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最強魔王の異世界放浪記  作者: 塩砂糖
第1章《異世界転移編》
17/68

第14話『魔法とは便利なものだな』

寝ぼけた状態で書いた所為か色々おかしい気がするのでいつか修正します。


2018/9/7

久々に見直して話の流れがおかしいと感じたので修正しました。


・修正箇所

「……異世界人には面倒ごとが嫌いなものが多いのか?」から始まる会話を一部修正しました。

「何者、とはどういう意味ですか?」


 唐突な質問にどう答えていいか分からず、俺は聞き返した。

 だがそう返されるのを予測していたのか、アレインさんは質問を変えた。


「答え難い質問だったな。……ではこうしよう。君達は、此処とは別の世界から来た異世界人ではないかね?」


 いきなりの核心を突く質問に、俺は言葉に詰まってしまった。

 意識して無表情を作り、動揺を悟られないよう努める。

 だが、それはあまり意味を成さなかった。

 チラッと横のユキを見ると、ユキの耳はペタッと伏せられ、尻尾はピンと伸びていた。

 犬が警戒している時の仕草だ。


(ユキに限らず、獣人種は嘘がつけなそうだな……)


 意識してやっているのかは分からないが、多分無意識なのだろう。

 そしてユキのその様子に、アレインさんも気が付いたようだった。

 だが、俺はそれに気付かないフリをして話を進める。


「何故、そう思ったんですか?」

「……そうだな。理由は幾つかある。いや、幾つか理由があり、それを総合して考えた結果そのような結論に至った、と言うべきか」


 この世界に来てから、俺達がこの世界の人間ではないと分かるような事は出来るだけしないようにしてきた。

 しかし、この世界の常識を知らない以上、完璧だとは言い切れない。

 何にせよ、聞いてみない事には分からないか。

 明確な根拠が無ければ、聞いた上で否定すればいい。


「その理由というのを、教えて頂けますか?」

「その前に一つ、確認しておきたい事がある。良いかね?」

「……どうぞ」

「かの森に出現した炎神の化身を倒したのは、君達だね?」


 さて、否定するべきか肯定するべきか。

 否定するにしてもどんな言い訳をしようか。

 …………うん。思い付かない。

 まあ、あの場を他の冒険者に見られた時点で誤魔化す事など諦めていたのだが……。

 都合良く上手い言い訳なんか思い付かないか……。


「……はい。そうです」

「そうか。では、私が君達を異世界人ではないかと思っている理由を話すとしよう」


 俺は黙ってギルド長の言葉を待つ。


「先ず、私が君達の事を知ったのは、ミュエから『Fランク冒険者チームがニストグリズリーを討伐した』と聞いた時だ」


 これはもう不可抗力としか言いようがない。

 あの熊の魔獣がそこまで強い位置付けだとは思わなかった。

 俺達からすれば珍しいレア物程度でしかなかったのだから。


「それを聞いた私は、ミュエに君達の依頼受注を全て請け負うように命じた。それほどの実力者である君達がどのような人物か探る為だ。尤も、最初にミュエが君達の担当をしたのは偶然だがね」


 思い返してみれば、商人の荷下しの手伝いなどの依頼もミュエさんが担当していた。手が空いていたからだと思っていたが、そんな意図があったとは。


「ではやはり、ギルド長とミュエさんは親子ですか?」

「ああ。だが、命令はあくまでギルド長としてだ。まあ、娘だから頼みやすいというのもあったがね」


 親子というのは素直に納得がいった。

 苗字が一緒だから、という事ではなく、ミュエさんのあの雰囲気はギルド長と似ている。そんな気がした。


「二つ目は、君達が商人からの依頼を受けた時だ。ニストグリズリーを討伐出来る程の腕がありながら、何故その様な依頼を受けるのか、とね」


 色々と気を付けたつもりだったが、全く意味が無いな。

 それに二つ目ということは、理由はまだあるらしい。


「そして最後に一つ。――君達は『アビリティ』を知っているか?」


『アビリティ』

 この世界の人間が生まれつき持っている特殊能力を総じてそう呼ぶ。

 アビリティを持って産まれてくる子供は百人に一人と言われており、その能力は魔法と大差無い物から特技と言っても差し支えない程些細な物まで千差万別だ。

 現在の技術ではアビリティの有無を調べる事しか出来ず、どの様な能力なのかを調べる方法は確立されていない為、現在アビリティの能力が判明しているのは全体の十分の一しかいないと言われている。


