赤ん坊になったんですけど?
目を開けると、まばゆいばかりの光があたりを満たしていた。誰かの叫び声がする。子供の、それも赤ん坊だろうか。まぶしくて、目が開けられない。誰かに抱きしめられている感触がする。心地いい。だが、ここはどこだ?あれからどうなった?誰か!誰かいないか!叫んでみても、自分の声は意味をなさない雑音になって発せられた。さっきから聞こえるこの声は、まさか自分のものだろうか。手足を動かしてみるが、地面の感触はない。何者かが私の体を押さえつける。何が起こっているんだ。
―状態異常、混乱が追加されました。
誰かの声が頭の中に響いた。抑揚のない、無機質な口調で、状態が告げられた。状態異常?そんな馬鹿な。状態異常は無効にされるはず。スキルが奪われたか?いや、失ったのか?
―スキル「分析」を取得しました。
何者かの声が再び響く。分析、なぜこんな初歩的なスキルが今更取得されるんだ。訳が分からない。さっきから体を押さえつけてくるのは何者なんだ。光に目が慣れてきたのか、うっすらと目を開けると、周りの様子がぼんやりと映り、それが次第にはっきりとしていった。相変わらず耳障りな叫び声は聞こえ続けている。自分を捕まえていたのは、巨人だった。いや、正確に言うと、違った。あたりを見渡し、自分の手足を認め、ようやく理解した、自分は、人間の赤ん坊に転生してしまったのだ、と。
―スキル「分析」のレベルが上がりました。混乱が解除されました。スキル「混乱耐性」を取得しました。
声が再び響いた。叫び続けた疲れからか、急激な眠気が襲ってきた。本当に、訳が分からない、と、心の中でつぶやいた。
―状態異常「睡眠」が追加されました。
うるさい声だ。そう思ったのを最後に、意識は再び闇の中へ落ちていった。