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61 赤き鬼

「ふ……ふはははは!!なんという力!!なんという恐ろしさ!!貴様は正に一騎当千の戦士よ!!」


王様が上機嫌に俺を褒める。


周りは最早、死屍累々の様だ。

俺の銃弾を浴びた人たちは苦しみ悶えながら気絶している。


「さあ聖女よ!!観念しろ!!くだらない革命ごっこはもう終わりだ!!」


王様は聖女に指をさし、勝利の宣言をする。

聖女を守る天使達も残り少なく、俺を攻撃するチャンスを伺っている様だが、俺の弾丸を恐れてか俺に飛び掛かるのを躊躇していた。


あと何度か魔術による攻撃を受けたがこの鎧、想像以上に魔術とか神術に対して頑丈なようで大したダメージにはならなかった。


逆に銃によるダメージはそこそこあり、銃弾に打たれた場所は衝撃が走って結構痛かったが鎧を破壊するには至っていない。


ともかく今、革命軍の人達は俺を恐れて二の足を踏んでいる状態だ。


───このまま聖女も諦めてくれるといいんだけど……


───相棒!!バットニュースだ!!残りのエネルギーが30%を切った!!このままバカスカ撃ってるとすぐにガス欠になっちまうぞ!!───


───まじか!?


エネルギー切れになってしまうと鎧も解除されてしまうだろう。

邪神の話では今鎧が解除されてしまうと俺は死んでしまうと言っていた。


「……うふふ。本当にこれで終わりと思っておられるのですか?」


俺が内心焦っていると、聖女がゆっくりと口を開いた。


(わたくし)達が入念に準備したこの革命が、この程度で終わりと思っているのなら貴方も随分と耄碌しましたわね?」

「ほう?ならば見せてもらおうか?逆転の一手を」

「うふふ。焦らずともすぐに……」


突如すさまじい爆発音が王座に響いた。

突然の轟音に何者かと目を向けると、そこには赤い鬼が佇んでいた。


あれは……!!


「バンギアスさん……!!」

「ん?……がっははははは!!誰かと思えば、お前まさかあの小僧かぁ!!?」

「……バンギアスさん…アルデンさんは……!」

「がっははっはっははは!!アルデン殿ならもう居ねぇよ!!」


「なんだと!!アルデンが!!?」


朱い鬼、バンギアスさんの言葉に王様が驚きの声を上げる。


「貴様バンギアスなのか!?貴様まで裏切ったのか!?」

「国王よぉ……。見てわかるだろうぉ?俺様が裏切ったことは」

「愚か者め!!なぜ貴様まで裏切った!?」

「……それをあんたが言うかよ……あんたが……っ!!!」


バンギアスが王様に何かを言いかけたが、俺はそれを遮る様に銃を撃ち放つ。

バンギアスは俺の銃弾を防御する事は無く、大きく跳躍して避けた。


「っち!」


思わず舌打ちが出る。

こいつみたいなタイプは体の頑丈さと魔力に物を言わせて銃弾を防御してきそうだというのに、意外と危機察知能力が高いようだ。


───相棒!!気持ちは分かるがもうちょっと慎重にいけよ!?───


───……悪い。


───いいけどよ!!まぁいまの不意打ち避けられたのはちょっといてぇな!!───


「がはははっは!!びびって動けねぇはなたれ小僧がぁ!!その鎧のおかげかぁ!?随分勇ましくなったじゃねぇか!!」


言葉と同時にバンギアスが俺に向かって突進してきた。

俺は咄嗟に銃を構えるが、銃弾を撃つ暇もなくバンギアスの体当たりをもろに食らう。


「あ……がぁ!!」


そのままなすすべなく俺は吹き飛ばされ、壁に激突した。


───相棒!!相棒!!大丈夫か!!?───


邪神が心配して俺に叫ぶが、それ所ではない。


全身が痛い!

体がバラバラに砕け散ったみたいな痛みだ!


俺は壁に横たわる様にぐったりと倒れる。


「ふん。餓鬼が調子こいてんじゃねぇぞ?テメェごときが俺様に勝てるわきゃねぇだろうが」


止めを刺すべく、バンギアスが俺に向か当て歩いてくる。

その途中で、俺が吹き飛ばされた衝撃で離してしまったショットガンを見つけたバンギアスはそれを手に取る。


「……なるほどなぁ。弾が入ってねぇ所を見ると撃ちだしてたのは純粋なエネルギーだけか……」

「バンギアス様。彼は邪神様でその力を使っていたのですわ」


聖女がバンギアスの言葉に補足する。


「邪神?……ああ。それでここにいる阿保どもは転がってるわけか……。くくく……がははっははは!!!」


突如バンギアスは大笑いをした。


「移転人であるテメェが邪神の力に飲み込まれるたぁお笑いだぜ!!だがまぁテメェみたいな素人がちょっと力を手に入れた所で筆頭軍には勝てん……と言いたいところだがこの阿呆どもを見るとそうでもねぇか……」


ぼりぼりと頭をかきバンギアスは続ける。


「アルデン殿も報われねぇなぁ?……ん?」


次の瞬間耳を防ぎたくなるような轟音が街に響いた。

何事かと痛む体で外を見ると、先ほどまで街の方で暴れていた目玉の怪物が大爆発を起こしたみたいだ。


「馬鹿な!!あれがやられるだとぉ!!?」

「……イリシエさん……」


バンギアスは驚き声を上げ、聖女は深く目を伏せた。


クリムがあの化け物を倒してくれたんだ。

ならあの化け物を倒した後、クリムはこの王城に向かって来てくれる筈だ!


それに今の大爆発で奴らに隙が出来た。


俺が借りていた銃はあのジークさんからのショットガンだけじゃない。


俺は奴らに悟られない様に慎重に道具袋からもう一つの武器を取り出す。

これはケタロスさんから貰ったハンドガンだ。


俺は痛む体に鞭打って銃をバンギアスに向ける。


「!!!」


バンギアスが俺に気付いた様で咄嗟にその場で屈むがもう遅い!

俺は全力でエネルギーを溜め、それを撃ちだす!


そして俺の全身全霊のエネルギー弾が着弾した。

()()()()()()()()()()()使()()


「……え?」

「くくく。なに惚けてるんだァ!!!」


驚く俺にバンギアスは盾にした天使を放り投げてくる。

俺は慌ててその場で転がる様に飛んできた天使を避けた。


「ばぁかがぁ!!テメェとは戦ってきた年季がちげぇんだよぉ!!!」


言葉と共に瞬時に俺に駆け寄るバンギアス。

慌てる俺を余所に、バンギアスの拳は俺の鳩尾へと吸い込まれていった。


「ぐふ!!!」


───相棒!!!───


叫ぶ邪神の声を遠くに感じながら、俺は鎧の中で白目をむいて気絶するのであった。

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