第二十八話 陽気な婚約者(1)
「久しぶりだな、ソーディアス」
ひとつの影が、暗闇に向かってそう呼びかける。
手元さえ確認できない漆黒の闇の中、声はただ無意味に反響しているかに思われたが。
「まさか一年も安穏と過ごす羽目になるとはな」
「そうか。たった一年か。百年ぐらい会っていない気がしていたがな」
「ああ。たかだか一年だが随分寝ていた気分だ。魔星では血を見ない日はなかったからな」
返答と共に、ひとつめとは異なる影が音もなく『姿を見せる』。
苦々しく肩を竦めるふたつめに、またもやどこからともなく訪れたみっつめの影が、戯けたように問うた。
「あら、魔族らしくないわね。もしかして人間の村に馴染んじゃったんじゃない?」
「あと少しでそうなっていたかもしれないな。礼を言うぞ、エグロイ」
最初の呼びかけに答えたふたつめが、後ろに控えていたらしいよっつめの巨大な影に向けてそう告げると、影は照れたように広い額を撫でる。
「まさか親分だとは思わなかったもんで、まともに剣を食らっちまってから気づいたんですよ。まあそれが親分を救ったんなら、オレもいい行いをしたってことですねえ?」
巨大な影が照れ笑いを浮かべた直後、それらのどれよりも強大な力を持つ影が現れた。
その力を感じ取るや片膝をつき、敬意を表する四つの影。
ふたつめが立ち上がり一歩歩み出る。
「これはこれはグレイブ殿、お久しぶりです」
強大な影が息を呑む気配。
「その声……ソーディアスか。ではこれで、『フィーア・フォース』の全員が揃ったということだな」
「ええ。これで心置きなく、本来の目的を果たせるでしょう」
感心した様子の強大な影に、最初の影が同意する。
「『結界女』と『裏切り者』の始末がつけられる……。これ以上に、至福なことはない」
ひとつめの影の野心に満ち溢れた呟きに、残りの影が皆満足そうに頷いた刹那――その場から一切の気配が消えた。
たゆたう蝋燭の火を、一陣の風が攫っていったように。
リヴェル。『巫女の森』後方にそびえ立つトゥモ山の麓に広がる、大国に属さない小さな町である。年間を通して彩りを添える色取り取りの花と、自然が織りなす絶景から『華都』の異名が付いた。風光明媚さを売りにした観光業が盛んであり、町はいつも全国から訪れる人々で賑わっている。
また、山を挟んではいるが――隣町という間柄、ウイナーとは古くから友好関係にあり、様々な交流が今日まで続いている。
「――、――……ぁ……ラニア? ねぇラニア?」
「――っ?! っご、ごめんなさいアオイ。また気付かなかった……」
「それはいいけど……ほんとに大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
そう言って笑みを零す均整の取れた顔が、どことなく後ろめたそうに見えたのは碧の気のせいだったのか。
リヴェルへ向かう道中、ラニアはどことなくそわそわしていた。かと思えば抜け殻のようにぼんやりとしていて、碧が声を掛けても上の空。ここ数日はずっとこんな調子で、口では気にしない風を装っている碧もさすがにあまり面白くない。
(婚約者さんに会えるからって、ちょっと酷くない?)
「リヴェルに行くときは、大体いつもあんな感じだからなぁ~~」
「アオイのことが嫌いでそうなってるわけじゃねーから、気にすんなよ」
「それは分かるんだけど……」
そう、嫌味や悪意がないから厄介なのだ。純粋に婚約者のことを想って恋い焦がれた結果が、心ここにあらず。どちらかといえば正常な反応とも言える。
だからといって、友人を蔑ろにして良い理由には勿論ならない。
(まあ、ラニアにとっては友達じゃないのかもしれないけどね……)
薄暗い考えが浮上して、思わず溜息を吐く碧。そんな彼女の耳を、小馬鹿にしたような笑いが掠める。
「ハッ。脆いねェ」
皮肉を吐いたのは、先日新たな同行者となったばかりの兎族の少女。頭の後ろで手を組みながら、値踏みするような視線を向けてくる。
「ロクに話し合いもしねェで勝手に疑心暗鬼になって、仕舞いにゃ影でコソコソグチグチ。人間サマの友情ッてのは大したモンだなァ。兎族のあたいらには真似できねェな」
口元こそ笑っているが、真紅の瞳は侮蔑で眇められている。人間たちを見下しているのは明らかだ。
いち早く敵意を露わにしたのはカイズであった。
「お前なぁっ! あんま調子乗ってるとタダじゃおかねーぞ!」
「あァ? 調子乗ってると、なンだって? もう一回言ってみろよクソガキ」
猛獣さながらのギラついた眼光で睨み上げる白兎。多少怯みはしたものの、カイズとて剣士。ここで退いては男が廃るというもの。加えて、言葉尻で揶揄されプライドを傷つけられたこともある。
「斬っていいよな兄貴……?」
視認できるほど背後で燃え盛る炎は怒りを代弁しているかのようだ。
