家来ができたんですけど?
「ああ~、うまかったニャア!」猫は満足そうに言うと、皿のそばでリラックスして毛づくろいをしている。
「おい、何をくつろいでいる」魔王は足で猫を軽く小突いた。
「にゃ?」
「腹ごしらえが済んだら、さっさと出ていくんだな」魔王は猫にそう告げると、自分の部屋へ戻ろうと背を向けた。
「ちょっ、ちょちょちょ、ちょっとまつにゃ!」猫が魔王の足に絡みついてくる。
「なんだ、まだ何か用か」邪魔そうに猫を押しのけながら猫を見下ろした。
「ご、ご飯をくれてありがとうにゃ!……それでその、なにかお礼してやるにゃ!!!」
「いらん」
「にゃ!?なんでにゃ!?ありがたく受け取るにゃ!」
「いらんといったらいらん」
「にゃにゃにゃ、しょうがない、特別にこの家のペットになってやるにゃ!!」
「いらん、と言いたいが、ペットか、ふむ」
「ほーら、このアタシをペットにできる機会なんて、そうそうないにゃ!いや~、幸運だったと思ってほしいにゃあ、まったく」先ほどまで自分が空腹で死にかけて食事をもらったことなどどこ吹く風で調子に乗る猫だった。その様子を見て若干イラッとする魔王。
「やっぱりいらん」
「うんうん、やっぱりペットにして存分にアタシをかわいがるといいにゃ……ってにょあああ?!なんですと?」
「いらなくなった。つい先ほど」
「ちょ、ちょっと待つにゃ!猫としてのかわいさが通じないなんてプライドが激しく傷ついたにゃ!……こうなったらどうしても飼ってもらうにゃ」
「早く帰れ」魔王は猫の首をつかんで持ち上げた。
「ペットがダメなら、性奴隷でもいいにゃ!!」
「どこで覚えるんだそんな言葉を。ダメなものはダメだ」窓を開け、魔王は猫を外に放り投げようとする。
「じゃ、じゃあ家来!家来になるにゃ!!!!」その言葉に、魔王はピクリと反応し、振りかぶった手を止めた。少しの逡巡のあと、魔王は答えた
「家来か……家来ならいい」
「ホントにゃ?!?!にゃっほう!!三食昼寝付きのオウチ、ゲットだにゃ!!!」
魔王は無言のまま、再び振りかぶって猫を放り投げた。
「にゃああああ?!?!??ウソ、冗談!冗談にゃ!!!!!」
そういいながら、猫は窓をガリガリ引っ掻いていた。
他のことで忙しくて、なかなかこの作品まで手が回せませんでした。
エタらせたわけではない(震え声)