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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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26/53

第26話:水の神殿の守護者と、光の浄化

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、召喚師の少女シルビア、白銀の狐ルナ、グリフォンのギルと共に旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。神殿の奥から響く微かな悲鳴を聞きつけ、仲間たちと共に迷わず救出へと飛び出す。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。万能スキル『リンク・ミラージュ・ファング』を駆使し、神殿内に渦巻く淀みを素早く察知してパーティを導く。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。攻守一体の『エーテル・プリズム』で神殿の冷気や水圧から仲間をしっかりと守り抜く。

シルビア・ローゼンベルク

実家の呪縛を断ち切ったエリート召喚師の少女。高い魔導知識で神殿の構造を分析し、レインのサポートを完璧にこなす。

ルナ

シルビアの相棒である気高く美しい白銀の狐。神殿の奥で苦しむ守護者の正体をいち早く見抜き、優しく導こうとする。

ギル

誇り高い魔獣「グリフォン」の幼体。神殿の天井付近の構造を空中から偵察し、パーティの死角を完璧にカバーする。

ミューラ

【新キャラクター】瑠璃の湖と古代神殿を守護してきた気高き水の精霊(あるいは人魚型の守護者)。長年の魔力の淀みによって暴走させられていたが、レインたちの優しさに触れて救われる。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第26話をお届けします!

前回、古文書の謎を解き明かして「古代の水の神殿」の入り口へとたどり着いたレインたち。第26話では、神殿の最奥で待ち受ける「苦しむ水の守護者」との遭遇、そして彼女を救うための総力戦と感動の浄化劇を描きます。ぜひじっくりとお楽しみください!

人工の巨大な石造りの柱と、青く神秘的な光を放つクリスタルが立ち並ぶ「古代の水の神殿」の内部は、数百年もの間外部から完全に遮断されていたとは思えないほど、神聖で、そしてどこか切なさに満ちた透明な空気に包まれていた。

足元を流れる浅い水面は、まるで磨き上げられた鏡のようにレインたちの姿をくっきりと映し出し、歩みを進めるごとに微かな波紋が青く美しい光の輪となって広がっていく。

「すごい……。何百年も前に沈んだ神殿だなんて信じられないわ。まるで、今でもこの場所だけ時間が止まっているみたい……」

シルビアは魔導書を胸に抱きながら、息を呑むような美しい神殿の回廊を見回して呟いた。エメラルドグリーンの瞳が、クリスタルの青い光を受けて幻想的に輝いている。

白銀の狐・ルナも、その優雅な歩みを止め、ピンと立てた耳を澄ませながら言った。

『ええ。神殿全体に張り巡らされている術式は今も生きているわ。……ただ、その中心部から、先ほどよりもはっきりと、誰かが苦しんでいるような切ない波動が伝わってきてる』

ルナの言葉通り、神殿の奥へ進むにつれて、空気の重さと微かなうねりが強くなっていた。

頭上の高い天井付近を旋回していたグリフォンの幼体・ギルが、慌てた様子でパタパタと舞い降りてきて声を上げた。

「みんな、大変だ! この回廊を抜けた先にある大きな広場に、なんかすごく大きな水色の光の塊みたいなものがあって……それがものすごい勢いで暴れてるんだ!」

「暴れている……? 分かった、みんな、戦闘の準備をして慎重に進もう!」

レインが穏やかながらも引き締まった声で指示を出すと、ファルは『レイン、僕が先頭の様子を見てくるよ!』と小さな翼を羽ばたかせ、フェリルは「ワンッ!」と低く頼もしく声を漏らしてレインのすぐ脇に並んだ。ポルカも『みんな、僕が光の鏡で守ってあげるからね!』と小さな体をフワフワと輝かせた。

全員が戦闘態勢を整え、巨大な石造りのアーチをくぐり抜けて、神殿の中心に位置する広大な「水の祭壇の間」へと足を踏み入れた瞬間――。

――ズガアァァンッ!!

凄まじい水圧と冷気の爆発が広場全体を駆け抜け、空間そのものが激しく揺れ動いた。

その広場の中心で、青く透き通る美しい髪と長い尾ひれを持ち、人間よりもはるかに神聖で大きな体躯を持つ水の精霊族の守護者――ミューラが、全身を禍々しい黒い魔力の淀みに縛り付けられながら、苦悶の表情を浮かべて暴れていた。

「グルルル……アァァ……! 誰だ……私を……この神殿を汚す者は……ッ!」

ミューラの瞳は狂気に満ちた赤黒い光に染まっており、彼女の意思とは無関係に、周囲の水分が巨大な水竜の形を模して次々と牙を剥き、無差別に周囲へ襲いかかっていた。長い年月の間に湖の深層から流れ込んだ淀みが、彼女の心を完全に侵食してしまっていたのだ。

「あれは……この神殿の守護者だわ! 長い年月の間に溜まった魔力の淀みが、彼女の心を完全に飲み込んでいる……!」

シルビアが青ざめた顔で声を上げた。

「彼女は敵じゃない、長い間たった一人でこの神殿と湖を守り続けて、苦しんでいたんだ……! 僕たちが、その苦しみから救い出してあげよう!」

レインの瞳に強い決意の光が灯った。

「グルァァァーーッ!!」

暴走したミューラが放つ巨大な水の鞭が、猛烈な勢いでレインたちの頭上から叩きつけられた。

「危ないっ!」

瞬間、ポルカが素早く前に飛び出し、その小さな両手を力いっぱい突き出した。

――シュウッ!

