六十升目。
よく乗せてもらっていた車が視界に入る。
通行の邪魔にならないところへ駐車し、降りる二人。
駆け寄ってくる。
「アキちゃぁああん!!!」
一気に走り抜けて抱きつく理穂。
「ごめんね。私が・・・・・・ごめんね」
泣きじゃくりたいのを我慢しながら少し涙をこぼす。
「さんきゅー。助かったわ」
男たちに片手をあげ挨拶してから頭を下げる滝口。
「いやいや、頭上げてください。
俺ら滝口さんたちいなかったら居場所なかったですし。
それにさっきも話してたんですけど、
人助けっていうか、そういうの好きなだけなんすよ」
「それがホントありがたいよ」
安堵の表情を浮かべ頭をかく。
理穂に抱きしめられながらバツの悪い顔をしてるアキの頭をなで、
「じゃ、移動しようか。また雨降ってきたら困るし」
栄子の顔を見る。
「そうだね。バックヤードへ行こうか。
滝口は理穂とアキちゃんお願い。あたしらはこいつらと向かうから」
「了解です」
理穂をそっとアキから離し、アキを優しく立ち上がらせる。
「アキちゃん、荷物は」
「えっと。これと、これ・・・・・・。だけです」
うつむきながらつぶやく。
「よし、それじゃあその大きいのは俺が運ぶから、
アキちゃんは理穂と先に車乗ってて」
「はい・・・・・・」
「アキちゃん、行こ」
理穂はアキの肩をそっと抱き寄せ車へ向かう。
「それじゃ俺たちも行くか」
「そうだな。とりあえず一杯やりたいしな」
「ってことは泊まりか」
「だな。仕事は明日そのまま行けりゃいいさ」
「しかし栄子さんと走るの久しぶりだな。すげえ嬉しいな」
「そうだね、あんたたちと一緒に走るのは久しぶりだね。
あたしもなんだか懐かしくて嬉しいよ」
全員バックヤードへ向かい公園を離れた。




