第1話 安物の記憶がいちばん高くつく
現金がなくなると、人はだいたい二種類に分かれる。
まじめに働きはじめる人と、別のものを売りはじめる人だ。
僕は残念ながら後者で、しかも「別のもの」がだいたい脳みその中身だという、割とどうしようもない側に属している。
その日も、財布の中身は硬貨の音しかしなかった。
コンビニのレジ前で残高を確認したとき、レシートより先にため息が出た。
千円ちょっと。家賃の引き落とし日まで、指を折っても足りないくらいの日数がある。
「つまり僕は、今月もまた、昨日までの自分を今日の飯に換金するステージに突入したわけだ。」
誰も聞いていない独り言を、駅ビルのエスカレーターの前でつぶやく。
上りと下りの二本が並んでいる中で、僕の足は自然と下りのほうに向かっていた。
地上から地下へ。
光から影へ。
まっとうな人生から、その残骸を競り落とす階層へ。
そういう図式を勝手に重ねては、自分で勝手にしんどくなっている。
「……上りに乗ればいいだけなんだけどな。」
そう思いつつも、体はいつもの癖で、下りエスカレーターに乗っていた。
地下二階。
ビルの非常口の脇を抜けた先に、その店はある。
表向きはバー。実態は、記憶オークションの常設会場。
ネオンサインには英語とも日本語ともつかないフォントで店名が浮かんでいる。「REM BAR」だか「RE:MEM」だか、見るたびに違って見えるのは、僕の脳の視力の問題かもしれない。
扉を開けると、冷房の冷気と、アルコールと電子機器の混ざった匂いが鼻を打った。
壁一面のモニターに、次々とロット情報が流れている。
「初恋の告白が成功した夜」
「不合格通知を破り捨てた午後」
「雨のホームで別れを告げられた朝/彼女が振り向かなかった側の視点」
そのどれもが、誰かの脳から抜き取られ、カプセルに封じられた「エピソード記憶」だ。
ここでは、そういうものがグラスワインより気軽に売り買いされている。
「いらっしゃい、記。」
カウンターの奥から、いつもの声が飛んできた。
鹿目ルカ。
この店のバーテンダーであり、記憶オークションのブローカー。
そして、僕が自分の記憶を換金しようとするとき、もっとも眉をひそめる人間だ。
「今日も懲りずに来たんだ。あんたの残高で、ここ出入り禁止にならないのが不思議なくらいだよ。」
「不思議なこと言うなよ。お金がない人ほど、売るものを探しに来るんだろ。」
スツールに腰を下ろしながら返すと、ルカはカウンター越しに僕の顔をじっと見た。
氷をステアする手は止めないのに、視線だけが僕を刺してくる。
「売るものってさ、普通は本とか服とか、そういうやつなの。
あんたの場合、脳みそだからね。間違えて出しちゃいけない棚から平気で出してこようとするから、管理人としては頭が痛いわけ。」
「きみが管理人を自称するの、初耳だな。」
「勝手に管理してあげてるの。感謝は要らないけど、相談はしな。」
ルカはグラスにソーダを注ぎ足しながら、肩をすくめた。
「で、今日は? 売るの? それとも、また安物の他人の人生を買って、自分の人生から目をそらすコース?」
「ひどい二択だな。」
「現状分析ってやつだよ。」
彼女の言う通り、僕のここでの立場はだいたい二つに分かれている。
日雇いで稼いだ現金を補うために、自分の記憶を売る日。
現実から目をそらすために、安い他人の記憶を衝動買いする日。
今日がどちらになるのかは、まだ決めていない。
財布の中身を考えれば前者が妥当だが、精神衛生的には後者に逃げ込みたいところだ。
「とりあえず、水。」
「バーでそれ言う人、嫌いじゃないけど儲からないんだよねえ。」
文句を言いながらも、ルカは氷水の入ったグラスを差し出してくる。
透明な水面が、彼女の手つきに合わせて小さく揺れた。
僕は一口飲んで、喉を潤す。
冷たさが胃に落ちていく感覚を確かめながら、壁のモニターに視線を移した。
ステージでは、派手なスーツを着た司会者がマイクを握りしめ、テンション高くしゃべっている。
「さあさあ、お待ちかね、本日第七ロット!
