三升目。
ぐいっと顔を近づける明子。
さっき飲んだビールで顔がほんのり赤くなっている。
「だ、だからその説明がだな・・・・・・」
幸太は距離をとろうと後ろに下がる。
むーっと少し不満げにほっぺたをふくらませる明子
「なんとなくでもわかってきたってさっき言ったじゃん。
もっかいお水かけてあげよっか?」
慌てた幸太は吸っていたタバコでむせた。
むせながら幸太は
「いや、い、いい。もう、水はいい。
シャワー浴びてくるから。それからまた話を」
言いながら立ち上がりバスタオルを取りに行く。
幸太
「・・・・・・」
明子
「どしたの?」
「いや、俺、今からシャワー浴びるんだけどさ」
「うん。だからどしたの?」
「いや、俺、今から・・・・・・」
「二回も言わなくてもー」
「だから、シャワー浴びて着替えるから」
「うん、着替えるから?」
「だからっ!もう!!お前はあっちの部屋へいってろよ!」
つい声を上げる幸太。
明子は人差し指を唇にあててしばらく考えてから
「あ、照れてるんだ。えへへ。でも、ボク女装だから性別は一緒なんだけど」
『そういわれても女にしか見えないっての・・・・・・。
しかもかなり可愛い』
そう心で呟きながら幸太は顔をそむける。
その様子を楽しむように。いや、楽しんで見ていた明子は、
「はいはい。ボクも荷物とか整理するから。隣のお部屋いってるね」
満足げに言って、隣の部屋へ行く。
そこにはでっかいキャリーバックが置いてあった。
「じゃ、大丈夫になったら呼んでね」
扉を閉めながら隙間からぴょこんと顔を出して一言。
「大丈夫ってなんだよ、大丈夫って!」
幸太のその声はバタン!と閉じた扉にはねかえされた。