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切ないカラスの行水

作者: フィーカス

 とある田舎道。舗装されていない道路は穴ぼこだらけで、雨が降れば一瞬にしていくつもの水溜りができるという状態だった。

 暑いに夏にそんな遊び場ができれば、いろんな動物が水浴びに来るものだ。

 カエルの親子が泳ぎに来たり、リスが来たり、大きくなるとヤマネコが来たり。

 さながら動物たちが使う小さなプールのように、水溜りは生活には欠かせないものとなっていた。

 近くに川があったとしても、適度に太陽に温められた水溜りの水は、差し詰め温水プールのような気持ちよさがあった。流れる水では体験できないものだ。

 それは森の動物だけでなく、鳥たちにも言える。

 とあるカラスの親子が、ようやく水浴びできる水溜りを見つけた。

「よし、あそこで水浴びをしよう」

 人間の手が入っている道路の水溜りは、とても静かで動物一匹見当たらない。

「まずは私から。息子よ、後からついてきなさい」

 まずは親鳥が水溜りに入り、翼や首を使って器用に体に水をかぶせる。しばらく水浴びを愉しんだ後、息子が待つ電線の上に戻ってきた。

「なかなか良い水温だったよ。夏になるまえのこの季節はこのくらいが気持ちいいな。では息子よ、あの人間が通り過ぎたら行ってきなさい」

 親鳥がくちばしで道の先の人間をさす。

 二人組の子供が、歩いて家の方に向かって行くのが見えた。

 水浴びをしていた水溜りを、まずは一人目が避けて通りすぎる。

 続いて、二人目が通り過ぎ、いよいよ息子鳥が水浴びに行こうとしたときだった。

 二人目の人間が、ハンカチを水溜りに落としてしまったのだ。

 落としてしばらくして気が付いたが、水溜りに落ちたハンカチは完全にずぶぬれになってしまった。

 落とした子はそれを拾ってあぜ道でハンカチを絞ると、「あーあ」と言いながら家に向かった。

「……かあちゃん、これじゃあ水浴びできないね」

 ハンカチを落とした水溜りを見ると、水が半分以上無くなっていた。

 一応、息子は水浴びをしようと試みるが、まったく水浴びできない。

 せっかく見つけた静かなプールを破壊され、親子は次のプールを探しに行った。

 7RTもあれば、意外と設定をいろいろと説明しやすいんです。

 短い話の場合、動物を主人公にすると、ごちゃごちゃとした容姿の説明が省けて楽なのです。

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