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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒八
72/89

七十一升目。

『ミッチー、子供の頃からお裁縫だけは得意だった』

道満と遊びまわってた頃を思い出しながら信子と道満の後ろをついて行く。

『そういえばミッチーとはよく会ってたのに、

なんで信子さんとは一回も会ったことないんだろう。

ミッチーの叔母さんなら会ってない方がおかしいくらいなんだけど』


車内での会話を思い出し信子の背中を見る。


『あ、でも、そうすると幸太と会ってないのも不思議・・・・・・』

人差し指を下唇へあてて首をかしげる。考え事をしているときの癖。


「どした?アキ」

いつの間にか並んで歩いている道満。

「ん?」

「なんか考え込んでたけど」

「んー、ちょっとね。不思議だなって」

「何が?俺は幸太兄ぃとお前が付き合ってたってのが不思議でしかたねぇけど」

「そんなに意外?」

「そりゃ意外っつーか、なんかもう、あれだよ、あれ」

「あれ?」

「あの、なんだ。なんっつたらいいのか。

だってさ、お前と幸太の兄さんだぜ」

「うん」

「同性だとか性別だとかどーでもいいんだけど、

なんだ、ほら。あれだよあれ。あの、世の・・・・・・ええっと」

「世の中せまい?」

「そうそうそう、それ!あースッキリした」

本当にすっきりしたという顔をして、口笛を吹こうとし、かすれた音を出す。

しかし本人はうまく吹けてないことも気にせず、

そして車内で驚いたアキと幸太のことももう納得していた。


『相変わらず無邪気っていうのかな。それとも単純?

ホントそういうところの整理が早いのもとりえと言えばとりえ?』

感心と疑問が混ざったようなまなざしで横顔を見る。

「で?お前の不思議ってなんだよ」

ふりむいた道満と目が合う。

「うん、それなんだけどね」

「おう」

なんで自分が信子と幸太に子供の頃会ったことがないのか。

ミッチーとは長期休暇の時、よくお互いの家へ行ったりきたりしていた。

それなら・・・・・・。


その疑問を口にしようとした時、信子の二人を呼ぶ声が聞こえた。

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