短気な彼らしく既に手は柄を握っているが、一応同行者ということもあり確認を取るあたり従順とも言える。
さて、ブチ切れ寸前でありながら許可を求めるカイズに対しイチカの返答は。
「駄目だ」
「兄貴ぃぃぃぃ!!」
納得いかないとばかりにカイズの絶叫が響き渡る。白兎はそんな彼を横目に、勝ち誇った笑みを浮かべる。
カイズからの追及の眼差しを涼しい顔で見返しながら、イチカは淡々とたしなめる。
「無駄なことに労力を費やすな。それに、そいつは間違ったことは言っていない」
(え……)
聞きようによっては――あるいは元々そのつもりだったのか――碧の言動に非があると言わんばかりだ。
イチカは誰とも視線を交わすことなく、気もそぞろなラニアも追い越して一人先を歩いていく。
「くっそー……兄貴が性悪害獣の肩を持つなんて」
「聞こえてンぞクソガキ」
イチカの後ろ姿を見つめながら悔しげに唸るカイズが、さりげなく吐いた悪口。さすがは獣人と言うべきか、それなりの距離があったにも関わらず白兎は耳で捕らえていたようだ。
「アオイ、気にしない方がいいぞ」
「うん……」
間もなく始まった口論に紛れて、ジラーが労りの言葉をかける。
しかし当の碧には、ジラーが心配するほどの強い絶望感は沸き起こっていなかった。
(今日は、何か違ってた気がする)
碧を害しようとするとき、今までのイチカなら例外なく刺すような視線も伴っていた。それが今回は、一瞬の冷気も向けられることはなかった。
たまたま忘れていただけか、それとも嫌悪が和らいだのか、その答えは分からないけれど。
『ロクに話し合いもしねェで勝手に疑心暗鬼になって、仕舞いにゃ影でコソコソグチグチ。――』
『そいつは間違ったことは言っていない』
(たしかに、これじゃ駄目だよね)
この世界で初めてできた友人と、こんな形で仲違いしたくはない。
腰を据えて話し合える状況ではないが、できることはある。
(信じよう、ラニアのこと)
決意を新たにひとつ頷き、碧は再びラニアの側へと走り寄った。
それから数日かけてようやく到着したリヴェルで、碧は再三悩まされていた。
ラニアから到着早々「付いてきてくれる?」と言われ、一行とは別行動を取ることになったのだが、それ以上の説明は一切なく沈黙が続く。
途中途中に立てられた看板から推測するに、住宅街とは反対方向の自然公園に向かっているようだ。観光地としても名高いらしく、碧たち以外にも連れ立って歩く者が複数。団体旅行の参加者らしかった。
彼らと同様ただの観光で来たのならば特に異論はないが、今回は目的が違うはず。
とうとう疑問が口を突いて出る。
「ラニア、婚約者さんの家に行くんじゃないの?」
ようやく振り返ったラニアは複雑な表情で首を横に振る。
「ううん、あいつが家にいることは滅多にないの」
「滅多に?! じゃあその人、どこに行ってるの?」
気が付けば、その場にはラニアと碧だけ。
旅行者の集団は先に進んでしまい、遠くから微かに話し声が聞こえる程度だ。
「……そろそろ来るんじゃないかしら」
「え? 痛っ!!」
ラニアが意味深に呟いた直後、軽い足音と共に突如肩に受けた衝撃。
誰かにぶつかられたらしい。碧は体勢を崩し、尻餅をついてしまう。
先ほどの団体からはぐれてしまった旅行者だろうか、碧と接触した人影は方向転換したかと思うと、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「あぁ! ごめん、大丈夫だったかい?」
「あ、あたしこそ」
顔を上げた碧は暫し絶句した。なんとも不思議な輝きが眼に飛び込んできたからだ。
僅かに項が隠れる、つややかな深紫の短髪。好青年を絵に描いたような、爽やかな笑顔を浮かべる端正な顔立ち。太股までのロングティーシャツの上に同じくらいの長さのベストを着込んでおり、ジーンズのようなズボンに覆われた脚は余分な肉もなくすらりと長い。かなりの長身だ。
青年は中腰になりながらまっすぐに碧に手を差し出し、再びにっこりと微笑んだ。
「立てるかい?」
「は、はい」
差し出された手におそるおそる自分のそれを重ねながら、碧は青年の顔を盗み見た。
やはり、どこからどう見てもその目鼻立ちは整っている。他方、笑みが深すぎるのか、上瞼と下瞼に阻まれて瞳が分からない。眼とは真逆に弧を描く唇は大げさなほど吊り上がっており、胡散臭そう、あるいは得体が知れないと評されてしまいそうな顔である。
「良かった~~。君がこんなに可愛い女の子だと気づいていたら、こんな傷付けずに済んだのに……!」
ぶつかった肩には目もくれず、さりげなく碧の手の甲に口付ける青年。
最早「胡散臭そう」ではなく、限りなく胡散臭い。
(もしかしてあたし、アブナイ人に捕まった?)
