表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
合成清酒  作者: 初菜
合成清酒三
30/89

二十九升目。

幸太とアキと滝口。三人、海の上。


夏の暑い日差しの中、帽子やタオルなど、

日よけ対策ばっちりで、三人は釣りをしている。


滝口は魚屋を継ぐ時、

一つだけ条件を出した。


とりあえず中古でボロでもいいから船が欲しい。


元から釣りなど海が大好きだったやつで、

親もこれには折れて、知人から安く船を譲り受けてくれた。

船舶免許は滝口がいつの間にか取得していたらしい。


その船で幸太とアキが釣り糸をたれている。


今日休みの滝口は昨夜、

バックヤードでみんなと飲んで騒いだ。

その時滝口が明日は海で遊ぼうと言い、

アキは嬉しそうに両手をあげていた。


海で遊ぶのが砂浜で遊ぶことだと思い込んでいたアキは、

翌朝、船へ案内されて目を丸くした。


挿絵(By みてみん)


しかし船で海へ出て釣りをすると聞かされると、

昨夜以上に嬉しそうにとびまわった。


初めて釣りをするアキ。

真剣と好奇心いっぱいが混ざった目で集中しながら、滝口から色々教わっている。

滝口はアキの横でずっとアシストだ。


幸太はぼけっと海面を見ながら、

昨夜の。昨夜、倉庫から出た時の事を繰り返し思い出していた。


――確かに岸田がいた。


昨夜、倉庫で岸田を見た幸太。

しばらく動けなかった。そこへ、

「どうしたの?幸太」

振り返ったまま立ち止まっている幸太へアキが声をかけた。

「あ、ああ。ちょっと、な」

そう言ってアキたちの方へ小走りに向かった。

途中、倉庫の方へもう一度振り返ったが、岸田の姿はもうなかった。


『岸田、お前は・・・・・・』


「え?え?ええ!!?」

隣から大きな声。


その声で我に返った幸太はアキの方を見る。

「うわぁあー!」

アキに魚がかかった。

滝口が手取り足取り助けている。


「振り返らないで楽しんでこい、か。

まったくお前が言いそうなことだ・・・・・・」


幸太は二人を見ながらつぶやく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