 これもこの世界の常識らしく、図書館で読んだ本に書いてあった。


「ええ、知っていますが……それが何か?」

「実は、私はアビリティ持ちなのだよ。そのアビリティが君達が異世界人だという確信になったんだ」

「……それはなんというアビリティなんでしょう」

「【能力測定】と私は呼んでいる」


 やはりこの世界にも敵の能力を調べる物は存在するのか。

 アビリティがレベル差で無効化可能なのかは分からないが、無効化出来なかったとしても、桁違いのレベルだけでは異世界人という結論には至らないはず。


「何故それを俺達に?」

「これまでの出来事で君達に興味が湧いたというのが主な理由だ。深い意味はない」

「そのアビリティがどのような能力か教えて頂けますか?」

「対象のレベルを知ることが出来る物だ」


 ひょっとして、この世界にもレベルの概念があるのか?


「……それを俺達に使ったとして、異世界人という結論には至らないと思いますが」

「実はな、私のアビリティは使える対象が決まっているんだ」

「……使える対象?」

「ああ。私のアビリティが使える対象は『この世界で生まれた生命体』に限定されているんだ。君達には私のアビリティが使えなかった。それが理由だ」


 …………そんなのアリ?


「因みにレベルの差による無効化という線はあり得ない。君達は知らないかも知れないが、この世界で異世界人はそこまで珍しくはなくてね。私より下のレベルの異世界人にもこのアビリティが使えなかったのは既に検証済みだ」


 それを聞いた途端、急に力が抜けた。

 つまり最初から俺達がはぐらかしているのは分かっていた訳だ。なんか恥ずかしい。


「……そこまで分かっていて、何故こんな事をしたんです?」

「異世界人は皆一様に強力な力を持っている事が多い。だから君達がどの様な人物なのか把握しておく必要があった。今回こうして呼び出したのはそういう理由もあるんだ」

「なるほど……」


 ユキも緊張が解けたのか、それとも警戒することをを諦めたのか、強張っていた体を楽にし、背もたれに体を預けていた。


「尤も、君ほど底が知れない者達は見たことがないがね」

「そうなんですか?」

「これまで会った異世界人で一番レベルが高かったのは213だな。尤も本人からの自己申告だった為事実かどうかは分からないが、君ほど底が知れない感じは受けなかったな」


 どうやらかなりの数のプレイヤーがこっちに来てるみたいだな。

 知り合いもこっちに……って俺そんなに知り合い居ないじゃないか。


「――では、呼び出したもう一つの要件に移ろうか」


 そういえば最初にそんな事を言っていた事を思い出す。


「もう一つの要件とは?」

「さっき君は炎神の化身を討伐したのは自分達だと言ったね?」

「ええ、言いましたが……」

「その討伐報酬の話だ」


 ああ。確か国から報奨金が出るんだったか?


「だいたい幾らぐらい何ですか?」

「細かい金額は会計の者に任せてあるから分からないが、少なくとも二〇〇〇万以上と言っておこう」

「二千……万……?」

「嘘……」


 流石のユキも衝撃だったのか小さく呟く。


「それに加え、昨日の事件の原因討伐の特別報酬も追加すれば、三〇〇〇万はいくだろう」

「マジか……」


 もはや敬語も忘れていた。

 前の世界でもそんな大金受け取ったことがない。


「でも、そんなに高額な報酬を支払って……大丈夫なんですか?」


 ユキから疑問の声が上がる。

 確かにそれは気になる。

 この世界は特別物価が高いような印象は受けなかった。

 この世界の平均所得など知らないが、それでも三〇〇〇万は大金の筈だ。

 俺達が心配することではないが、ギルドの経営などは大丈夫なのだろうか。


「報奨金は国から支払われる物で、ギルドはその仲介をするだけだ。本来は討伐依頼達成時に参加した冒険者全員に分けて支払われるものだが、今回支払われるのはそれら全てだからな。その為高く感じるのだろう」


