


 突然立ち上がった俺に、不思議そうな顔をしてユキが尋ねてくる。

 が、それにキチンと答えられる程、今の俺には余裕が無かった。


「……ちょっと、先に部屋に戻ってるな」

「え? ちょっとリウス?」


 ユキの声に応えぬまま、俺は早足で大浴場を後にした。



◇◇◇◇◇



「どうしたんだろう……リウス」


 突如大浴場を出て行ってしまったリウスを引き止めようとした姿勢のまま、ユキは呟く。


「私、何かリウスが怒るようなことしちゃったかな……」


 突然リウスが大浴場から出て行った理由。それが分からずユキは困惑していた。


「何かしちゃったなら、謝らなきゃ……」


 リウスが大浴場から出て行ったのはユキが原因ではあるが、それは不満でも況してや怒りでもない。

 だが、それを知る術は今のユキには無かった。

 脱衣所で鉢合わせないようリウスが出て行くのを見計らい、ユキも大浴場を後にした。



◇◇◇◇◇



「ユキに後で謝らなくちゃな……」


 時刻は只今六時五十五分。

 風呂に浸かっていた時間より洗っていた時間の方が余程長い。


(埋め合わせしなきゃなぁ)


 突然大浴場を出てきてしまったのはユキに対して申し訳なく思う。

 でもそれ程までにユキのあの姿は美しく、そして魅力的だった。

 部屋のソファーに座り、そんな事を考えているとユキが大浴場から戻ってきた。


「あっ……」

「おかえり。……ユキ?」


 ユキの顔は何処か申し訳なさそうな表情をしていた。


「リウス……その……ごめんなさい!」


 そして、突然謝られた。

 …………なんで?


「えっと……なんでユキが謝るんだ?」


 むしろ謝るべきは俺の方だと思うのだが。


「えっ? ……だって、怒ってないの……?」

「怒る? なんでだ?」

「……えっ?」

「えっ?」


 なんだこの話が噛み合ってない感じ。

 取り敢えず、話を整理しなければ。



◇◇◇◇◇



 話を聞いてみると、どうやらユキは俺が大浴場を出て行ったのは、俺がユキに対して何か怒りを覚えたからだと勘違いしたらしい。

 もちろん直ぐに怒ってなどいない事を伝え誤解を解く。


「そうだったんだ。良かったぁ……。じゃあ、リウスはどうしてお風呂から出て行っちゃったの?」


 まあそうなりますよね。

 あの場に居たらユキを襲いそうだったから。なんて事は言えないしな……。


「……久々に風呂に入ったからかな。暑くて逆上せそうになったんだ。だから早めに上がらせて貰ったんだよ」

「そうだったんだ。もう大丈夫なの?」

「え? あ、ああ。もう大丈夫だ」


 風呂を出た事に関しては上手く誤魔化せたようだが、体調の方はちっとも大丈夫ではなかった。

 心臓の鼓動は外にも音が聞こえてしまいそうな程激しく動いていた。

 まだ乾ききっていないしっとりとした髪、余熱で少し紅く染まる肌。それらが大浴場でのユキを連想させる。

 って、今はそんな事考えてる場合じゃない。


「俺の方こそ悪かった。急に風呂から出たりして」

「良いよもう。お風呂で体調崩しちゃ意味ないもんね」


 俺はいつか必ず埋め合わせをする事を心に誓い、買ってからまだ手を付けていないボードゲーム、もといチェスで夜まで時間を潰すことにした。

 そしてその後、俺に教えられるまでルールも知らなかったユキに、手を抜いていたとはいえ、三回目の対局にしてチェックメイト寸前まで追い込まれることになるとは、この時の俺は知る由もなかった。



◇◇◇◇◇



 現時刻、午後十時三十分。

 ベットに入ってから早三十分。俺は未だ眠ることが出来なかった。

 原因は言うまでもなく、ユキだ。

 混浴の後に何も意識する事なく美人と同じベットで寝れるような男は余程精神力の高い者か、同性にしか興味の無い者のどちらかだろう。

 俺は人並み以上に忍耐力はあるし、精神力もあるつもりだ。

 だがそれとはまた別に俺も普通の男なのだ。

 もう見慣れたはずのネグリジェ姿が妙に色っぽく見えてしまい、俺はユキが視界に入らないよう背を向けて寝ていた。

 極力意識しないようにし眠気が来るのを待っていると、ユキはまだ寝ていなかったようで声を掛けられた。


「リウス。起きてる……?」

「ああ、眠れないのか?」

「ううん。そうじゃないんだけど……」


 そうじゃないけど、何なんだ?

