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合成清酒  作者: 初菜
合成清酒二
19/89

十八升目。

「幸太、私にもそれよろしく」

理穂が幸太のカップを指で軽くつつく。

つついた指はつつかれたカップよりも白く繊細できれいだった。


『きれいな人』

思わず見つめてしまうアキ。

その視線に気がつき、理穂が聞く。

「ん?アキちゃんも飲めるほう?」

「え、えと、あの、カップ、きれいだなって思って。

それと理穂さんがカップよりきれいな人だなって」

理穂は?という顔をして少し間をおいたあと

「ありがと」

薄い色をした唇を微笑ませてアキの頭をなでる。

「幸太ー。アキちゃんの分もね」

「ああ、今二人分淹れてる」


「嬉しいな。私、マイセンより綺麗なのかあ」

椅子に背中をあずけ後ろにもたれながら理穂はのびをする。

「まいせん・・・・・・ですか?」

「うん、マイセン。このカップを作ったところの名前」

「アキ。マイセンに失礼だ」

幸太がテーブルにカップを置きながら言う。

置きおわったところで悲鳴があがった。

「痛っ。お前はなんですぐに蹴るんだよ」

「幸太が悪い」

理穂とアキ、二人の声が重なり、

そして顔を見合わせて笑いあう。


「ったく。カップ、落として割ったらどうするつもりだったんだよ」

「だから置きおわってから蹴ったじゃない」

「そんなに高いんですか?このカップ」

「そうね。高いって言えば高いんだけど、

値段じゃないのよね、これは。そーゆうんじゃなくて、ね」

「そおいうんじゃなくて?」

「これはね昔の職人さんが・・・・・・」


語り合う二人をしばらく待ってから幸太は、

「おい、理穂。俺は注文の品見て来るぞ。いつものとこにあるんだろ?」

椅子をずらして立ち上がる。


「おっけー。いつものとこよ。私はアキちゃんとお話してるから」

「幸太どこ行くの?」

「買い物。店に来る前に言っただろ。アキ、お前は理穂と話してろ」

「え、ボクも行く」

「じゃー私も」


「ついてくるならどっちか一人にしてくれないか」


「なんでよ?」

「どーして?」


「二人そろうと面倒く」


理穂の蹴りがはいる。

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