察するも時既に遅し。振りほどこうとした手は思いのほかしっかりと握られており、逃げようにも逃げられない。
「あの、離してもらいたいんですけど……」
「どうだい? 暇ならお茶でも――」
聞こえていないのか、聞き流したのか、青年は碧の要望とはかけ離れた提案を寄越してくる。返事も待たず引っ張り上げられ、このままでは拉致確定だ。
一般人に技をかけるのは忍びないが、やむを得ない。
碧は青年の引く力を利用しようとして――誰かが彼を殴った。その弾みで、碧の手から青年の手が離れる。
「いった~~……」
殴られた頭を抑えながら振り向いた青年は、相手を確認するや否や驚いたような表情を浮かべ、次いで満面の笑みを浮かべた。
「ラニアじゃないか! こんな所で会うなんて、やっぱり僕たちはいつでもどこでも繋がっているんだね!」
喜色満面、諸手を挙げて歓迎する様子の青年に対し、銃を逆向きに持ち物言いたげに目を据わらせているラニア。
それでも微笑みを絶やさない姿に何かを悟ったのか、ラニアはやがて大きく溜息を吐いたかと思うと、周囲に反響するほどの声量で怒鳴った。
「あんたは前からここに住んでたでしょーがっ!!」
苛立ち半分、呆れ半分の怒声をその身に浴びてなお崩れない笑み。ラニアはまた深く深く嘆息したが、不意に碧に顔を向けるとそのまま小走りで近づいてきて。
「ごめんねアオイ、大丈夫だった? 怪我はない?」
「う、うん。大丈夫だよ」
派手にぶつかったわけではなく、肩先が擦れた程度。咄嗟に地面に付いた臀部も手のひらもそれほど痛みはない。
碧が気を遣ったと思ったのか、ラニアは眉間に皺を寄せ心底憂えているようだった。
「本当にごめんなさい。もっと他の方法があれば良かったんだけど、アイツを捕まえるにはこれくらいしかなくて」
「えーっと……?」
とりあえず二人が知り合いで、多少の暴力も許される間柄ということは把握した碧だが、それ以上のこととなると今ひとつ確信が持てない。
二人を見比べる合間、ふと数分前にラニアが零した一言が脳裏を掠める。
『そろそろ来るんじゃないかしら』
ラニアの婚約者が住んでいる街だそうだが、件の彼はほとんど家を空けているという。ではどこにいるのかと碧が訊ねたとき、返ってきたのがその言葉だった。
そして、まるで見計らったように現れた紫色の青年。
「もしかして……?」
目を瞬かせて戸惑いを露わにする碧の真意は正しく伝わったようで、ラニアは苦渋の面立ちで頷いた。
「そう。これがあたしの婚約者、レイト・グレイシルよ」
「どうも~~。ラニアの婚約者でーす」
(軽っ……)
浮ついたところのない誠実な人物像をイメージしていた碧にとっては、その軽薄さがどうしても受け入れがたい。
碧が二の句も継げないでいると、後方から話し声が近づいてきた。聞き覚えのある声に振り向いた先には、一旦別行動を取っていたイチカらの姿。暇を持て余したのだろう、彼らもまた観光名所を目指していたようだ。なお、白兎の姿はない。人目につくと面倒なのでどこかで待機しているのだろう。
碧たちに気づき、カイズやジラーが片手を上げる。
「やっぱり姉さんたちもここに来てたのか。アオイ、レイトに口説かれただろ?」
「な、なんで分かるの?」
まるでその場に居合わせていたかのようなカイズの口振りに思わずそう問い返すと、彼は少し意外そうな顔をして。
「なんでって……知らなかったのか? そいつ、リヴェルじゃ有名な女たらしなんだぜ。姉さんに聞かなかった?」
「お、女たらし!?」
反射的にその女たらしを振り返る。
世間一般には不名誉であろう呼ばれ方をされたにも関わらず、怒ることも苦言を呈することもなく、やはり好青年的な笑みを崩さないレイト。それどころか、光栄とばかりに陽気に笑いかけてきた。
「巷じゃそう呼ばれてるらしいねえ。でも僕は、いつも本気で口説いてるよ」
白い歯が光りそうな爽やかな笑顔で宣言されても、碧ははあ、と曖昧な返事を返すしかない。
「レイトは知ってる子よりも知らない子にどんどん飛びつくから、習性を利用しようとしたんだよな~~」
「ええ。物の見事に引っ掛かってくれたわ」
(動物?)
