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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒四
33/89

三十二升目。

「アキ・・・・・・、お前・・・・・・」

「幸太ー。アキじゃないよ、明子だよ」


「風呂出たと思ったら明子か・・・・・・」

頭をかきながらもアキと明子の入れ替わりにもう慣れている幸太。


「幸太の話でしか聞いてなかったけど、

これがアキちゃ、じゃない、明子ちゃん?」

「うん。滝口さん、改めてよろしくお願いしますっ」


ぺこりと頭を下げる。


「あぁああ!さっきもそのまま可愛かったけど、

これはこれで別で可愛い。幸太、お前幸せものだな!」

「なんでそうなる・・・・・・。

明子も嬉しそうにもじもじするな。

というか、お前。髪型かなり違うくないか?」

「うん?あ、そか。ほらほら、今日はウィッグかぶってるの」


「ウィッグ?」

幸太と滝口は顔を見合わせる。

「んっと、簡単に言うとかつらかな」

「かつらでずいぶんと変わるんだねー」

嘆息する滝口

「つか、お前その服どうしたんだよ」

「これは明子の服だよー」

「あの大荷物、それか」

「うん。うち出るとき女の子の服持てるだけもってきたの。

だから部屋で着る服とかほとんどなくって」

「それでこの間の買出しか」

「うん!」


嬉しそうにくるりとターンをする明子。


くっ・・・・・・という呻き声が聞こえ、

肩に痛みを感じて振り返る幸太。


滝口がうつむきながら幸太の肩を力強くつかんでいる。


「どうしたんだよ、滝口。おい?」

「やっぱり、一緒に風呂入っておけばよかったぜ」

「・・・・・・明日から一緒に入れ」

「明日は俺いねえじゃん!」

「知るかよ」

「冷てぇえ!幸太冷たい!お前は毎日一緒にいるから・・・・・・」

「お前なあ」


「ねね。二人とも」


「なんだよ?」

「なに?アキ・・・・・・じゃない、明子ちゃん」


「ボクおなか減ったの」


にっこり笑う明子。

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