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7.扉を抜けると、そこは…。

 とにかく、ルテアさんの状況も確認させてもらおう。

「今日、ルテアさんの方は8時半頃、どこにいたんですか?」

「ああ、そうだね。そっちも検証をお願いするよ。僕は班長と一緒に部署の部屋にいたねぇ。始業前の一服でお茶飲んでたよ。」

「僕が覚えている限りは、ルテアさんはいつも8時頃にはこの部屋で待機しているようでしたけど…。」

「それは、昨日も?」

「昨日もです。」

 ルテアさんは眉を顰めた。

「それはおかしいな。昨日は、僕は有給休暇でいなかったはずだよ。」

「え?」

「それはタイムカードを確認してみればわかるはずだ。確かだよ。待ってて。写しとってくる。

 あ、待ってる間に悪いんだけど、君がもし契約社員だっていうなら、この部屋の片づけ先に開始してて。僕も戻ったら手伝うから。掃除用具は部屋を出てすぐ右の部屋だから、よろしく。」

「あ、はい、了解です。」

 僕の返事を聞くと、ルテアさんは足早に扉の向こうに消えた。

「僕も、やること、やらないとな…。」

 観測機器がこうでは、記録をつけるどころじゃないし、どっちにしろ片づけは必要だ。

 無事なものをとりあえず隅っこに一まとめにしてから、掃除して、再設置すればいいかな。先ほど、ルテアさんが手に取って眺めていた部品を何気なくつかんだら、…おかしい。持ちあがらなかった。見た目は直径5cmの水晶玉なのに。これは、僕がやっぱり非力だってことか。いや、逆だ。きっとルテアさんが力持ちなんだよ。うん。

 気を取り直して、とりあえず機器の類はあきらめて、散らばった書類をメインに片づける。

 小一時間ぐらい頑張った結果、一通り、掃き掃除ぐらいはできそうな感じに片付いた。ふー、紙ばっかりでも案外重い。しんどい。

 その時、昼休憩を告げるチャイムが流れた。

 続きは午後からやるとしよう。

 そういえば、と思い出した。イリルから預かった小包、出してこないと。ばたばたしていて忘れていた。慌てて確認してみたが、幸い汚れたりしている様子はない。壊れていないかまではわからないが…不可抗力にもほどがあるので、気にしないことにした。

 まったく、郵便ぐらい一人でも出せるだろうに。本当に、あの変態の考えることは謎だ。

 ルテアさんがまだ戻ってきてないが、お昼休みなら、一時的に外出しても問題ないだろう。

 とっとと投函してしまおう。

 僕は扉を開けた。


 え。なにこれ。


 閉めた。見間違いに違いない、きっと間違いだ。

 次に開けたら、いつもの景色。そう信じて、再度開けた。

 そこには、さっき開けた時と同じ景色が広がっていたが、見慣れた、コンクリの壁と、色あせたリノリウム張りの廊下ではなく、どうみても木造の廊下が広がっていた。

 後ろを振り返ると、先ほど片づけた部屋が見える。でも、違和感がある。思い出せ、思い出すんだ僕。

 あの部屋の床って、木造だったっけ? 違う、確か、廊下と同じ、リノリウム張りだったはず…。

 なぜ、今、木造になっているんだ?

 ここは、どこだ?!

「あ、アクト、お待たせ。悪かったね。別件の急用が入っちゃって、遅くなっちゃったよ。」

 ちょうど行き会ったルテアさんが、声をかけてくれたけれど、僕は混乱のあまり返事ができない。

 それを見て片眉を上げたルテアさん。

「どうか、したのかい? とりあえず顔色が悪いよ、アクト。お茶でも飲んで落ち着こう。もうお昼だよ」

 立ち尽くす僕の手を引いて、ルテアさんは応接室と書いてある部屋に入った。

「とりあえず座って、楽にして。さっきの回復魔法、効きが悪かったのかな?」

 ルテアさんはそういって、ポットから手ずから緑茶を入れて、渡してくれた。熱い。しばらく冷まして、ちろりと舐めると、苦さが一際きつく感じられた。

「ルテアさん、」

「うん?」

「今って、何年の六の月の二十日ですか?」

「新七歴323年。…まさか、と思うけども…。」

「僕が覚えている今日は、…新七歴、521年です。」

書ける間にいけるところまで……!


ぶっつけ書きぶっつけ投稿の恐ろしさ。

設定の矛盾がないかどうかの最後の洗い出しが怖い!

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