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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒七
71/89

七十升目。

「そおねえ。何しようかしら」

「決めてなかったんスか?」

「うん。ちょっとアキちゃんとお話したかっただけだし。

それももうほとんど終わっちゃったしね。アキちゃんは何かある?」

「ボクも特に・・・・・・」

「せっかく道満使ってデパート来たことだし、遠慮しなくていいのよ?

慣れてきた生活で足りないものとかそういうのでも」

「お前服とか買ったほうがいいんじゃねーの?」

「服ならまだあるし、お金、無いし・・・・・・」

「お金なら心配しなくてもいいんだけど」

「でも、その。・・・・・・アルバイト見つけて自分で買います。

これ以上お世話になっちゃいけません」

「いや、でもそれまでの服いるだろ」

「やけに服にこだわるのね、道満」

「だって叔母さん。ほら、これ」


アキのスカートの裾を思いっきり持ち上げる。

「ちょ、ミッチー!」

慌てて手でおさえる。

「あ、悪い悪い。叔母さん、ほらここ」

今度はゆっくりと持ち上げ信子へ見せる。

「あら。ほつれてるわね」

「それとここも」

「あらあら」


慌てて道満から距離をとるアキ。

「じ、自分で直そうとしてたんだもん!」

「お前が?」

「そうだよ!だから大丈夫なの!」

「いやいや無理だろー」

「なんでさ」

「だってお前裁縫めっちゃへたくそじゃねーか」

「ぅう・・・・・・」

「何だったら俺が直してもいいけどさ。

せっかくだから新しいの買ってもらえよ」

「アキちゃん。困ったことあればすぐに言ってって約束したわよね」

「信子さん、ちょっとその笑顔怖いです」

「じゃあとりあえずは服買いに行きましょうか。

私も何か買っちゃおうかな。それにしても道満よく気がついたわね」

「俺のとりえってこれくらいっスから。

進学したら服飾の学校行こうと思ってるんスよ」

「そういえば昔からお裁縫得意だったわねー」

「アキのやつは全然ダメでしたけどね。

昔こいつと裁縫勝負し・・・・・・うっ」

いつの間にか近づいてたアキから腹にパンチを受けうめく。

「お前・・・・・・」

「それ以上あのことは言っちゃダメだよ、ミッチー」

今までに見せたことのない笑顔のアキ。


『ミッチー唯一の、そしてずば抜けた特技。油断した』

笑顔のまま奥歯はかみ締めていた。

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