『世界大会優勝の瞬間/観客席最前列からの記憶』、スタート価格は——」
歓声とため息が入り混じる。
コレクターらしきスーツ姿の男たちが、端末を操作して入札しているのが見えた。
ああいう人たちは、たいてい自分の人生の成功体験が足りないわけではなく、それでもなお「他人の優勝」をコレクションしたくなる余裕があるんだろう。
「どう? ああいうの売れたら、一発で家賃どころか引っ越し代まで出るよ。」
ルカが冗談めかして言う。
「残念ながら、僕の人生には世界大会も全国大会もない。学級委員選挙くらいならあるけど。」
「その程度の優勝ロット、誰も買わないでしょ。」
即答された。
僕は苦笑いしながら、水をもう一口飲む。
「……今日は、売るのは後回しかな。」
「お、逃げた。」
「逃げるって言うなよ。リスク管理だ。今、変に自分の記憶を削ると、日雇いの面接で何を話したか忘れそうだし。」
「それ、もう半分忘れてる顔してるけど。」
ルカはじっと僕を見て、ため息をつく。
「本気で売るつもりなら、ちゃんとクリニックのカウンセリング受けさせるからね。
ここ経由であんたの脳みそが白紙になったりしたら、私の成績に傷がつくの。」
「安心しろよ。そこまで高価な記憶、もう残ってない。」
「自分で言う?」
カウンターの隅で、氷の入ったグラスを指先でくるくる回す。
水面に映る照明がゆらゆらと歪む。その歪みを見ていると、過去のどこかの光景が、一瞬だけ重なった気がした。
白い廊下。
規則的な電子音。
誰かの寝息と、喋り声。
「ログが——」という言葉の切れ端。
そこまで浮かんだところで、頭の奥がじわりと痛み、映像は霧散した。
僕は首を振り、目の前の現実にピントを合わせ直す。
過去のことを考えると、だいたい頭痛がセットでついてくる。
だから考えない。
だからここに来る。
言葉にすると、すごくバカみたいなサイクルだ。
オークションは中盤に差しかかっていた。
「甘口ロット」と分類された、比較的無害で甘酸っぱい記憶が主に並ぶ時間帯だ。
初デート、合格発表、子どもの誕生日。
そういうものが、ちょっといいワインくらいの値段で落札されていく。
「本日の第十五ロット……あー、これは安いね。
『ある人物の最後の一日』。スタート価格、五千円。」
司会者が、わざとらしく声のトーンを落として言った。
モニターには、簡素な文字情報だけが映し出される。
タイトル:ある人物の最後の一日
カテゴリ:苦口ロット/詳細非公開
備考:健康状態は平常。事故・事件性の有無は不明。
「最期の二十四時間かあ……」
ルカが、カウンター越しにモニターを見上げる。
「こういうの、最近多いよね。終活ブームの応用?」
「さあ。売る側の事情までは、あんまり聞かないから。」
僕は水を飲み干しながら、画面から目を離せなかった。
正直、内容的には避けたい類いのロットだ。
「最後の一日」とか、タイトルからして胃もたれがする。
それなのに、視線が離れない。
胸の奥を指でなぞられているような、妙なざわつきがあった。
「……どうしたの、そんな顔して。」
「どんな顔だよ。」
「悪い夢見た子どもの顔。いや、悪い夢の続きを金払って見に行こうとしてる大人の顔?」
ルカの比喩は、だいたい苦すぎるコーヒーみたいな後味がする。
「買うつもりじゃない。見てるだけ。」
「その言い方、怪しいんだよね。」
カウンターの端末には、入札ボタンがいくつも並んでいる。
常連には、それぞれ専用のIDが割り振られているのだ。
「はいはい、お客さま。こちら、あんたのIDね。押すと、あの『最後の一日』がすぐ脳内お持ち帰りコースでーす。」
