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ラスト・トラベラー ~救いの巫女と銀色の君~  作者: 両星類
第一章 見たこともない世界
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第八話 明かされた真実(2)

 あおいは目を覚ました。

 とはいえ、朝日が差し込むような時間ではない。室内は眠りについたときと変わらず暗然としている。


(なんだろ、誰かに起こされた気がしたんだけど)


 身体を揺さぶられた感覚はなく、声をかけられたという確証があるわけでもないが、何かが自身に働きかけた結果覚醒したのだと彼女は直感していた。しかし、仰向けで寝ている今、少なくとも目の届く範囲に人影はない。


 釈然としないまま身を起こして、隣のベッドに目をやる。そこには長い金髪の見目麗しい女性が眠って――いなかった。


「あれっ?」


 確かに隣で横になっていたはずのラニアの姿がない。


 人一人がようやく寝返りを打てる狭小なベッドが五つ並び、花瓶置きのような丸テーブルが一つ備え付けられているだけの小さな個室。隠れるようなスペースもない。


 碧のベッドは一番入り口に近く、窓側に向かってラニア、ジラー、カイズ、イチカの順に並んでいた。ラニアから奥の男性陣のベッドもやはりもぬけの殻で、どうやら部屋には碧以外誰もいないようだ。


(そのうち帰ってくるかな?)


 のろのろと布団に潜り、目を閉じてしばらく待つ。

 体感的には十分を過ぎただろうか。誰一人として帰ってくる気配はない。


 室内はおろか宿中が静まり返っている。その反動か、鋭敏になった聴覚が微かに聞こえる外の喧噪を拾う。足音がすればすぐに分かるであろうが、物音一つしなかった。


 四人揃ってトイレ、ということは恐らくないだろう。

 であれば、外出か。こんな夜更けに、という疑問は頭をもたげるが、可能性としては最も高い。

 では一体何のために――。その言葉が浮かんだ瞬間、一つの推測が脳裏を過り、背筋が凍り付く。


(もしかして……置いて行かれた?)


 いくらラニアたちが友好的でも、リーダーのイチカが離別を強く望めばそれに従ってもおかしくはない。そして、もし本当に見捨てられたのだとしたら、碧はこのままここに留まらなければならない。追いかければ、彼らに余計な負担を掛けるだけなのだから。


 眠りたい気持ちとは裏腹に、募る不安。訪れない眠気。

 悩んだ末、重い瞼を持ち上げ、布団から抜け出た。


 部屋のドアを開けて、宿の入り口――受付の方へと向かう。夜間勤務の従業員がいれば、イチカらを目撃しているかもしれない。逃げるように出て行ったのか、そうでなかったのか、そのどちらかの情報だけでも分かれば、いくらか気持ちの整理がつくと思った。


「どうしました~~?」


 後方から唐突に声を掛けられ、碧は派手にすっ転ぶ。

 そこには夕べ部屋へ案内してくれたメイド――もとい、宿主の女性がいた。夜中にもかかわらず、方々(ほうぼう)にハートマークを飛ばしそうなくらい眩しい笑顔を浮かべている。


「お連れの方々なら、先ほど外に行かれましたよ~~?」


 碧の訊きたいことを承知しているらしく、やはり愛想良く教えてくれる。しかし、笑顔の裏の感情を読み解くことは容易ではなかった。まるでそれが義務であるかのように、彼女は微笑みを崩さない。


「どこに行くとかは……?」


 急に現れた女性に対する驚きとは別の動悸を感じながら、碧は意を決して訊ねる。「教えてくれませんでした~~」と明るい声で残酷に告げる姿がありありと浮かんで、膝から崩れ落ちそうだ。

 

「裏手に緑地があるんですけど~~、そこじゃないかと思いますよぉ~~? 焚き火セット貸してほしいってことだったので~~」


 予想の斜め上を行く返答に、碧の思考が一旦停止する。


「……焚き火セット?」

「はい~~。この時間に焚き火するお客様は滅多にいらっしゃらないので~~、ちょっとびっくりしちゃいましたぁ~~」


「びっくりしちゃいました」と言う割りには相変わらず楽しそうだ。そもそも真夜中に備品を貸せと言われて貸し出す宿も、彼らに負けず劣らず珍しいだろう。


 さすがに宿の備品を借りたまま行方を眩ますことはないだろう。置いて行かれたわけではないのだという安心感が、胸の内に滞っていたしこりを少しずつ溶かしていく。


「教えてくれて、ありがとうございます!」

「これどうぞ~~」


 礼をして入り口へ向かおうとした碧を引き留めるように、女性は手に持っていたランタンを差し出した。


「外は暗いですから~~。明かりがないと大怪我しちゃいますよ~~?」

「でも、あなたは」

「大丈夫ですぅ~~。予備を持ってますので~~」


 女性は腰の後ろに手を回し、手慣れた様子で金具を取り外したかと思うと、全く同じ物を顔の横に掲げてみせた。絶えることのない笑みと暖かな光を数度見比べたのち、碧は厚意に甘えることにした。


