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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒六
60/89

五十九升目。

「滝口!滝口!」

電話をしていた理穂が叫ぶ。

「なんだ、なにかあったか?」

「アキちゃん見つかったって!栄子さんから電話!」

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら声を張り上げる。

「そうか。で、どこにいてどういう状況なんだ?無事なのか?」

「うん、うん!無事!」

「無事か。なによりだぜ」

やっと安堵の息をもらす。

「で、もっと詳しい情報は?」

「あ、ああ、今聞くね」


『無事ってわかって今度は舞い上がったか。こいつがこんなに混乱したり、

飛び上がるように喜んだりするのは久しぶりに見るな・・・・・・』

タバコに火をつけて煙を吐き出し、

『まあ俺も内心そうだったけどさ』


理穂が栄子と通話してるのを横目で見、口には出さずハンドルを握りなおす。


――――――


「あんたたち、ありがと。しかし早かったね」

ライダージャケットを着た栄子が四人の男たちへ話しかける。

「栄子さん!?」

「栄子さんも出てたんですか?」

「そりゃアキちゃんの一大事だからね」

ヘルメット片手に微笑みながらアキの隣へ腰掛ける。

「ま、あんたたちに何かあってもあたしは出来る限りはするよ」

男たちにウィンクしてから空を見上げ、

「気持ちのいい空だね」


みんなで空を見上げる。

雨はいつしか止み、青空が広がっていた。


しばらく空を見上げていたアキが、

「え、栄子さん!?なんでここに?」

「アキちゃんいまさらなに言ってるの」

笑い声が起こる。

「アキちゃんをみんなで探してただけよ」

「え?あの、それじゃあボクみんなに迷惑・・・・・・」

「ないない、迷惑なんてない。みんな好きでやってただけだよ」

男たちが大げさに手をふる。

「こういうの大好きなやつらが多いんだわ」

肩をすくめながら笑う。


「そういうことだよ、アキちゃん」

軽くアキのおでこをはじきながら栄子は微笑む。

「滝口と理穂ももうすぐここへ来るから。

とりあえず今はゆっくりしようか」


みんなでコーヒーを飲みながら東屋のベンチに腰をかけ、

さっきまでの天気が嘘みたいなさわやかな風に吹かれている。

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