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0. または 11.裏側の魔法使いたちのお仕事。各種設定ネタバレ編。

後で気づいた分の追記。うっかりと番外編のつもりで本編完結済の後に次話投稿にしたら、完結済の処理が重複してしまったようです。

失敗しました。orz

 魔法協会の、召喚管理部門の実働班は忙しい。

 僕は未だ夜中の3時だというのに、連絡を受けて現場に急行する。

「吸血鬼にとっては、今の時刻がお昼時みたいなもんだけどねぇ。」

「遅いぞルテア、なにをしていた。あと、言いたいことがあるなら言い給え。給料は上がらんがな。」

「遅れました、班長。何でもないです。でも給料はそろそろ上げてください。」

 現場に到着すると、すでに他のメンツはそろっていた。といっても、いつもと同じ3名である。一見まるで翼人の子供だが、本性はとんでもない長生きの堕天使アレク(僕が班長と呼ぶのはこの人だ)と、全長20メートルを超す蛇女ラミアのラーム。

 僕は二人の横から、状況を写している水晶玉から各種情報をダウンロードすべく、ネットワークの接続作業を開始した。

「…で、今回は?」

「見てのとおり、違法大召喚陣だ。被疑者は無免許。陣だけが複数、暴走中。」

「術者は、…あー、巻き込まれて死んでるな。スプラッター。召喚対象指定なし、無知にもほどがある。いや、これは故意にか。…ルーもきたか。」

 ラームは尾の一振りを挨拶がわりに寄越してきたが、自分の体の大きさを考えてほしい。今のはどう見ても横薙ぎの一撃だった。が、毎度のことなので、ひょいと跳んで避けて、合流する。

 ネットワーク接続作業も完了。会話の通りの状況が、視界の片隅に表示されているのを確認する。

「やあ、ラーム。今日の陣はでかいねぇ。…これ発動防げなかったら責任問題になるかな?」

「今回は異空間での展開だし、被害はまだ出ていない。大衆に気づかれなきゃ問題にならん。さあ、とっとと〆るぞ! 『私は眠い!!』」

 アレクが、背の白翼を大きく広げ、通常では考えられない大出力で魔法の構築を展開、起動する。直接的な干渉に、異空間の存在自体が揺らぎ、施してある現実世界への9枚の防御膜のうち、5枚ほどををあっさりぶち抜いた。

 …威力過剰にもほどがある! 僕とラームは顔を見合わせた後、僕はラームの肩を叩いた。

「ラーム、フォロー頑張って!」

「ルーも働け! 我だけじゃアレ無理!」

 …それからなんだかんだで3時間ほどかけ、異空間に隠されていた魔法陣を破壊して、概念破壊を撒き散らす未定義存在に、界の間の混沌へお帰りいただいた。今日もなんとか無事だった。やれやれ。

 その後、二人は帰宅。僕は召喚管理部門の事務室へ行き、インスタント食の献血パックを片手に、報告書を書き上げながら待機。朝になったら業務終了、家に帰ってベッドに横たわる。

 大体毎日がこんな生活を、もうかれこれ250年ほど続けていた。

 問題など、全くとはいわないが、概ねないと思っていた。



「はぁ? 報告書が足りない?」

 話を聞いたとき、僕は素っ頓狂な声をあげていた。

「うむ。」

 アレクはデスクに両肘をつき、祈りのような声を絞り出した。

「しかもそれ、500年分も溜まってると言われた。…冗談だと思いたい。」

 召喚管理部門、実働班に割り当てられた部屋の一角で、アレク、ラーム、僕はそれぞれ、途方にくれていた。しかし、そうしてばかりもいられない。少しでも片づけていかないと、また出動がかかるたび、仕事が増えていくんだから。

「それ僕の赴任してくる前からですよねぇ?」

「私がこの部署にきた時からだから。…知らなかったんだ。毎回の他にも、各期末毎の報告書が必要だって」

 沈鬱な表情で両手を組むアレクを見ながら、ラームは一言呟いた。

「班長、まぬけ。」

「煩いぞラーム。指摘しないお前も同罪だろうが。」

「作ってると思っていた。我はアレクの部下。」

「都合のいいときだけ部下の顔をして…」

「僕だってそうだったんだもの、しょうがないと思うよ。」

「ルテアまでそう言うのか!」

 アレクが嘆いているが、責任をなんとかと言っている場合ではない。

「それにしても、…班長、そんなに前の事覚えてます?」

「それは覚えてるから問題ないんだが」

「覚えてるんですか?!」「覚えてるだと?!」

 思わずラームと二人してツッコんだ。

 さすが堕ちたとはいえ天使、無駄なオーバースペックさを遺憾なく発揮している。

 あの脳の構造は一体どうなってんだろうねぇ? 今度、解剖させてくれたりしないかな?

 そんな事をこちらが考えているとはつゆ知らず、アレクは引き続き机に突っ伏し、頭を抱えている。

「ただ、ぶっちゃけて言おう。提出が遅すぎて現在の平常時データがアテにならんと言われてしまってな。併せて比較用のデータ出せって言われたんだが、…そんなものあるわけがないんだ。」

「あー…。」

 さもありなん。実験ではあるまいし。

「しかも書類作ってる間、この部署の通常業務が停止しかねん。」

「あー…。」

 そりゃ、さすがにその年数分、溜まればねぇ…。

「どうする気です? さすがにあまり長期間に業務を停止していれば、まあ世界は滅びないまでも、この街ぐらいは滅びそうですけども」

「うむ。それで、だ。」

 アレクは何かを思いついていたようで、にやりと笑った。

「一人追加で事務員雇ってくれないか。そいつに過去のデータをとってきてもらおう。なおかつ報告書作成もやってもらおうと思う。」

「え、過去遡行して?」

「そうだ。」

「…それマズくないです?」

「実行には許可がいるのだけが面倒だが。こんなこともあろうかと、ちゃんと必要な資格も取得している。これなら問題ないだろう?」

 アレクの個人情報窓を横から覗いたラームがのけぞった。

「うお、時間遡行5段なんてマイナーな…何故もっている?」

「…ちょっと前の勤務先で、歴史書の確認作業するからと。結局使わずに終わったが。」

 遠い目をするアレク。そういえば、前の勤務先って、それ天界のことなんじゃない?