 宿を出た碧は緑地を目指す。裏手に通ずる道は宿づたいに伸びる一本のみで、迷うことはなさそうだ。


 夜半でも微かに街灯が灯り、陽気な声が飛び交う繁華街がある表通りとは打って変わり、緑地へは両側に背の高い草木が生い茂る階段を下っていくようだ。歩を進めるにつれ賑わいは遠くなり、鬱蒼とした森のような植物たちと、そこに棲む動物や虫の鳴き声だけが碧を取り囲んでいる。


 数分ほど歩き続けた碧は、木々の合間に橙色の明かりを認めた。僅かに焦げ臭い匂いも漂ってくる。


「焚き火……?」


 焚き火セットを貸したという女性の言葉を思い出し、期待で胸が膨らむ。


(あそこにいるかも!)


 もちろん、早合点はできない。走り出したい気持ちを抑え、慎重に近づく。


 距離が縮まるにつれて、話し声が明瞭になってきた。聞き慣れた声のように思えたが、念には念を入れて姿を確認する。淡い紫色の鶏冠(とさか)頭、くすんだ金色の逆毛、背中までの金髪。まず間違いない。認識した途端、不安や心細さが吹き飛んで。


「ラ――」

「そんな態度じゃアオイがかわいそうよ。あの子は何もしてないのに」


(え……?)


 嬉々として駆け出そうとしたところに自分の名前が飛び込んできたものだから、碧は思わず口を覆い、木陰に隠れる。


「あなたが憎んでるのは一部の人間で、アオイは関係ないでしょ?」


 碧の存在に気づいていないラニアは、多少の苛立ちを含んだ声でさらに言い募る。「態度」という面でラニアが苦言を呈するような相手は、碧の知る限り一人しかいないが、その人物が応答する様子はない。


 どこか遠慮がちに口を開いたのは、「彼」の弟分たちだった。


「オレも、アオイが兄貴の言うような酷い奴には見えねぇよ。けど……」

(あね)さん。師匠は、思い出したくないんだよ」

「分かってるわよ! でも……!」


 彼女にも何かしらの葛藤があるのか、まくし立てるような反論は、しかし中途半端に途絶えてしまった。それきり、火花の弾ける音だけが夜空に吸い込まれていく。


 背中を樹に預けたまま、碧は頭の中でラニアらの言葉を反芻していた。

「憎んでる」「酷い奴」「思い出したくない」――。


(そう言えば……)


 ――『このコは恨むべき相手じゃないだろ!?』


 なかなか剣をしまおうとしないイチカに業を煮やして、カイズがそう諫めたことを思い出す。

 彼の過去に何かがあって、その結果が自分への態度に繋がった。そこまでは漠然と理解したが、核心には届かない。


(?!)


 嫌な予感が背筋を伝い、碧は咄嗟に樹から離れた。直後、彼女が身を寄せていた樹の幹に何かが突き刺さる。


(短剣……?)


 一体どれほどの威力で放られたのか、痩せた樹とはいえ反対側にまで切っ先が覗いている。鎧を身につけていない今、樹に密着したままでいたら軽傷では済まなかったかもしれない。


 他方、反射的に取った身を守るための行動は、静かな夜にはあまりにも大きな物音を響かせ、ラニアらが身構えるには十分すぎるほどだった。


「アオイ……!?」

「盗み聞きとはいい趣味だな」


 その姿を見て思わず立ち上がり驚きを露わにするラニア、カイズ、ジラーとは対照的に、振り向きもせず皮肉たっぷりに言い放つイチカ。先ほどの短剣は彼が投げたもののようだ。


 碧は反論しようとして、ぐっと口を噤む。盗み聞きしていたこと自体は間違っていないからだ。


「まあいい。この際だ、あんたにも話しておいてやる」


 イチカ以外の全員が固唾を呑む。


「おれは正真正銘の日本人だ。この髪もこの眼も、こっちの世界で創った“おれ”。本当はあんたと同じ世界の、黒髪黒眼の人間だ」

「え……っ!?」


 想定外の告白に声が裏返る。


「おれは三年前ここに来た。ちょうどあの国に愛想を尽かしてたんで、おれにとってはいいタイミングだった」


 碧に背を向けたまま、イチカは淡々と、しかしこれまでになく饒舌に語り出す。碧は与えられた情報を脳内で整理するのがやっとだ。


「あ、愛想を尽かすって……」

「虐待・いじめ」

「――!」

「と言ったら分かるか?」


 あまりにも衝撃的な単語が彼の口から飛び出て、声が出なかった。

 両親から、注意程度に叱られたことなら碧にもある。髪色をからかわれたことも一度や二度ではない。他方、手を上げられたり、陰湿ないじめの対象にされたことはない。ニュースで報道されても、まるで他人事のように視聴していた。