 運が良いというかなんというか。他の冒険者に対して少し申し訳ない気持ちになる。


「では支払いだが、いつが良い? 急ぎであれば今すぐ用意させるが」


 早いに越したことはないが、そこまで急ぎでもないし……。

 図々しい様な気がしなくも無いが、後回しにする理由もない。今受け取ってしまおうか。


「では、お願いします」

「了解した。少しここで待っていてくれ」


 アレインさんが部屋から出て行き、部屋には俺とユキの2人だけになる。


「ギルド長さんにはバレてたね」

「だな。まあ、今回は仕方ない」


 アビリティのデメリットを逆手にとって調べられるとは思わなかった。

 ――デメリットを逆手に、か……。

 何か出来ないか、今度ゆっくり考えてみるか。

 そんな事を考えていると、お盆にお茶を乗せたミュエさんが部屋に入ってきた。


「お茶も出さず、申し訳ありません」

「いえ、入らない様ギルド長に言われていたんでしょう?」

「はい。重要な話だから、と」

「なら仕方ないですよ」


 お茶を置いたミュエさんが部屋から出て行ってから十数分。

 そろそろ出されたお茶を飲み終わりそうになった頃、アレインさんが後ろにミュエさんを連れて部屋に入ってきた。

 ミュエさんは荷台の様なものに大きな袋を五つ乗せ部屋に入って来た。

 少なくとも三〇〇〇枚以上の金貨が入っている袋は、かなりの重量感がある。


「すまん、待たせたな。量が多くて少々手間取った」

「いえ、大丈夫です」


 ミュエさんが荷台を俺の横まで持ってくる。


「金貨四五〇〇枚で四五〇〇万ガルンとなります」


 ……さっき聞いた時より1500万増えてますが……。

 試しに袋を一つ持ってみる。


(うわっ、結構重い……)


 俺の身体能力で重く感じるって……。


「この金額ですのでギルドの銀行に預け入れる事も可能ですが、いかがなさいますか?」


 この世界にも銀行はあるのか。

 ただ俺達にはアイテムボックスというめちゃくちゃ便利な機能がある訳で。

 正直銀行は必要無いんだが……。

 だがメニュー画面なんて見せる訳には……。

 ――ん? 隠す必要って、あるのか?

 アレインさんには俺達が異世界人だということはもうバレているし、ミュエさんも少なからず察しているだろう。

 異世界の魔法とか言えば誤魔化せるのでは?

 というか、異世界人とバレているならこの世界の気になる事について聞いてもいいんじゃないか?