 本当に、なんで堕天使になってまで、現界に移住してきたんだろうねぇ、この人。



 その後。雇われた事務員(と、最後の担当者の使い魔)が必死に働いたことにより、無事に全ての報告書は提出されたそうな。


めでたし めでたし。



※ オマケ。その後の魔法使い達 ※ 

※SS形式でお届けしますので、苦手な方はスルーしてください。 ※


アクト「ちょ、あれ、そんな仕事だったんですか!?」

ルテア「うんー。さすがにポカミスの補填だから、大っぴらにできなくてねぇ。ははは。」

イリル「その結果で過去遡行中に事故が発生して、俺様の存在が存続してるから結果オーライとはいえ…よかった、使い魔契約や魔力結晶の小包で保険かけといて本当によかった。俺様自分GJ」

アクト「でも、この仕事終わりましたけど、僕、雇用契約完了で解雇になるんでしょうか…?」

アレク「大丈夫だ! 雇用契約を正社員に変更して、引き続き、事務関係の仕事をまかせる! 私は苦手だ! もう書類仕事はいやだ!」

ラーム「班長なのに丸投げする気、ひどい。我もその方が助かるから何とも言えないけど。この調子で頼む、アクト。」

アレク「結果的に前より処理速度も上がって費用対効果は抜群だから問題はない。それに、あと30年ほど頑張れば、アクトも実働人員に組み入れできそうじゃないか。さらに快適に働けるぞ! 何十年ぶりかの有給休暇が見えてきた!」

ラーム「実働班は人員不足。死ぬ可能性が高いから給与はいい。」

アクト「できるだけ頑張りますけど、30年て、そんな気の長い話やめてくださいよ。僕もともとの寿命が大往生で100年もない種族なんですよ?! きっと死にそうになってますよ!?」

イリル「いやいや、俺様をなめるなアクト君。あふれんばかりの愛という名の魔力譲渡で寿命と若さを、100年と言わず伸ばしてやるから! 目指せ千年!」

アクト「いやあああああ、僕普通がいい! 普通に生きて普通に死ぬー!! そこまで長期間変態と一緒とかいやだああぁー! ある程度たって手に職つけたら変態を叩き帰して、お嫁さんもらって、子供作って育てて、最後は引退して海の近くに引っ越して、老後は平穏にゆったりと暮らすんだ!! 平穏に変態はいらないんだよ! わかるだろ!?」

イリル「なんだ、アクト君、子供欲しいのか。じゃあせっかくだしそのうち産もうか? 俺様一応今の形はアクト君からもらったの使ってるから男性形だけど、実は性別ってどっちでもなれるし」

アクト「…え?」

イリル「覚えてない? 俺様の原型。アレに性別なんてものがあるとでも? ちなみに種族的な壁は余裕で超えられるのは、お袋が過去に人間の子供産んだ事があるとか言ってたから問題なかろうし。サンプルデータだけ誰か女性に協力してもらえば…(ラームの方ををチラチラッ)」

ラーム「(物凄く嫌そうな顔)我は断る。余所へ頼め。」

イリル「残念…。(でもラームのその顔見て少し嬉しそう)」

アクト「(そのやり取りみてドン引きしつつ)いや、いやいやいや。それ以前に、お前変態じゃないか。変態と結婚、まして子作りなんて冗談じゃないぞ?!」

イリル「…もしくはいっそ男性形のままでも実行に支障はないし、同意があれば魔法で誘惑とかしてコトに至っても契約違反にならないから、その気になるようにちょいちょいっと魅了してとかどう? これなら完璧だよな?」

アクト「だから待て、その理屈はおかしい。そもそも同意しない!! しないんだからな!!」

イリル「それ以前の問題で、俺様以外に相手がいないだろうに、アクト君は何を言っているんだ。」

アクト「で、できるから! 僕にだって彼女きっとできるからっ!」

イリル「22歳でやっとファーストキス(笑)、しかも相手俺様だったくせに、まだそういう事言える余地があるのか?」

アクト「ちょっ、」

ルテア、アレク、ラームの3名 「「「あー。」」」

アクト「なんで納得した顔してるんですか班長!? ルテアさん、視線が痛い、そんな憐れむような目で見ないで! ラーム先輩、気まずいからって目線を逸らさないで下さいよ! あぁああぁ……。」

ルテア「うん、(からかい甲斐がある)若い子っていいねぇ。いいなあ青春。昔すぎて忘れちゃったよー。」

アレク「子供、か。元気にしてるだろうか…。」

ルテア「あれ、班長も子供いたんですか?」

アレク「ああ、天界においてきた。まあ、あちらは現界と違って変化を嫌う性質だし、問題はないだろうと思うが…。」

ラーム「なんでもいいが、今回は最後のネタバレだからって、本当に作者がやりたい放題しているな…。」

アレク「鬱憤でもたまってたんだろう。そっとしておけ。ついでにアクトもな。そろそろまた暴発するぞ。」


 騒がしい、魔法協会召喚対策部門、実働班での一幕。


今度こそ おしまい。

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