 何処か歯切れが悪いユキの方を向く。スキルによって暗さをものともしない俺の目に映ったユキの顔は、少し悲しげな表情をしている様に見えた。

 そして、ゆっくりと口を開く。


「私は……リウスから見て、魅力が無いのかな……?」


 絞り出すような声でそう聞いてくるユキ。

 一体何を言ってるんでしょうか。魅力が無い? 貴女の姿の何処に魅力が無い部分があるのか是非教えて欲しいところだが、ユキの顔は至って真剣だ。


「リウス、この世界に来てからどれくらい経ったか分かる?」

「……多分、二、三週間ってとこじゃないか? それがどうかしたのか?」

「つまり……その、こうして同じ部屋で生活するようになって三週間ぐらい経ってるってことだよね?」

「ま、まあ、そうなるな」


 なんだ? 話が見えてこない。


「な、何が言いたいんだ?」

「えと、だから、その……。夜、何もしてこないから……私ってそんなに魅力ないのかなって……」

「はぁ……。――は!?」


 あまりの唐突な展開にベットから飛び起きる。

 な、何を言ってるんですかねこの人は。そうか眠いのか。寝ぼけているのか。それかユキも気付いていないだけで逆上せていたのかもしれない。うん。そうだろう。なら水分でも取らせたほうが良いかもしれない。

 ――――いや、ちょっと落ち着け俺。

 …………いや落ち着けるわけないだろ!? ユキは一体なんと言った? 何もしてこないとかなんとか……。それってつまりそういうことだよな。いや俺も混乱して何考えてるのか分からなくなってきたが、きっとそのはずだ。


「……混浴に誘ったのも、実はそれが理由なんだよね……。何か変わるかもって思ったから……。でも、あんまりリウス変わった様子ないから、リウスは私に興味ないのかなって……」

「ちょ、ちょっと待て。幾つか訂正させてくれ。まず魅力が無いとか俺がユキに興味が無いとか言ってたけど、それは違う。気付いてないかもしれないけど毎日ユキが隣で寝てて俺もいろいろと我慢したりしてるし、今日早く風呂を出たのもユキが綺麗で忍耐力の限界が来たというかなんというか……って何言ってんだ俺……」


 咄嗟のことで頭が回らずどうでも良いことを口走ったような気がするが、まあ今は置いておこう。


「とにかく、ユキは俺から見て凄い魅力的だし可愛いと思う」


 ぶっちゃけてしまえばドストライクです。まあ今は言わないが。恥ずかしいし。


「……だから、魅力が無いとか言うな。少なくとも俺は、ユキに魅力が無いなんて思ってない」

「そ、そうだったんだ……。じゃあ……リウスが何もしないのは、どうして……?」

「いや、それは……」


 だって……ねえ?

 いや、俺がヘタレだってのもあるんですけどね……。


「……ユキだって、好きでもない男と――」

「好きだよ」


 言い訳じみた俺の言葉を遮り、ユキが答える。


「……私は、異性として、男性として、リウスのことが好きだよ」


 真正面から、そう告げられる。

 見つめてくる瞳はとても真剣だった。ほんのりと頬が紅くなっているのは恥ずかしさからだろうか。

 俺だって、分かっていた。ユキが俺に対して好意のようなものを抱いていることは。

 だが、敢えて気が付かない振りをしていた。怖かったのだ。これ以上親しくなるのが。

 この先に足を踏み入れた途端、目の前から消えてしまいそうで、大切な人をまた、失ってしまうような気がして。

 でも、それはただの言い訳だ。

 ユキだって同じなのだ。人に対して思いを告白するということには、相手に拒絶される可能性が必ず付いて回る。

 にも拘らず、ユキは告げてくれた。自分の思いを。

 なら、伝えるべきだ。俺自身も。

 消えてしまうなら掴み取れ。危機が迫れば守り切れ。今の俺には、それが出来る力があるじゃないか。


「リウスは……どうかな……?」

「……俺も、ユキのことが……好きだ。友人としてじゃなく、異性として、一人の女性として、ユキのことが――」


 全てを言い切る前に、ユキが抱きついてきた。唇にあたる柔らかな感触はユキの唇だった。

 マズいな……今そんなことされたら、色々歯止めが効かなくなる。


「……大好きだよ。リウス」


 潤んだ瞳で微笑みながら、再び思いを伝えるユキ。

 ああ、もうほんと、知らないからな。


「……ああ、俺も大好きだ。ユキ」


 翌日。俺達は二人揃って朝食を食べ損ねることになってしまった。

次回新キャラ登場。

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