ルカがふざけた口調で端末を僕のほうにスライドしてくる。
「やめろ、押さないって。」
そう言いながら、僕の指は端末の手前で止まった。
距離にして十センチほど。
なのに、その十センチがやたらと長く感じられる。
ステージの司会者が、客席に向かって問いかける。
「五千から。どなたか?」
……沈黙。
さっきまで賑わっていた会場が、急にトーンダウンする。
そりゃそうだ。
誰だって、自分の脳の棚に「見知らぬ誰かの最期の二十四時間」を置きたいとは思わない。
「いませんか? 五千ですよ? ワンコインの延長線上だと思えばね、皆さん。
はい、じゃあ——」
司会者が締めにかかろうとした、その瞬間だった。
「……五千。」
自分の口から声が出ていると気づくまでに、一拍遅れた。
ルカが目を見開く。
僕自身も、何を言ったのか理解できていなかった。
「おっとぉ、きました! カウンター席からエントリー!
五千円、初入札入りました!」
司会者の声が、必要以上に明るく跳ねる。
「記。」
ルカが低い声で僕の名前を呼んだ。
さっきまでの軽口が嘘みたいに、声の温度が下がっている。
「今の、聞き間違いだって言うなら、まだ止められるけど。」
「……いや。」
僕は息を呑む。
心臓が変なリズムを刻んでいる。
頭の奥で、さっきと同じざわつきが大きくなっていく。
「五千くらいなら、まあ……ね。」
「『まあ』で買うロットのタイトルじゃないんだよ、これ。」
ルカの指が、カウンターの下でグラスを強く握っているのが見えた。
それでも、僕を止めようとはしない。
この店には、この店なりの「自己責任」のラインがある。
司会者が周囲を一望し、区切りをつける。
「ほかにいませんか? 最後の一日を覗き見したい変わり者——もとい、好奇心旺盛な方。
……いない。
では、『ある人物の最後の一日』、五千で——落札!」
軽快な効果音が流れ、モニターの表示が「落札済」に切り替わる。
その瞬間、胸のざわつきが、今度ははっきりとした吐き気に変わった。
「……うぇ。」
「ほら。だから言ったじゃん。」
ルカが、手早く小さな紙コップに水を入れて差し出してくれる。
「本当に気持ち悪いなら、今からでもキャンセル交渉くらい——」
「いや、大丈夫。」
水を一気に飲み干しながら、僕は首を振った。
大丈夫じゃない。
でも、手放したくない。
自分で言っていて意味が分からない二律背反を、僕は喉の奥でごまかした。
オークションの裏には、簡易クリニックが併設されている。
ロットを落札した客は、そこで正式な手続きをして、記憶のインストールを受ける。
記憶の出し入れは、本来なら医師の管理下で行われるべきものだ。
ここでやっていることがどれだけグレーかは、考え始めると夜眠れなくなるので、あまり深く考えないようにしている。
「さて、と。」
案内のスタッフに連れられて、薄暗い廊下を歩く。
壁には、抽象画みたいなパネルと、静かな照明。
カーペットが足音を吸収して、世界が少し遠くなっていく。
診察室と呼ばれる部屋に入ると、リクライニングチェアと、頭部をスキャンするための機械が置かれていた。
医師免許を持っているらしい女性が、タブレットを確認しながらこちらを見る。
「『ある人物の最後の一日』ロットですね。」
「……はい。」
「初めてではありませんね。」
「ええ、まあ。」
僕は苦笑いする。
彼女はそれ以上突っ込んでこなかった。
「では、通常通り。
軽い鎮静剤が入りますので、終わるまでは目を閉じていてください。
気分が悪くなった場合は、右手を二回振ってください。
