友人が増えたんですけど?
「それだけだよ。こっちの世界に生まれてからは、普通に過ごしてる。スキルもほとんど失っちまったしな。もっとも、剣も魔法も、てんで駄目だった人間だ。戦闘なんて出来やしないんだけどな。だが、あの時の仲間が、もしかしたらこの世界にいるかもしれないと思って、時々、こうして人を見てたんだ。まさか魔王サマに出会えるとは思わなかったがな」少年、香川秋人はそういうと、バツが悪そうに苦笑した。
「興味深いな」魔王は言う。
スキル「尋問」を取得しました、と声が言う。
どうやら話を聞き出すのは成功したようだ。「分析」をかけながら話を聞いていたが、声の調子、挙動を見ても嘘を言っている様子はない。高度な偽装スキルがあれば話は別だが、「此奴は本当にスキルを失っている」、そんな気がする。スキル「直感」を取得しました。と声が続いた。当たりだな。この判定方法はもう使えないが、おかげで便利なスキルが手に入った、と魔王は思った。
「正直に話してくれて感謝する。私は約束を守る。貴様を殺したりはしない」魔王がそういうと、秋人が小さく安堵のため息をついた。
「貴様が街中で私の正体を叫ぼうとでもしようものなら、貴様の首は宙に飛んでいただろうがな。そうされなくて助かったぞ」秋人の表情は凍り付いていた。逃げる際に、まさにその選択肢を取ろうとしていたからだ。だが、距離が離れていたこともあって、周囲の注目を浴びるのを避け、人ごみに紛れて一目散に逃げるのを選択した。結果的に、それが正解だったのだけれど。
「まあいい、せっかく同郷の者にあったのだ、仲良くやろうではないか。私も今は人の身。人間というのは、旅先で同郷の者にあったら助け合うのだろう。」秋人は驚く。てっきり、脅迫されたり、それ以上の恐ろしい目に合うと思っていたからだ。
「そうだ、さっき貴様は孤独だといったな。ならば私が友人になってやろう」秋人は引きつった表情をしていた。
称号「魔王の友人」を取得しました。秋人の頭に、声が響いた。




