二升目。
突然な出会い。
幸太の目の前にいる女装の男の子、明子。
『いやいや、自己紹介を聞くと・・・・・・女装だから明子で、
女装してない時はアキで、だから今は女の子・・・・・・じゃなくて、
女の子は女装しないからやっぱり男の子で・・・・・・』
目玉と脳みそをぐるぐる回していた幸太はすくっと立ち上がり、
渡されたコップを置いて冷蔵庫へ。缶ビールを出して飲もうとした。
が、そこへ明子が素早く回り込みビールを取り上げる。
「もー。昨日たっくさん飲んだでしょ」
明子はほっぺたをふくらまして言った。
「昨日は昨日だっ。今日は今日だ!
もうなにがなんだかよくわからないからとりあえずビール!!」
混乱した幸太が声を上げる。
取り上げたビールを持ちながら明子はふぅ。と、ため息。
そしてビールのふたを開け、350ml缶を一気に飲み干した。
家出の子を連れてきた。
女の子だと思ってたら男の子で。
しかし目の前にいるのは女の子で。
でも男の子で。
それで俺からビール奪って一気飲み。
『なに、これ?』
かくん、と膝をついて、もう、なにがなにやらの幸太に
「しょうがないなあ」
ボソっとつぶやいた明子は、幸太が置いたコップを取ってきて、
冷たい水を幸太の頭にばしゃっとひっかけた。
「なんとなく、わかってきた」
タオルを頭にかぶせたままの幸太。
「やっと目が覚めてきた?」
嬉しそうな明子。
頭に水をかけられてしばらく。幸太はとりあえず落ち着きだした。
「目が覚めたとかじゃねーし、嬉しそうに言うな」
タバコに手をのばしながら幸太がぼやく。
「違うのー?」
幸太の目を下からのぞきこむ明子。
「違う。ああ、違う。
とりあえず状況をだな。整理しよう」
幸太はふいっと視線をそらしてタバコに火をつける。
「整理もなにも、幸太が起きた時にボクが話したそのままだよ」
無邪気な表情で明子が幸太に顔を近づける。