記憶は、『夢を見た』程度の感覚で統合されるはずです。」
「はず、ってところが一番怖いんですよね。」
つい口が滑る。
医師はわずかに微笑んだ。
「怖いと思えるうちは、まだ大丈夫ですよ。」
意味ありげなことを言って、彼女は機械のスイッチを入れた。
ヘッドセットのようなものが頭に固定される。
こめかみのあたりが、ひんやりと冷える。
目を閉じると、暗闇の向こうから、微かなノイズが近づいてくるのが分かった。
ラジオの周波数を合わせるときの、あの砂嵐の感触に似ている。
その中に、何かが混ざり始める。
——駅のホーム。
しっとりと濡れたコンクリートの匂い。
夕方なのか、夜なのか、時間帯の境目の、空のくすんだ色。
電光掲示板に並ぶ行き先表示。そのうちのひとつに、見覚えのある地名が光っている。
足元には、スニーカー。
履き慣れた感触。
ポケットの中で、折り畳まれた紙切れが指に触れる。
何度も読み返した跡のある、しわくちゃな紙。
——風が吹く。
向かい側のホームに、人影が立っている。
顔は見えない。
ただ、誰かがこちらを見ている気配だけが、はっきりと分かる。
僕は、その視線から目を逸らすように、電光掲示板を見上げ——
「っ……!」
頭の奥に、びりっと電流が走った。
ホームの光景が、別の何かと重なりかけて、うまくピントが合わない。
白い天井。
規則的な電子音。
「ログが残らないと——」
誰かの声。
それ以上は、砂嵐に飲み込まれた。
吐き気が、波のように押し寄せてくる。
右手を振ろうとしたが、自分の腕が自分のものではないように重かった。
——時間が、どれくらい経ったのか分からない。
気がつくと、視界の隅に色が戻ってきていた。
「はい、起きて。記。
ここで寝られると、片付けが増えるんだけど。」
耳に最初に届いたのは、聞き慣れた声だった。
「……ルカ?」
まぶたを開けると、白い天井が見えた。
さっき見た白い天井と、今の白い天井が、頭の中で一瞬混ざる。
「ここ、診察室の隣の休憩室。あんた、インストール終わったあと、きれいに気絶してたんだよ。」
ルカが、腕を組んで椅子に座っていた。
その足元には、万が一に備えたらしいビニール袋が置いてある。
「……吐いてないよね?」
「ギリギリセーフ。
でも、顔色はアウト。鏡、見る?」
「遠慮しとく。」
上体を起こそうとすると、頭がずしりと重くて、再びベッドに沈みそうになる。
ルカが慌てて肩を支えた。
「ゆっくり。
ほんとに大丈夫? 医師は『一時的な拒絶反応』って言ってたけど。」
「拒絶反応、ね。」
自分の脳が、自分にとって危険なものを拒絶したのなら、賢い判断だと思う。
それを無理やり押し込んだのが、よりによって本人だというのが、救いようがないだけで。
「……見たよ。少しだけ。」
「何を?」
「ホーム。
電車のホームだと思う。
濡れてて、暗くて。
向かい側に誰か立っててさ。」
言葉にしていくうちに、さっきの映像がじわじわと鮮明になっていく。
胸の奥が、きゅっと縮む感覚。
「最期の一日に、駅のホーム? 飛び込みとか、そういうやつだったら笑えないんだけど。」
「分からない。
そこまでちゃんとは、見てない。
というか……見せてもらえなかった感じ。」
「誰に?」
「さあ。僕の脳なのか、あいつの脳なのか。」
自分でもよく分からない比喩が口から出る。
ルカは少しだけ眉をひそめた。
「……記。」
名前を呼ぶ声が、さっきよりも近い。
「そのホーム、前にも見たことある顔してる。」
「人の顔真似するの、やめてくれ。」
「真似じゃないよ。観察。」