ポルカの得意技である**『エーテル・プリズム(霊光の反射鏡)』**が展開され、多面体の光の鏡が水の鞭の直撃を完璧に受け止め、その強烈な衝撃と水圧のエネルギーを綺麗に相殺して跳ね返した。

「やった、防いだぞ! みんな、今だ!」

ポルカの完璧な防御の隙をついて、ファルが流星のように宙を舞った。

『お姉ちゃん、目を覚ましてよ! 僕たちの攻撃で、その嫌な黒いモヤを吹き飛ばすんだからね!』

ファルは小さな口元に全魔力を集中させ、鮮やかな青い炎の弾丸――**『フレア・スパーク』**を、ミューラを縛る黒い淀みの中心へと正確に撃ち込んだ。

ドォンッ!!と可愛らしい爆発音が響き、黒い淀みの一部分に大きな亀裂が入る。

しかし、守護者としてのミューラの力は圧倒的で、すぐに周囲の水流が収束して新たな防御壁を作り出そうとした。

「その動きは読ませないわ……!」

ルナが優雅に跳躍し、純白の聖なる月の光を纏った波動を放つと、ミューラの動きが一瞬ピタリと止まった。

その絶好の隙を逃さず、フェリルが神速の動きで水面を駆け抜けた。

「ワンッ!!」

フェリルが放ったのは、敵の硬い水流や特殊な魔力に合わせて性質が変化する万能スキル**『リンク・ミラージュ・ファング(共鳴幻影牙)』**だった。

フェリルの牙は一瞬で純化の光へと変化し、ミューラを苦しめていた黒い淀みの根元を、傷つけることなく正確に、そして鮮やかに噛み砕いて引き剥がしていった。

「すごい……! フェリルの牙が、淀みだけをピンポイントで削ぎ落としているわ!」

シルビアが驚嘆の声を上げる中、レインはゆっくりと両手を大きく広げ、地面にいつもの美しく透き通るような青い魔方陣を限界まで大きく展開した。

「さあ、すべての苦しみを洗い流そう。僕たちの絆の光で――!」

レインの足元から放たれた青い魔方陣の優しい光の波は、ファルの炎、フェリルの牙、ポルカの光の鏡、ルナの聖なる波動、そしてシルビアの魔導支援をすべて完璧にひとつに束ね上げ、神殿の広場全体を包み込むほど巨大な「究極の浄化の聖域」へと昇華した。

――ドオォォンッ!!

世界が青く澄み渡るような清らかな光に満たされ、ミューラを長年苦しめていた黒い魔力の淀みは、音もなくきれいに、そして完全に消え去っていった。

光がスッと収まった静寂の中。

広場の中心に立っていたミューラは、その美しい瞳から赤黒い光がすっかり消え去り、本来の透き通るようなサファイアブルーの優しい輝きを取り戻していた。

彼女はふわりと宙に浮き上がり、信じられないものを見るような穏やかな瞳で、自分の体を見つめ、そして目の前にいるレインたちにゆっくりと視線を向けた。

「……私は……私はいったい……?」

戸惑うミューラに、レインはそっと近づき、柔らかく優しい笑みを浮かべて手を差し伸べた。

「もう大丈夫だよ。長い間、たった一人でずっと苦しかったね。もう何も心配いらないよ」

その温かい笑顔と、どこまでも包み込むような青い魔方陣の余韻に触れた瞬間、ミューラの表情に嘘偽りのない安堵の色が広がった。彼女は小さく息を呑むと、ふっとこれ以上ないほど美しく、神聖な微笑みを浮かべた。

「……ありがとう、優しい召喚師よ。そして、あなたの素晴らしい仲間たち……。私はミューラ。この神殿と瑠璃の湖を守る者……長年、あの淀みに心を縛られていた私を、あなたたちは本当の絆の光で救い出してくれた……」

ミューラがそっと両手を胸の前で合わせると、神殿の奥深くで眠っていた古代のクリスタリアの核となる巨大な水晶が、かつてないほど眩く、そして清らかな青い光を放ち始めた。その光は神殿の天井を突き抜け、地上の瑠璃の湖全体をくまなく浄化し、クリスタリアの街全体を温かな祝福の光で包み込んだ。

「やったね、レイン! 神殿がすっごく綺麗になったよ!」

ファルが嬉しそうにパタパタと飛び回り、ポルカも『大成功だねー!』と両手を叩いて喜んだ。

フェリルも尻尾を元気に振り、ギルも上空から『やったぞー! みんな最高だ!』と大きな声を響かせた。

シルビアとルナも、この素晴らしい奇跡の瞬間を並んで見つめながら、誇らしげで満足そうな微笑みを交わしていた。

こうして、古代の水の神殿に眠るすべての謎と脅威は完璧に解決され、水の都クリスタリアには、永遠の平穏とさらなる輝かしい未来が約束されたのだった。

最強の絆で結ばれたレインたちの旅は、次なる新しいステージへ向けて、ますます大きく羽ばたいていく。

後書き

第26話「水の神殿の守護者と、光の浄化」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

古代の水の神殿の最奥で待ち受ける苦しむ水の守護者・ミューラとの出会いと、フェリルやポルカ、ファルたちの総力戦、そしてレインの青い魔方陣による完璧な浄化劇を描かせていただきました。仲間たちの絆が次々と大輪の花を咲かせる熱い展開がしっかりと伝わっていれば幸いです!

次回の第27話では、クリスタリアの人々に盛大に祝福されたレインたちが、さらなる世界改革と新しい目的地へ向けて旅立つ感動の出発エピソードに繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第27話でお会いしましょう!

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