 否、他人事だ。経験のない者には、他人事にしかならない。


 何不自由ない生活を送っていたあの時、あの瞬間。

 遠い世界のことのように思っていた出来事が、想像を絶するほどの形で彼の身に起こっていたのだとしたら、表情の乏しさも合点がいく。


「おれは親も、あの国も……地球も嫌になった。だからいかにも日本人のツラしたあんたを殺そうとした。……納得したか?」


 感情が高ぶっているのか、段々と攻撃的になる口調。

 それでも彼は、最後には呟くように問うた。


「あたしは、来なかった方が良かったの……?」


 それは、決して碧が言いたい言葉ではなかった。もう少し憐れむとか、同情するとか、言葉は山のようにあったはずなのに、口を突いて出たのはその一言のみ。碧は自らの発言に困惑しながら、祈るような眼差しでイチカを見た。


「そうだな。不愉快だ」


 炭化していく薪を見つめたまま、イチカはにべもなく返した。


 彼に酷い仕打ちをした人間たちと、同じ世界から来た。たったそれだけだ。当事者ですらない。それなのに、何故嫌悪されなければならないのか。何故「不愉快だ」などと罵られなければならないのか。いくらなんでもあんまりだ。


(あたしはあなたに何もしてないのに。酷すぎる)

 

 碧は確かに感じた怒りに任せ、浮かんだ言葉をぶつけるつもりだった。しかし、幾度口にしようとしてみても、唇が震えてうまく発声できない。そのうち目の奥が熱くなって、視界が滲み出す。


 見開かれた漆黒の瞳から、悔し涙が伝った。


「イチカ!!」


 声も上げず無数の雫を零し続ける碧の肩を支え、イチカを睨みつけるラニア。カイズやジラーは困惑顔で、碧とイチカを慌ただしく見比べている。


「言っただろう。おれは地球も日本も嫌いだ。あの世界を思い出させたそいつもな」


 一瞬だけ、銀色の双眸が碧に向けられる。この世界に来て突然向けられた憎悪の眼差しと変わらぬそれは、どんな攻撃よりも碧の心を深く抉る。もはや分かり合うことも不可能なのだと、認めざるを得ないほどに。


 イチカはラニアらに背を向け、緑地の奥にある森の中へと歩いていく。


「なによあの言い方! アオイ、大丈夫?」


 憎々しげに銀色の後ろ姿を一瞥してから、碧の顔を覗き込むラニア。虚空を見つめ続ける瞳から未だ涙は溢れ出ていて、しばらく止まりそうにない。小さく息を吐いたラニアは、労りを込めて碧の背を撫でる。


「……っ……」


 背中を上下する温かな手の温度が、温もりが伝える優しさが、かえって碧の涙腺を刺激する。

 

「アオイ、あなたは何も悪くないわ。あんなこと言われて、辛かったでしょう。アイツの代わりに謝るわ。ごめんなさい」

「アオイ、オレからも謝る。ごめんな」

「ごめん、アオイ」


 三人から思いがけず謝られ、余計に目頭が熱くなった碧は勢いよく首を左右に振ることしかできなかった。


「イチカを庇うわけじゃないんだけど……きっとあなた以外の誰が来ても、イチカはああなってたわ。……ごめんなさい、こんなこと言ったらどっちの味方か分からないわよね」

 

 自嘲気味にラニアが語る。

 虐待やいじめの当事者とそうでない者は切り離してしかるべきだが、今の彼にその発想はない。住んでいた世界全てが憎悪の対象になるということは、それほど心の傷が深いことを示している。


 徐々に落ち着きを取り戻していた碧も、その答えに辿り着いた。

 しかし、だからといって冷遇に耐えられるかと言えばそうではないし、今後も共に行動するのは気が重い。


(明日起きたら、日本に戻ってないかなぁ。そうしたら、もう辛い思いしなくて済むのに……って、そんなことないか)


 不意に過った思考を否定しかけて、はたと思い留まる。


(なんで“そんなことない”の? 分かんないじゃん! 戻れてるかもしれないじゃん?!)