ルカは、グラスを持つときの癖で、指先に力を込めた。
爪先が白くなる。
「もしそれ、自分の記憶と混ざってる感じするなら、ちゃんとクリニックに——」
「違う。」
自分でも驚くほどの速さで、言葉が飛び出した。
「違う。
混ざってるんじゃなくて……」
言いかけて、うまく言葉が見つからない。
混ざっているのとも違う。
借りた記憶の中に、なぜか「最初からそこにあった自分の何か」が、顔を出してきた感じ。
借りた部屋に入ったら、見覚えのある家具が置いてあった、みたいな。
「……元の持ち主、誰なんだろうね。」
逃げるように、どうでもよさそうな方向に話をそらす。
こういうとき、僕の口はだいたい卑怯だ。
「ロット情報には出てない。匿名出品。」
「そう。」
ルカは短く答える。
「でも、ひとつ言えるのはさ。」
「ん?」
「あんた、ほんとは『最後の一日』なんて買ってる場合じゃないんだよね。
自分の途中経過のほうが、よっぽど片付いてないんだから。」
痛いところを、ストレートに刺してくる。
「つまり僕は、自分の部屋を掃除する前に、フリマアプリで他人のガラクタ買ってるタイプってこと?」
「そうそう。しかもそのガラクタ、たぶん爆発物。」
ルカは、少しだけ笑った。
けれど、その笑いは目の奥まで届いていない。
沈黙が落ちる。
空調の音と、遠くから聞こえる司会者の声だけが、かすかに響いている。
僕は天井を見つめた。
さっき見た白い天井と、今の天井を、慎重に区別する。
思い出そうとして、またあのホームの映像に触れそうになる。
そのたびに、頭の奥で小さな電流が走る。
「……まあ。」
逃げ道を探すとき、僕の口癖はだいたい同じところに落ち着く。
「つまり僕は、五千円で、誰かの最期と、自分の頭痛をセットで買ったわけだ。」
「安物買いの、何とかってやつね。」
「……高くつくパターンのほうだと、やっぱり思う?」
「思う。」
即答だった。
ルカは立ち上がり、ドアのほうを指さした。
「今日はもう、上がりな。
階段、ちゃんと上って帰りなよ。」
「エスカレーターじゃダメ?」
「ダメ。たまには、自分の足で上ってみな。」
その言い方が妙に真面目で、僕は言い返すタイミングを逃した。
店を出ると、ビルの奥の非常階段に、非常灯が淡い緑を落としていた。
普段なら迷わずエスカレーターに向かうところを、足は自然と階段のほうへ向かっていた。
一段ずつ踏みしめていくたびに、さっきのホームの感触が、足の裏に重なっていく。
コンクリートのざらつき。
かすかな湿気。
遠くで電車のブレーキ音がしたような気がして、僕は立ち止まった。
もちろん、こんな地下の階段で電車の音がするはずはない。
分かっている。
分かっているけれど、耳の奥では、確かに何かが鳴っていた。
階段を上りきって、地上に出る。
夜風が、顔に触れた。
街の明かりが、目の中に流れ込んでくる。
さっきのホームの電光掲示板に映っていた地名を、思い出そうとする。
口の中にまで出かかって、喉のところで引っかかった。
出てこない。
でも、確かに、どこかで一度は見た名前だった。
「……やっぱり、高くつきそうだな。」
誰に聞かせるでもなくつぶやいて、ポケットの中のレシートを握りしめる。
そこには、五千円の決済と、ロット番号だけが無機質に印字されていた。
「ある人物の最後の一日」。
その「ある人物」が、他ならぬ自分自身だったら笑えるな、と一瞬だけ思う。
いや、笑えない。
まったく笑えない。
それでも、胸のどこかで、そうであってほしいと願っている自分がいることに、僕はまだ気づかないふりをしていた。