のんびりと確認するジラーと呆れ果てた様子で頷くラニア。この会話だけ聞いていたら、とても人間の、それも婚約者のことを指しているとは思えない。
そんな碧の目の前で、レイトは堂々とラニアの腰に手を回し引き寄せる。その動作がまた自然かつ手慣れていて、ラニアでさえ気付くのが数秒遅れた。
「立ち話もなんだし、僕の家に来るかい? ねえラニア」
「……そうね」
落ち着かないのか腰元にちらちらと目をやるものの、振りほどこうとする素振りは見せず、大人しくレイトの腕に収まっている。
朱に染まった顔色の内訳は恥ずかしさ八割、嬉しさ二割といったところか。ラニアの心情をうっすらと察した碧は、とりあえず心の中で「ごちそうさまです」と呟いた。
リヴェルという街は、住宅街や商店など人々が生活を営む上で欠かせない機能が集約された居住区と、それを取り囲むように広がる自然から成り立っている。
居住区の中でも端の方、自然により近いところに建つやや古びた家がレイト宅である。ただし、あばら屋というわけではない。二階建ての石造りの建物は横長の直方体。等間隔に複数の窓がはめられている様は集合住宅を彷彿とさせる。これが一個人の家、それも一人で住んでいるというのだから驚きだ。
リビングに通された一行の大半は、ソファに腰掛けて大いにくつろぐ。イチカは窓際に寄りかかり、後から合流した白兎は人間たちから少し離れたダイニングチェアに腰掛けている。レイトは彼女の存在に驚いてはいたものの、食指が動かなかったのか必要以上に関わることはなかった。
ラニアはレイトに肩を抱かれながら、これまでの経緯を説明。レイトは終始笑顔でラニアを見つめている。
真面目に聞いているのかいないのか、突拍子もない質問が飛んだのは説明が終わった矢先のことであった。
「へえ、アオイちゃんか……。イチカにいやらしい目で見られたりしてないかい?」
「?! そっ、そんなこと、あるわけないじゃないですかっ!!」
「おいそこ。まるでおれが変態みたいな言い方をするんじゃない」
頬を紅潮させて反発する碧とは対照的に、壁に寄りかかっていたイチカは冷めた口調で指摘する。殺気こそ感じられないが、二人の間に生じた温度差は碧を苦しめるには十分すぎるほどだ。
(なんでそんな事聞くの~……! イチカはむしろ、あたしを嫌ってるっていうのに)
「相変わらずだねえ~、イチカは。君だって男なんだから、色々と想像するだろう?」
「お前と一緒にするな」
沈んでいく碧の思考などつゆ知らず、そんな危うい質問でさえにこやかに投げかけるレイト。対するイチカはやはり塩対応、歯牙にもかけない。
きっぱりと言い捨てられたせいか、レイトは少しいじけたようで、一旦は離れていたラニアにじゃれるようにもたれかかる。
「ラニア~、イチカが酷い~」
「あーもうっ! あんたもいい大人なんだから、いちいちくっついてこないでよ!」
小さな子どものように甘えるレイトを、邪険にあしらうラニア。恋人同士というよりは親子を見ているような光景である。
見方を変えれば、長年連れ添った夫婦のように仲が良いと言えるのかもしれない。少なくとも碧はそのように受け止めた。
(いちいち、ってことはこれが日常なんだ。レベル高いな~~)
斜め上の関心を寄せながら、成り行きを見守る碧の視線の先。
冷たくされようがそれも愛情のうちと思っているのか、単純に立ち直りが早いのか、レイトはそっぽを向くラニアを飽くことなく見つめ続けている。
「ラニア」
「なによ」
「呼んだだけだよ」
呼んだだけと言いながら、何かを企むように彼の手は伸びていく。
「なら呼ばないで……って何しようとしてんのよっ?!」
悲鳴のような声を上げるラニア。レイトがラニアの顎を捕らえ、半ば無理矢理自分の方に向けさせたかと思うと、そのまま顔を近づけていったのだ。これには碧もカイズもジラーも、人間嫌いな白兎ですら身を乗り出してガン見した。なお、イチカはいつも通り無表情であるが、見るともなく見ている。
「何ってそりゃあ、キ」
悪びれもせず言いかけて、狭い室内に響き渡る発砲音。ラニアの銃から弾が飛び出したのだ。こうなっては、もはや見物どころではない。各々安全そうな家具の陰に避難し、ラニアの奇行が落ち着くのを待つ。
「ラニア! 恥ずかしいのは分かるけど、むやみに発砲しちゃダメーっ!!」
碧が物陰から声を張り上げなんとか止めようとする中、ある意味引き金を引いたレイトは、自らの家が蜂の巣になっているというのに屈託のない笑みを浮かべていた。




