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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒五
44/89

四十三升目。

そっと明子を抱き寄せる幸太。

「え?」

明子は涙で頬を濡らしたまま驚く。

「ごめんな。気持ち悪くはねーよ。

でもな、俺もどうしていいかホントわからん。

これくらいしか思いつかない」

優しく頭をなでる。

「うん!うん!ありがとぉ・・・・・・」

幸太にしがみつきしゃくりあげる。


しばらくそうしてから。


「えへ。せっかくみんなで楽しんでたのにごめんね。

もう大丈夫。ありがとう。ボクもう変なこと言わないから」

涙をぬぐい笑顔を見せる。


「明子ちゃん。無理しなくてもいいんだぜ。

言いたいことは我慢しないで言っちまえ。さっきのは正直戸惑ったけど、

なんつーか、いきなりだったから、さ。もう次からは大丈夫」

ポン、と明子の頭に手を置く滝口。


「ま、あんたら若いんだ。好きなようにやってみるんだね」

ビールを飲みながら三人を見て微笑む栄子。


「よーし。それじゃ食後の酒いくか」

そっと明子の肩を抱き寄せてテーブルへ連れて行く。


『抑えきれなかった。感情が爆発した。

でもみんな受け止めてくれた。表面だけだとしても・・・・・・。

この人たちならひょっとして・・・・・・』

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