「……リウス様?」

「あ、いえ、銀行は大丈夫です」


 そう言ってアイテムボックスに金貨を仕舞っていく。

 端から見れば金貨の入った袋が空中に消えていく様に見えるだろう。


「……それは何かの魔法かね?」

「まあ、そんなものです」

「やはり、魔法とは便利なものだな」


 その口ぶりから察するにアレインさんは魔法が使えないのだろう。

 ザ・戦士職って感じだからな。

 金貨を仕舞い終わった俺は、アレインさんにこの世界の常識などを尋ねる事にした。


「アレインさん。まだ少し時間ありますか?」

「ああ、時間ならあるが、どうかしたのかね?」

「いえ、実は少し訊きたいことが」

「訊きたいこと?」

「この世界の常識などです。俺達からすれば、ここは右も左も分からない世界ですから」

「そういう事なら構わない。私に答えられる事なら答えよう」


 それから数十分。気になっていた事を片っ端から質問していった。

 先ず、この世界にもレベルやステータスが存在するか。

 答えは『存在する』。

 レベルを調べる魔道具も存在し、一部の人間はステータス画面を表示させる事も出来るらしい。

 アレインさんにも使えるようで見せてもらった。

 因みにアイテムボックスなどは存在せず、ただステータスが確認出来るだけだった。

 次に、異世界人のこの世界における立場。

 これに関しては普通の人間と大差無いとの事。

 ただ異世界人は一様に高い能力を持っている為、高位の冒険者になる事が多いらしい。

 とはいえ、やはり珍しい存在である事に変わりは無いようだ。

 それ以外には図書室で調べられなかったこの世界の常識、法律などを聞いた。

 そして最後に、これは単なる興味本位だったのだが、この世界に魔王や勇者は存在するのかを聞いてみた。

 答えは『両者とも存在した』

 今から80年程前まで、魔族と人間の対立があったらしく、この世界で魔王という言葉が指すのは、対立の時代に魔族や魔物を従え、人々を苦しめた者を指す。

 まさにイメージ通りだ。

 因みに魔族と人間の対立は、当時の勇者が魔王を討伐した事によって終結したらしい。

 その後、人間と魔族の間に和平協定が結ばれ、未だ一部の者同士の軋轢はあるものの、今の所問題無く共存しているとの事だった。


「――これぐらいで大丈夫です。ありがとうございました」

「そうか。役に立てたなら幸いだ」

「あ、最後にもう1つだけ良いですか?」

「構わないが、今度はなんだ?」

「俺達が異世界人だという事と、炎神の化身を倒した事はあまり広めないで頂けると助かるんですが」

「それは構わないが、理由を聞いても良いかな?」

「面倒事に巻き込まれるのはゴメンですから。あまり目立ちたくないんですよ」


 ゆっくり旅をする上で面倒になりそうな可能性は、出来るだけ潰しておきたい。


「……異世界人には面倒事が嫌いな者が多いのか?」

「誰だって面倒ごとは嫌いだと思いますが」

「……そうだな。いや、すまない。これからしなければならなくなった根回しへのちょっとした愚痴だ。忘れてくれ」

「それは構いませんが……そんな言葉が出てくるという事は、異世界人との間に何かあったんですか?」

「――二十年程前、まだ私が冒険者に成り立てだった頃に異世界人に助けられた事があってね。その実力に惚れ込み剣の指導を依頼したのだが、『面倒くさい。断る』と断られてね。ちょっとそれが頭を過ぎっただけだ」

「……へぇ。そんな事が」


『面倒くさい。断る』か。面倒くさいが口癖だったあいつの事を思い出す。


「兎も角、君達が異世界人だという事。炎神の化身を討伐した事は内密にしておこう。ただ私の立場上、ギルドと国には炎神の化身の討伐者を報告しなければいけない。それは許してもらえると嬉しい」

「ええ、その程度なら構いません」


 さて、これで用事は済んだかな。


「それでは、俺達はこれで」

「ああ。時間を取らせて悪かった。……ところで、君達はこれからもこの町に留まるのか? それとも何処かへ旅に出るのか?」

「取り敢えずはフェイルムに行こうかと思ってます」

「フェイルムか……」


 そう呟き、何かを考えている様子のアレインさん。


「……どうかしましたか?」

「む。いや、何でもない。そうだな、フェイルムに行く日が決まったら、一度ミュエに声を掛けてくれ。私の方も色々と準備をしておこう」

「準備、ですか?」

「王都に行けば王都のギルドを使う事になるだろう。その時に色々と楽が出来るように、とな。まあ詳しい事は当日ミュエに聞いてくれ」

「は、はあ」


 一体何をしてくれるのだろうか?



 ◇◇◇◇◇



 それから三日後。

 未だユキの添い寝命令は解除されないままだが、今日はこの町を出てフェイルムに向かう事になっている。

 前日にミュエさんには伝えたので、その準備とやらが何なのか今日分かるわけだが。

 まあ、アレインさんの事だから変な事にはならない筈だが……気にしても仕方ないか。


「よし。行くか」

「うん!」


 今日も元気なユキの声を聞き、俺達は一週間以上お世話になった部屋を後にした。

一気に大金持ちになる主人公達。

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