「あ、アオイ?」


 碧が急に顔を上げて瞳を煌めかせたため、面食らうラニアたち。


「なんでもない。それより、宿に戻ろう? 寒くなってきちゃった」


 目が覚めたら日本にいる、その可能性はゼロではない。そう考えるとすぐにでも床に就きたくなって、碧は皆に促した。


(戻れてなかったら、離れよう。誘ってくれたラニアには申し訳ないけど……)

  

「アオイ……」


 彼女が開き直ったと勘違いしたラニアは、碧の振る舞いに痛々しささえ覚えていた。誰がどう見てもただの八つ当たりと取れる言動、傷つかないはずがない。それなのに、こんなにも早く切り替えてしまえるとは、と。


「カイズもジラーも! 行こう行こう!!」

『お、おう……』


 動かないラニアを尻目に、碧はカイズとジラーに歩み寄り、二人の背中を押す。彼らも急に調子を取り戻した彼女に戸惑いながらも、後ろから伝わる力に抗うこともできず、なすがままになっていた。





 宿泊室に戻った碧たちは全員、すぐに布団に入った。しかし碧は、目が冴えてしまい一向に寝付けない。先ほどの一件ももちろん尾を引いているが、長い間夜風に当たったことも遠因のようだった。そんな彼女よりは寝付きが良いのか、他のベッドからは安らかな寝息が聞こえる。


(そのうち眠れるよね。ああ、早く帰りたいなぁ)


【残念だが……まだ……帰れない……】

「えっ?!」


 願望を否定する声がどこからか響き、碧は思わず大声を上げて飛び起きた。


「ん~? なぁに、アオイ……?」

「ごっ、ごめんっ! なんでもないよっ!」


 辺りを見回していると、隣のベッドから寝起きの声が訊ねてくる。ジラーや、よだれを垂らしたカイズもぼんやりしながら、半目で碧の方を見つめている。碧が両手を大きく左右に振ったことを確認すると、三人とも緩やかに布団に潜っていった。


 程なくして再び聞こえてきた寝息。静かに息を吐いて、碧も寝台に横たわる。


(なんなの、もう。気のせいだとしても嫌だなぁ)


【気のせいではない……お前に……私に代わって……やり遂げてほしいことが……あるのだ……】


 心の愚痴に反応するように、再度聞こえた声。

 慌てて布団をはね除け上体を起こし、視線を巡らすものの、ラニアたちは何事もなかったかのように眠っているし、彼女ら以外の人影もない。


「ゆ、幽霊……? はは、まさかね。疲れちゃったのかなー」 

【似たような……ものだ……】


 独り言を呟きながら布団を被って横になろうとして、三度反応する声に身体が強ばった。血まみれで足のない朧気な姿を想起し、嫌な汗が滑り落ちる。


【安心しろ……私の実態は……そんな姿ではない……第一……今はこうして……語りかけることしかできない……】


 微かに微笑む気配がして、声はそのように告げた。胸の内どころかイメージさえ見えているかのような内容に、碧は息を呑む。


 老若男女入り乱れて話しているかのようなその声から、性別を特定するのは困難だった。その上、雑音が混じり不規則に途切れる。他の皆は身じろぎ一つしないことから、どうやら碧にしか聞こえないらしい。


「幽霊と似たようなもの」と声は自らを称したが、それにしては普通の人間同士のように会話が成り立っている。「安心しろ」と言われたことも相まって、最初ほどの恐怖心や戸惑いを感じなくなっていた碧は、勇気を振り絞った。会話をしてみようと思い至ったのだ。

 

(誰……?)


 声を出しては、また皆を起こしてしまうかもしれない。そう考え、心の中で訊いてみる。


【今は……言えない……だがお前に……伝えておきたい……ことがある……】


(あたしに?)


 欲していた回答ではなかったが、名前を聞いたところでこの世界の人間でない自分に分かるはずがない、と気づく。それよりも、何の縁もゆかりもない人間に一体何を伝えようというのだろうか。


【お前は……魔王軍に……狙われる……】

「えっ!?」


 反射的に口に手を当て、隣に連なるベッドを振り返る。幸い、今回は誰も目を覚ましていないようだ。


 安堵しつつも、未だに深い衝撃がわだかまっていた。昨日出会った青年たちが話題にしていた『魔王軍の復讐』。その矛先が、あろうことか自らに向けられるというのだから。


【理由は言えないが……確かなことだ……それともう一つ……新たに三人……仲間に加わるだろう……】


(新たに仲間って……あたし、明日にでも抜けるつもりだったんだけど……)


【勧めない……離れれば……死ぬことになる……】


 まるで脅迫のような断定に、碧は言葉を失った。

 思考が筒抜けになっていることから、少なくともただの人間ということはなさそうだ。それは理解できたが、素性も分からない声の発言を容易く信用する気にはなれない。しかし、悪意ある者の出鱈目にしては親切すぎる。


 天井を睨み付けながら逡巡していると、心なしか残念そうに吐息を漏らす音がした。


【……今日は……ここまでだ……また機会があれば呼ぶ……さらばだ……アオイ……】


「?! なんであたしの名前……を……」


 急激に瞼が重くなり、碧はそれ以上続けることができなかった。身体が勝手に仰向けに倒れ込み、抵抗は意味を成さず双眸が閉じられる。そのまま、一瞬のうちに眠気に襲われた。

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