魔力の鍛錬が順調なんですけど?
単純な魔力線の開放を終えた後は、魔力の限界値を上がるだけでなく、魔力操作の技術の向上にも多く時間を割いていた。右手では炎を生成し、左手では氷を生成するといった、異なる属性の同時発動や精密な魔力操作は、単純に魔法を発動するよりもはるかに魔力を使用する。燃費が悪いし、そもそも魔法を同時発動することができる人間は魔法が使える人間の中でもほんの一握りなので、人間の魔法教本などにはこうした鍛錬は広まっていない。それに単純な威力の増加ではないため見落とされがちなのである。
スキル「火魔法」「水魔法」を取得しました。
スキル「並列思考」を取得しました。
声が告げた。並列思考、これは魔法の同時操作を行うにあたって必須スキルといってもよい。魔力の並列操作を増やし、さらに他属性の魔法も小さく分けて同時に発動してゆくことにした。並列思考が使えるならば、これらの技術の向上も見込めるし、魔力鍛錬の効率を上げることができる。並列思考のレベルと魔力量を勘案しながら鍛錬を続けた。
スキル「風魔法」「土魔法」「闇魔法」「光魔法」を取得しました。
同時発動はやはり魔力を食うし、集中力を要求される。
スキル「集中」を取得しました。
スキル「並列思考」のレベルが上がりました。
スキル「魔力操作」のレベルが上がりました。
並列思考や魔力操作のレベルがこなれてくるまでの辛抱だろう。苦労は鍛錬にはつきものであると割り切るしかない。ましてや今はただの赤ん坊である。現在のところ、魔力の成長速度に問題はない。というよりむしろ早すぎる。この個体に魔力適正があったのだろうか。それとも魔王だった自分の魂が何らかの影響を与えているのかもしれない。だが、とにかく力を得る過程に問題がないのは構わないので、深く考えるのを打ち切ることにし、いつも通り母親の乳房にむしゃぶりついて、授乳を受けることにした。
そして、幼児としての時期を終えるころには、その辺りの大魔導士も真っ青の魔力を持つに至った。