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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒六
61/89

六十升目。

よく乗せてもらっていた車が視界に入る。

通行の邪魔にならないところへ駐車し、降りる二人。


駆け寄ってくる。


「アキちゃぁああん!!!」

一気に走り抜けて抱きつく理穂。

「ごめんね。私が・・・・・・ごめんね」

泣きじゃくりたいのを我慢しながら少し涙をこぼす。


「さんきゅー。助かったわ」

男たちに片手をあげ挨拶してから頭を下げる滝口。

「いやいや、頭上げてください。

俺ら滝口さんたちいなかったら居場所なかったですし。

それにさっきも話してたんですけど、

人助けっていうか、そういうの好きなだけなんすよ」

「それがホントありがたいよ」

安堵の表情を浮かべ頭をかく。

理穂に抱きしめられながらバツの悪い顔をしてるアキの頭をなで、

「じゃ、移動しようか。また雨降ってきたら困るし」

栄子の顔を見る。

「そうだね。バックヤードへ行こうか。

滝口は理穂とアキちゃんお願い。あたしらはこいつらと向かうから」

「了解です」

理穂をそっとアキから離し、アキを優しく立ち上がらせる。

「アキちゃん、荷物は」

「えっと。これと、これ・・・・・・。だけです」

うつむきながらつぶやく。

「よし、それじゃあその大きいのは俺が運ぶから、

アキちゃんは理穂と先に車乗ってて」

「はい・・・・・・」

「アキちゃん、行こ」

理穂はアキの肩をそっと抱き寄せ車へ向かう。


「それじゃ俺たちも行くか」

「そうだな。とりあえず一杯やりたいしな」

「ってことは泊まりか」

「だな。仕事は明日そのまま行けりゃいいさ」

「しかし栄子さんと走るの久しぶりだな。すげえ嬉しいな」

「そうだね、あんたたちと一緒に走るのは久しぶりだね。

あたしもなんだか懐かしくて嬉しいよ」


全員バックヤードへ向かい公園を離れた。

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