↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/53

第53話:穏やかな朝と、次なる旅路への温かな準備(エピローグ後編:アイゼンヴァルト家編)

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アイゼンファルスの激闘を乗り越え、仲間たちと共に束の間の平穏な日常と新たな旅の準備を楽しむ心優しき召喚師。

ファル(飛龍)

銀色の巨大な翼を持つ飛龍へと進化しつつも、普段は甘えん坊で仲間たちとじゃれ合うのが大好きなレインの相棒。

フェリル

第弐位階(成長期)へと進化したウルフ。穏やかな陽気の中で昼寝をしたり街の散策を楽しむ。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのマスコット。色鮮やかな光のイリュージョンで、街の子供たちを喜ばせる。

シルビア・ローゼンベルク

エリート召喚師。落ち着いた雰囲気の中で、次の旅に向けた地理や魔導の資料を優雅に整理する。

ルナ

第弐位階(成長期)へと神々しく進化した白銀の狐。月光の聖力を和らげ、心地よい風をまとって仲間たちと過ごす。

ギル

第弐位階(成長期)へと進化したグリフォン。上空の風を気持ちよさそうに感じながら、自由な飛行を満喫する。

エルミナ

心優しきエルフ族の聖職者。地元の新鮮な食材を使って、みんなのために美味しい朝食を振る舞う。

レム

小型ゴーレム。解放された街の工房で、ディーンと一緒に新しいおもちゃや道具作りのお手伝いにはげむ。

ディーン&ガレット

自由を取り戻したアイゼンファルスの街を支える頼もしい仲間たち。レイン一行の旅立ちを温かく見守る。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第53話をお届けします!

前回、アイゼンヴァルト家の鉄の掟と絶対防御を打ち砕き、要塞都市に心からの笑顔と自由を取り戻したレイン一行。激しい戦いのあとだからこそ、今回は緊迫した空気から少し離れ、仲間たちとの温かな日常や、次なる旅立ちに向けた準備を描く癒やしの日常回(エピローグ・後編)です。たっぷりのボリュームで綴る心温まるひとときを、ぜひじっくりとお楽しみください!

アイゼンファルスの要塞都市に、穏やかで澄み切った朝が訪れていた。

かつては冷徹な鉄の掟と重苦しい管理体制に縛られ、人々の足音すらもどこか機械的で殺伐としていた街路は、今や綺麗に掃き清められ、朝市に並ぶ焼きたてパンの香ばしい匂いや、子供たちの無邪気な笑い声に満ちあふれていた。

街の中心にある広場のオープンカフェ風のテラス席で、レインは深い木製のテーブルに肘をつきながら、目の前に広がる平和な光景をゆっくりと眺めていた。

マグカップから立ち上るハーブティーの湯気が、朝の爽やかな風にふわりと溶けていく。

「ふう……こうして静かに朝の空気を吸っているだけでも、なんだか夢みたいだな」

レインが呟くと、足元で丸くなって心地よさそうにまどろんでいたウルフのフェリルが、ふさふさとした尻尾をパタパタと揺らしながらゆっくりと起き上がった。

「ワンッ、本当にそうだよ。昨日の今日まであんなに激しい戦いをしていたのが嘘みたいだ。街の人たちの足取りが、みんな軽やかで生き生きしている」

フェリルの言葉通り、通りを行き交う人々は皆、顔を上げ、すれ違いざまに笑顔で挨拶を交わしている。

その様子を眺めながら、エルフの聖職者エルミナが、大きなバスケットいっぱいに焼き立てのパンや色鮮やかなフルーツを抱えてテーブルへとやってきた。

「みなさん、お待たせしました! 今朝はディーンさんたちが特別に仕入れてくれた地元の新鮮な小麦粉を使って、みんなで一緒に朝食の準備をしたんです。さあ、冷めないうちに召し上がってくださいね」

エルミナがテーブルの上に次々と温かな料理を並べると、それまで上空で気持ちよさように旋回していたグリフォンのギルや白銀の狐のルナも、美味しい匂いに誘われるようにひらりと地上へ舞い降りてきた。

「わあ、いい匂い! エルミナさん、ありがとう! ボク、お腹ペコペコだったんだ!」

第弐位階(成長期)へと進化したギルが、翼をパタパタさせながら嬉しそうに椅子に腰掛ける。

ルナも上品に尻尾を整えると、「ふふ、エルミナの淹れてくれるハーブティーは格別だからね。いただきます」と、穏やかな微笑みを浮かべた。

その賑やかなやり取りの端で、エリート召喚師のシルビアは、手元に広げた古い羊皮紙の地図と魔導書のページをめくりながら、冷静かつ楽しげに声を弾ませた。

「感傷に浸るのもいいけれど、私たちには次の目的地を見据える仕事もあるわよ。アイゼンファルスの改革がこれだけ順調に進んだのは素晴らしいけれど、王国全体の五大家系が抱えている闇は、まだここだけじゃないのだからね」

シルビアが指し示した地図の先には、さらに広大な大陸のシルエットや、まだ見ぬ街の名前がいくつも記されていた。

その様子を見ていたゴーストのマスコット・ポルカが、ふんわりと宙に浮きながら色鮮やかな光の輪をくるくると回してみせた。

「ねえねえ、シルビアそんなに急がないでよ! せっかくの平和な朝なんだから、美味しい朝食をしっかり食べて、街のみんなともっとおしゃべりしようよ。ね、ファルもそう思うでしょ?」

