十一升目。
飲酒運転描写があります。まあ架空のお話ですから。
いいのかなあ?といった顔で栄子へついて行くアキ。
「ハーレーダビッドソンFXSだよ」
「はーれーだびっど?」
「アキちゃんは知らないかな。知らなければ知らないでいいんだ。
でも知らなくても気に入ったんだよね?」
「はい!すごくいいなーって。あ、あっちのも気になってましたけど」
指差す先には陸王が置いてある。
栄子は嬉しそうに
「アキちゃんはバイクを見る目があるねえ」
言いながらヘルメットを取りに行った。
「あっちのバイクはまだ動かせないんだけど、
この子は今すぐ動かせるんだ。乗ってみる?」
ヘルメットを差し出す。
「え、いいんですか!?」
さっとハーレーにまたがった栄子が笑顔で応える。
アキはいいのかな?と少し不安げで、
でも乗ってみたいという表情で幸太を見た。
乗って来いと、無言で手を振る幸太。
「じゃ、じゃあ。乗りますー!」
ヘルメットをかぶりかけて
「あ、でもボクたちお酒飲んで・・・」
「気にしなくていいよ。ここから出るところはあたしの道だからね」
「え?」
「あたしの土地って事」
「え?ええええ!?」
「驚いてばかりいないでさっさと行って来い」
いつの間に近くに来ていた幸太がアキの頭へヘルメットをかぶせる。
アキの頭をヘルメットの上からポンポンと叩きながら
「それに栄子さんはあれぐらいの酒じゃ飲酒にならねーよ。
適量わきまえてりゃ飲んでも大丈夫」
「さ、アキちゃん行くよ。お酒と音楽とバイク。
文句なしにご機嫌なロックンロールさ!」
ガレージにバイクのエンジンの音が響き渡る。
幸太は色々スイッチのある板のところで一つボタンを押した。
ガレージの大きなドアが左右に開いてゆく。
エンジンが唸り二人は残響を後に外へ。
「えーっと。ジンとライムと炭酸は・・・・・・。
ああ、それから音楽変えるか。ニルヴァーナ入ってたよな、これ」
二人を見送った後、独り呟きながらジンライムソーダを作り、
ジュークボックスの音楽を変え、開けたドアから見上げる青空。
凄く凄く青い空を見上げながら
「嫌になるくらい青空だな」
ぽつりとまた独り呟いた。