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刑事の思考
ヴー ヴー
静かだった夜の刑務所は、あっという間に騒がしくなる。
鳴り響く警報。
かける看守の足音。
興奮する囚人の声。
「おっじゃまっしまぁす」
そんな中、場違いな明るい声が、高らかに響いた。
これは、ある人殺しのお話。
『昨夜未明、我が国最大の刑務所が襲撃れました』
少しキツい顔立ちをしているアナウンサーが、生真面目な顔で原稿を読み上げている。
「あー、朝からこのニュースばっかですね」
俺に話しかけてきたのは、短髪でグレーのスーツを身につけた、田中翔太だ。
…名前が平凡なのは触れないでやってくれ。
こうみえて結構気にしているらしい。
「そりゃそうだろう。この国最大の刑務所が襲撃されたんだ」
「ですよね。今まで脱獄者も、ましてや侵入者なんてでたことが無かったのに。しかも…」
そこまで言って田中の言葉が途切れる。
「収容されていた囚人は皆殺し、看守は逃げた数人を残し全滅」
田中の言葉を俺が続ける。
まぁ、言葉を詰まらせるのも無理ない。
それほどに衝撃的な内容だ。
応援がかけつけたときには、そこはすでに血の海だったらしい。
「…化け物、か」
生き残った警備員が言っていた言葉を、俺はそっと吐き出した。