ポルカの言葉に同意するように、少し離れた空の上で優雅に羽ばたいていた飛龍ファルが、ふわりと地上へと降り立った。

体長は数メートルを超える圧倒的な飛龍の姿でありながら、ファルはその大きな銀色の頭をレインの肩にちょこんと甘えるように擦り寄せた。

『レイン、おはよう! ボク、今朝は街の上空をひとっ飛びしてきたんだ。みんなすごく元気で、ボクに手を振ってくれたよ。それに、ディーンさんたちが作ってくれた特大の焼き魚、あとでもらえるって約束したんだ!』

ファルの無邪気で嬉しそうな声に、テーブルのまわりにいた全員が一斉にクスッと笑い声をあげた。

「良かったね、ファル。すっかり街の人気者になったんだね」

レインが優しくファルの立派な鱗をなでると、ファルは心地よさそうに目を細めて喉を鳴らした。

朝食を和やかに終えたあと、レインは小さな鉱石ゴーレムのレムと一緒に、街の裏手にある大規模な工房へと足を運んだ。

そこでは、反逆の鍛冶師であるディーンと、レジスタンスのリーダーであるガレットが、若い職人たちやゴーレムたちと一緒になって、新しい農機具や生活用の魔導ツールの試作品を作っている真っ最中だった。

「おお、レイン殿! ちょうどいいところに来てくれた。見てくれこれらを!」

大きな鍛冶ハンマーを片手に持ったディーンが、満面の笑みで声をかけてきた。

彼の足元には、かつての殺戮用の武器ではなく、硬い岩盤を安全に掘り起こすための魔導ドリルや、街灯のエネルギーを効率よく蓄える蓄電池のパーツがきれいに並べられている。

「すごいですね、ディーンさん。どれも実用的で、街の暮らしが一気に便利になりそうです」

レインが感心したように見入ると、レムがトコトコと歩み寄り、小さな金属の指先でピッと新しいパーツを指し示した。

「キュピ、キュピピ! ……この部分の魔導回路、レムが少し調整したらもっと効率が良くなるキュピ!」

レムの言葉を聞いたディーンは、目を見開いて膝をつき、嬉しそうに大きくうなずいた。

「おっ、さすがレム殿! お前のその鋭い回路の解析力にはいつも驚かされるよ。よし、一緒に組んでこの改良版を仕上げてみようじゃないか!」

ガレットも腕を組みながら、頼もしい笑みを浮かべてレインの肩を軽く叩いた。

「お前たちがこの街を救ってくれたおかげで、俺たちはようやく『生きるための仕事』ができるようになった。本当に感謝してもしきれないぜ、レイン。……だが、お前たちはこれからも、この世界の歪みを正すために旅を続けるんだろ?」

ガレットの問いかけに、レインは少しだけ視線を遠くの空へと向け、それからしっかりと力強くうなずいた。

「はい。アイゼンファルスはこうして平和を取り戻せましたが、世界にはまだ、理不尽な力や歪んだ仕組みに苦しんでいる人たちがたくさんいます。僕たちの『世界改革』の旅は、まだ始まったばかりですから」

そのレインの言葉に、工房に集まっていた職人たちやゴーレムたち、そして同行していた仲間たちも皆、それぞれの心に熱い決意を宿したように表情を引き締めた。

午後は、街の広場や子供たちの遊び場で、のんびりと穏やかな時間が流れた。

ポルカが作り出す七色の幻影の花火に子供たちが歓声をあげて追いかけ回し、フェリルやルナはその様子を優しく見守りながら、のんびりと日向ぼっこを楽しんでいる。ギルとファルは空の上で風と戯れ、時折キラキラと光る魔法の軌跡を描いて街の人々を笑顔にさせていた。

激しい戦いの連続だった日々から少しだけ離れ、仲間たちとの絆を改めて深め、心身の疲れを心地よい日常の中で癒やしていく。こうした何気ない一瞬一瞬こそが、レインたちにとって何よりも大切で、かけがえのない宝物だった。

そして、夕暮れ時。

夕陽に染まったアイゼンファルスの街並みを見下ろす高台に、レインと仲間たちが静かに集まっていた。

空は美しく橙色から深い茜色へと移り変わり、街のあちこちで温かな灯りがポツリポツリとともり始めている。

「さて、みなさん」

シルビアが手元の地図を閉じ、皆を見回しながら凛とした声を響かせた。

「束の間の休息はここまでよ。明日からは、次なる目的地……王国の暗部に巣食う新たな闇へと向けて、本格的に動き出すことになるわ」

その言葉に、レインはしっかりと頷き、胸ポケットにそっと収められている「増幅の聖炉」の確かな温もりを感じ取りながら、未来を見据えて微笑んだ。

「ああ、行こう。どんな困難や罠が待ち受けていようとも、僕たちなら絶対に乗り越えていける――最高の仲間と一緒だからね」

夕闇のなか、それぞれの胸に新たな決意と温かな絆を秘めながら、レイン一行は静かに、そして力強く、次なる大冒険の舞台へと歩み出していくのだった!

後書き

第53話「穏やかな朝と、次なる旅路への温かな準備」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

激しいアイゼンファルス編の戦いを終えたあと、街の人々や仲間たちと過ごす束の間の穏やかな日常、そして次なる旅立ちに向けた温かな準備を描かせていただきました。シリアスと日常のギャップや、キャラクターたちのほっこりするやり取りを楽しんでいただければ幸いです!

次回の第54話からは、いよいよ新章が幕を開けます!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、新章が幕を開ける第54話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。