三十三升目。
食事はベランダ。
滝口が料理、食器、酒を並べ、
メイド明子も手伝って賑やかだ。
水浴びしようとしてた幸太は風呂が空いたので風呂に入り、
さっぱりした顔で出てきた。
「幸太、準備できてるよ」
ふりかえる明子。
スカートのすそがふわりとなびく。
三人ベランダに座る。
「それじゃ、乾杯!」
「かーんぱーい」
「乾杯」
滝口が音頭をとって、明子、幸太が続く。
「あー、酒うめぇ。幸太の料理もうめえ」
「うん。美味しいー」
「そりゃどうも」
メイド明子がご主人様などとやってみたり、
滝口が俺もやってみたいと言い出し明子にメイクをしてもらったり。
楽しい時間はすぐに過ぎていった。
宴会は大盛り上がりで終わり、
空になった食器を下げて一段落。
壁にもたれながら夏の夜の風を心地よく感じ、
ゆっくりワインを飲んで一人くつろいでいる幸太。
まだわいわいと飲んでいる明子と滝口の声が聞こえる。
騒がしいやつらだ、と思いながら安心を感じていた。
ワイングラスを持ち上げ飲もうとしたとき
「あれやろうぜ、あれ」
メイク顔の滝口が急にしなだれかかってきた。
「なんだよ、いきなり」
「ほら、昔みんなでやってたあれだよ。
しめにちょうど良くね?」
「ああ?ああ、白菜湯豆腐か」
「みんなで飲んだときはあれつつきながらまた飲みなおしてただろ」
「みんなで、か・・・・・・」
「昔とは顔ぶれが少し違うけどいいじゃねーか」
しばらく黙っていた幸太。
すっと立ち上がり。
「場所あけとけよ」
いいながらキッチンへ向かう。
「おっけー!」
大きく笑いながら滝口がその背中へかえした。




